運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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21.ソニアの憂鬱とヴォルフの安堵

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「そうなると長居するかもしれないって話は護衛じゃなくて、そのばあさんの容体に関係していたのか?」
「うん。俺の見立てだと、全治3ヵ月くらいは確実にかかるよ。それでね…」

ヴォルフは頭をポリポリとかきながら、気まずそうに続ける。

「悪いんだけど、このままお手伝いさんのふりしててくれないかな?」
「…えっ!?」
「いやー、さっき来たビッキーはばあさんの孫娘でね。家事が、中でも特に料理が壊滅的に下手なんだよ。その上事あるごとに来てはああやって世話を焼くんだけど、結局は家の中を散らかす形になって帰るんだよね。本人は善意でやってあげてるって感じで満足しているもんだから対応に困ってて…」
「…なるほど」
「どうかな?ダメ?」
「…いいぜ。そっちの方が周りに警戒されずに済む。あんたにとってもメリットがあるなら、このままで通そう」
「良かったぁ!改めて、よろしく!」

ヴォルフに頷きだけ返して、ソニアはキッチンへ戻る。
彼はヴォルフから離れると、こっそりため息をついた。

(あの娘はたぶん奴に惚れてるな。あいつには迷惑がられて気付かれてないようだけども。貴族っていうのはどいつもこいつも女に好かれる生き物なんだな。レイモンドにクラウス、それに俺の父親…)

過去を思い出して、ソニアは憂鬱な気分になる。

だが、そんな彼の気持ちは露知らず、ヴォルフはビッキーの不味い料理を食べさせられるという危機的状況を回避できて、内心安堵でいっぱいだった。
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