運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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22.癒される傷痕

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半月も過ぎれば、サヴィル家での新生活にソニアは慣れつつあった。

毎日敵襲に備えながら、家事全般とベリルの世話を行う。
とはいえ敵襲など1度もなかったが。

初対面から大人びた子どもであったベリルは1日の大半をソニアと共に過ごしていくうちに彼の作った料理と寝かしつけの時に語る軍での武勇伝の虜となり、今ではすっかり懐いている。

比べて、領主と薬師の2足のわらじを履くヴォルフはとても多忙であり、常に在宅で仕事をしているものの顔を合わせる機会はほとんどない。
それでも食事は必ず3人一緒に摂るし、週に2回はソニアとベリルのために薬学を教えてくれる。

ヴォルフと話していると、瓢々とからかってきたりとソニアにとっては腹の立つことの方が多い。

だが、大抵の貴族が華やかな王都暮らしのために他人任せの領地経営に走る一方で、ヴォルフは違った。
領民を愛し、大切にしていた。
だからこそ、領主としては若いながらも彼は領民から頼られ、非常に慕われていた。

根は悪い奴じゃない。
自分の見知った貴族たちとは異なる貴族もいるのだとソニアは偏った考えを改めるようになっていた。

そして、そんな日々の中でレイモンドの浮気と婚約破棄によって付けられた心の傷は少しずつではあるが、癒されていくのを感じていた。
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