あの日の思い出 part2

那智

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④同じ点数なのに

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 中学二年といえば、そろそろ進学の話が出てくる頃だ。

 内申の評価を考え、いつも以上に張り切って授業を受ける生徒、真面目に拍車がかかる生徒、苦手を克服しようとするもそれなりな生徒、私のようにマイペースな生徒と様々である。

 特に、数学のように答えがハッキリする教科は頑張りどころで、その時だけの席替えを頼んでくる学友もいた。

 私は背が低く目も悪かったので、席は一番前が相場だった。よって、数学の時間の度に席替えを頼まれる。たまに自分の席で授業を受けると
 「今日はここで受けるの?無理しないで後ろで受けて良いよ」
と先生に嫌みをいわれる始末。
 「今日は席替えの依頼もなかったので自分の席で受けます」
 と、平然と答える私もどうかと思うが、この学期の成績が3に下げられたのはこの時の腹いせか?

 数学の成績で思い出すのは、定期テストの解答を返すときの事だ。

 名前を呼ばれたら、前に出て受け取るのだが、生徒一人一人に渡す時に先生からのコメントがあった。

 「75点、どうした?今回は調子悪かったな」
と言われたのは、常に上位クラスの生徒。
 その時は「へぇー」位にしか思わなかったので、男子か女子かさえ覚えていない。この言葉が今でも鮮明に心に残っているのは、この言葉の後、何人かに渡し終わった後の言葉のせいだ。

 「75点。良い点だ、良く頑張ったな」
と言う教師に対して、
 「同じ75点で、あいつは調子悪くて、こっちは良い点かよ」
 と放った一言だった。

 傍からみれば、単純に「片方は日頃もっと良い点数をとっており、片方は日頃もっと悪い点数を取っているから」出た言葉の違いだと思うのだが、当事者には引っ掛かりがあったのだろう。

 こんな時は何と言えば良いのか?
 「75点。まだ頑張れるぞ」
この位なら同等の物言いになるのか。

 文句を言ったのは不良と普通の狭間にいたような生徒だ。誉めても何かしら文句を言ったかもしれない。

 「言葉にする」ということの難しさを感じ、「つくづく教師って大変だなあ」と思う。
 
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