94 / 144
第3章
9節 合同稽古①
しおりを挟む
まだ日が出て間もなく、辺りがうっすら明るくなり始めたくらいの時間に私たちは起き出し(案の定私は起きられなかったため、アレニエさんに起こしてもらい)、泊まっている宿を出た。
デーゲンシュタットの街は、昨日の喧騒が嘘のように静かだった。ただそれは、昨日と比べれば、という話で、この時間からもう働き出している人や、昨夜から飲み続けてるような人もいて、全くの静寂というわけではなかった。
前日に比べれば格段に歩きやすい人気のない通りを抜け、勇者一行が泊まっている宿に向かう。すると――
「あ! 師匠ー! おはようございます!」
宿の前には、既に先客がいた。朝から元気いっぱいの勇者さまと、まだ眠そうにしている守護者三人だ。
「おはよー、アルムちゃん。まだ朝早いし、できればもう少し静かにね」
「はい!」
分かっているのかいないのか、アルムさんがやはり元気に答える。
「シエラちゃんたちはまだ眠そうだね」
「はい……アニエスが、先輩とアルムを二人にしておけない、と聞かなくて……」
「信用ないなぁ。昨日は頭下げてくれたのに」
「それとこれとは話が別です。貴女はまだ得体が知れませんし、刺客に襲われたばかりで勇者さまを放っておくこともできません。警戒は続けないと」
「まぁ、それもそっか」
アニエスさんの言葉に、言われた本人であるアレニエさんが納得の意を示す。
「でもそれなら、何も全員で来なくてもよかったんじゃ? そっちの魔術師くんもまだ眠そうだけど」
「エカルラートだ。いい加減憶えてくれ」
「じゃあ、エカルくんで」
「…………まぁ、いいか。オレも全員で来る必要はないと思ったんだが、アニエスのやつが、オレを一人にしておくのも不安だって言い出してな……」
「あー……なるほど」
「納得するな。……いや、まぁ無理もないか。オレ自身はこれ以上何かするつもりはないが、信じられないのも分かるからな……」
魔術師――エカルさんが、少し自嘲気味に言う。
「……なんですか、この空気。まるで私が悪いかのような……私はただ、勇者さまをお守りしたくて……!」
「大丈夫。分かってるよ。いつもありがとね、アニエス」
「勇者さま……ありがとうございます」
アルムさんの言葉に、アニエスさんが感極まったように感謝を述べる。ちょっと感動的にも思えるその空気を切り裂いて、アレニエさんが口を開いた。
「それで、どこで稽古つければいいのかな。店の前でやるのはさすがに朝でも人目を惹きそうだし、邪魔になるだろうから、できれば別の場所がいいと思うんだけど」
「あ、はい! 向こうにちょうどよさそうな公園があったので、そっちに行きましょう!」
「りょーかい」
先導するアルムさんに、アレニエさんが素直についていく。それを追って私たちもぞろぞろと移動する。
辿り着いた公園は、芝生や樹々の緑に囲まれた、開放的で気持ちのいい広場だった。中央には噴水が設置され、噴き上げられた水の流れが景観をさらに美しく見せている。
適度に拓けた場所を見つけたアレニエさんとアルムさんは、早速互いに木剣を手にし、向かい合う。アレニエさんはいつもと逆の順手で剣を握り(おそらくアルムさんの手本になるようにだろう)、力みなく相手を見据えている。対するアルムさんは、やや緊張した面持ちだ。
守護者の三人は彼女らから離れた位置まで下がり、その場に腰を下ろして観戦する構えだ。私も同じように下がり、守護者たちから少し離れた場所で座り込む。人見知りなので輪の中に入るのが苦手なのだ。
「それじゃ、早速始めるけど……そうだね。まずは、前に教えたことが身に付いてるか、見せてもらえるかな」
「はい!」
気合の入った返事をするアルムさんは、一転、集中して静かに剣を構える。上段に木剣を振り上げ、そこから一気に――
「はぁっ!」
――振り下ろす。
空気を切り裂いて、木剣が上から下に振り切られる。前回の稽古の時とは違い、鋭く、キレのある剣閃だった。様になっている、と言えばいいんだろうか。
続けて彼女は、左から右へ、右から斜め上へと、次々木剣を振るっていく。
力任せではない、気配も小さい(少なくとも前回よりは格段に)、確かな修練を感じさせる動きだった。別れていた間にもかなりの数を振るっていたのだろう。彼女の努力が垣間見える。
「――うん。だいぶ良くなったね。ちゃんと鍛錬続けてたみたいでおねーさん嬉しいよ」
「えへへ」
褒められて途端にはにかむ勇者さま。反応が可愛いなこの人……
「それじゃあ次に進もうか。今日は、受け方を教えたいと思います」
「受け方?」
「そ。相手の攻撃の防ぎ方、防御の方法だね。本当は前回、こっちを最初に教えるべきだったのかもしれないけど」
「そうなんですか?」
「うん。なんと言っても冒険者稼業は、死なないことが第一だからね。まぁでも、ここまで死んでないんだから結果オーライかな」
「えぇ……」
アルムさんが少し困惑した表情を見せる。教え方がおおざっぱ過ぎますアレニエさん。
「さて、前回は主に斬り方を教えたわけだけど……一口に「斬る」って言っても、力が乗るタイミングと、そうじゃないタイミングがあるのは分かるかな、アルムちゃん」
「あ、はい、分かります。振り始めはまだ力が乗らないし、振り切ってしまうと今度は力が逃げていって……」
「そうだね。剣に限った話じゃないけど、攻撃は一番力が乗るタイミングで相手に当てなきゃ、ちゃんと威力が出てくれない。今のアルムちゃんの言いかたで言えば、振り下ろす前と、振り下ろした後、その中間のあたりが、力が乗るタイミング――剣で言えば、斬れる瞬間になる」
「ふむふむ」
「つまり、相手の攻撃を受ける時は、そのタイミングを外してやればいい。相手の力が乗る前に塞いでしまうか、別の方向に逸らしてやれば、こっちが致命傷を受けることはまずない、ってことになる。もちろん、全部かわせればそれに越したことはないけど、それができないときは受けるしかないわけだし、覚えておいて損はないと思うよ。とりあえず、実際にやってみせよっか。アルムちゃん、ちょっとわたしに打ち込んできてみて」
「はい!」
元気よく返事をすると、アルムさんは上段に剣を構え、細く長く息を吐いた後に、一足飛びにアレニエさんに打ち込む。
「たぁっ!」
頭の上から袈裟切りに振り下ろされる木剣の一撃。アレニエさんはそれに向かって無造作に一歩踏み出し、斜めに傾かせた剣を両手で上方に掲げる。すると……
カシィィィィ!
と、木が擦れる軽い音を響かせながら、アルムさんの剣がアレニエさんの木剣の上を滑り落ち、逸れていく。
「!?」
アルムさんは態勢を崩し、逸れた木剣は地面を打つ。そこにすかさず……
「ほい」
「……!」
アレニエさんの剣が、アルムさんの喉元に切っ先を突き付ける。彼女はその場を動けず、地面に剣を打ちつけた姿勢で硬直する。
「とりあえず、こんな感じ」
「はぁ……はぁ……」
アレニエさんが木剣を引き、緊張の解けたアルムさんがその場にくずおれる。
「どんな手応えだった?」
「え、と……ほんの少し向きをずらされただけなのに、気付けばそのまま剣が逸れていってて……わけが分からないうちに、師匠に剣を突き付けられてました」
「そうだね。される側はそんな感じだと思う。正面から止められるのと違って、体が流れていっちゃうんだよね」
アレニエさんの言葉を聞きながら、アルムさんがその場で立ち上がる。
「つまり、この受け方を覚えれば、アルムちゃんも相手に同じことができるってこと。どんなに強い攻撃でも、ほんの少し向きを変えるだけなら難しくないし、そうして攻撃を受け流しながら、相手の態勢を崩して追撃もできる。しかも正面から受け止めるより、剣にかかる負担が少ないっていうおまけつき」
「いいこと尽くめですね!」
「ただその分、普通に受け止めるよりはちょっと難しい。相手がどう攻撃するか瞬時に見極めなくちゃいけないし、相手の力が乗り切る前に邪魔しなくちゃいけない」
「なるほど……」
「まぁ、難しく考えなくてもいいよ。要は、形はなんでもいいから、相手の攻撃をほんの少し逸らして致命傷を防ぐ、ってだけの技だから。アルムちゃんのやりやすい形を見つけたら、あとは体に覚えさせるだけだよ」
「コツとかありますか!」
「コツは、相手の動きをよく見ること。攻撃の気配を掴んで、その延長線上に自分の武器を先に置いておくこと。相手の気配の探り方は……前会った時に、教えたよね?」
「身体の動き出し、予備動作……」
アルムさんの答えに、アレニエさんは満足げに頷く。
「それじゃ、後はひたすら練習かな。今度はわたしが打ち込むから、アルムちゃんはそれを防いでね」
「はい!」
「うん。じゃあ、始め――あ、そうだ」
途中で何かを思いついたらしいアレニエさんは、守護者の三人がいる場所まで歩いていき、いくらか会話した後に、またアルムさんの元に戻り、そのまま稽古を再開する。
続いて守護者たちのほうにも動きがあった。シエラさんとエカルさんが立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。何かあったのだろうか?
「リュイスさん、でしたよね。良ければ私たちと手合わせ願えませんか?」
「私と?」
「はい。先ほど、先輩が私たちに提案されまして。少しでも貴女に経験を積ませたいのだと。あと、見てるだけでは退屈だろうから、とも」
「アレニエさんが……」
ずいぶん唐突な話だ。また彼女が不意に思いついたのだろうけど……
けれどこれは、とにかく経験の少ない私にとって、ありがたい話には違いない。最近はアレニエさんにも稽古をつけてもらっているが、その前は司祭さまとの組手しか知らなかったのだ。今後の生存率を上げるなら、もっと多くの相手と戦い、経験を積み、実戦に備える必要がある。私は立ち上がり、彼女らを見据えた。
「……分かりました。お受けします」
デーゲンシュタットの街は、昨日の喧騒が嘘のように静かだった。ただそれは、昨日と比べれば、という話で、この時間からもう働き出している人や、昨夜から飲み続けてるような人もいて、全くの静寂というわけではなかった。
前日に比べれば格段に歩きやすい人気のない通りを抜け、勇者一行が泊まっている宿に向かう。すると――
「あ! 師匠ー! おはようございます!」
宿の前には、既に先客がいた。朝から元気いっぱいの勇者さまと、まだ眠そうにしている守護者三人だ。
「おはよー、アルムちゃん。まだ朝早いし、できればもう少し静かにね」
「はい!」
分かっているのかいないのか、アルムさんがやはり元気に答える。
「シエラちゃんたちはまだ眠そうだね」
「はい……アニエスが、先輩とアルムを二人にしておけない、と聞かなくて……」
「信用ないなぁ。昨日は頭下げてくれたのに」
「それとこれとは話が別です。貴女はまだ得体が知れませんし、刺客に襲われたばかりで勇者さまを放っておくこともできません。警戒は続けないと」
「まぁ、それもそっか」
アニエスさんの言葉に、言われた本人であるアレニエさんが納得の意を示す。
「でもそれなら、何も全員で来なくてもよかったんじゃ? そっちの魔術師くんもまだ眠そうだけど」
「エカルラートだ。いい加減憶えてくれ」
「じゃあ、エカルくんで」
「…………まぁ、いいか。オレも全員で来る必要はないと思ったんだが、アニエスのやつが、オレを一人にしておくのも不安だって言い出してな……」
「あー……なるほど」
「納得するな。……いや、まぁ無理もないか。オレ自身はこれ以上何かするつもりはないが、信じられないのも分かるからな……」
魔術師――エカルさんが、少し自嘲気味に言う。
「……なんですか、この空気。まるで私が悪いかのような……私はただ、勇者さまをお守りしたくて……!」
「大丈夫。分かってるよ。いつもありがとね、アニエス」
「勇者さま……ありがとうございます」
アルムさんの言葉に、アニエスさんが感極まったように感謝を述べる。ちょっと感動的にも思えるその空気を切り裂いて、アレニエさんが口を開いた。
「それで、どこで稽古つければいいのかな。店の前でやるのはさすがに朝でも人目を惹きそうだし、邪魔になるだろうから、できれば別の場所がいいと思うんだけど」
「あ、はい! 向こうにちょうどよさそうな公園があったので、そっちに行きましょう!」
「りょーかい」
先導するアルムさんに、アレニエさんが素直についていく。それを追って私たちもぞろぞろと移動する。
辿り着いた公園は、芝生や樹々の緑に囲まれた、開放的で気持ちのいい広場だった。中央には噴水が設置され、噴き上げられた水の流れが景観をさらに美しく見せている。
適度に拓けた場所を見つけたアレニエさんとアルムさんは、早速互いに木剣を手にし、向かい合う。アレニエさんはいつもと逆の順手で剣を握り(おそらくアルムさんの手本になるようにだろう)、力みなく相手を見据えている。対するアルムさんは、やや緊張した面持ちだ。
守護者の三人は彼女らから離れた位置まで下がり、その場に腰を下ろして観戦する構えだ。私も同じように下がり、守護者たちから少し離れた場所で座り込む。人見知りなので輪の中に入るのが苦手なのだ。
「それじゃ、早速始めるけど……そうだね。まずは、前に教えたことが身に付いてるか、見せてもらえるかな」
「はい!」
気合の入った返事をするアルムさんは、一転、集中して静かに剣を構える。上段に木剣を振り上げ、そこから一気に――
「はぁっ!」
――振り下ろす。
空気を切り裂いて、木剣が上から下に振り切られる。前回の稽古の時とは違い、鋭く、キレのある剣閃だった。様になっている、と言えばいいんだろうか。
続けて彼女は、左から右へ、右から斜め上へと、次々木剣を振るっていく。
力任せではない、気配も小さい(少なくとも前回よりは格段に)、確かな修練を感じさせる動きだった。別れていた間にもかなりの数を振るっていたのだろう。彼女の努力が垣間見える。
「――うん。だいぶ良くなったね。ちゃんと鍛錬続けてたみたいでおねーさん嬉しいよ」
「えへへ」
褒められて途端にはにかむ勇者さま。反応が可愛いなこの人……
「それじゃあ次に進もうか。今日は、受け方を教えたいと思います」
「受け方?」
「そ。相手の攻撃の防ぎ方、防御の方法だね。本当は前回、こっちを最初に教えるべきだったのかもしれないけど」
「そうなんですか?」
「うん。なんと言っても冒険者稼業は、死なないことが第一だからね。まぁでも、ここまで死んでないんだから結果オーライかな」
「えぇ……」
アルムさんが少し困惑した表情を見せる。教え方がおおざっぱ過ぎますアレニエさん。
「さて、前回は主に斬り方を教えたわけだけど……一口に「斬る」って言っても、力が乗るタイミングと、そうじゃないタイミングがあるのは分かるかな、アルムちゃん」
「あ、はい、分かります。振り始めはまだ力が乗らないし、振り切ってしまうと今度は力が逃げていって……」
「そうだね。剣に限った話じゃないけど、攻撃は一番力が乗るタイミングで相手に当てなきゃ、ちゃんと威力が出てくれない。今のアルムちゃんの言いかたで言えば、振り下ろす前と、振り下ろした後、その中間のあたりが、力が乗るタイミング――剣で言えば、斬れる瞬間になる」
「ふむふむ」
「つまり、相手の攻撃を受ける時は、そのタイミングを外してやればいい。相手の力が乗る前に塞いでしまうか、別の方向に逸らしてやれば、こっちが致命傷を受けることはまずない、ってことになる。もちろん、全部かわせればそれに越したことはないけど、それができないときは受けるしかないわけだし、覚えておいて損はないと思うよ。とりあえず、実際にやってみせよっか。アルムちゃん、ちょっとわたしに打ち込んできてみて」
「はい!」
元気よく返事をすると、アルムさんは上段に剣を構え、細く長く息を吐いた後に、一足飛びにアレニエさんに打ち込む。
「たぁっ!」
頭の上から袈裟切りに振り下ろされる木剣の一撃。アレニエさんはそれに向かって無造作に一歩踏み出し、斜めに傾かせた剣を両手で上方に掲げる。すると……
カシィィィィ!
と、木が擦れる軽い音を響かせながら、アルムさんの剣がアレニエさんの木剣の上を滑り落ち、逸れていく。
「!?」
アルムさんは態勢を崩し、逸れた木剣は地面を打つ。そこにすかさず……
「ほい」
「……!」
アレニエさんの剣が、アルムさんの喉元に切っ先を突き付ける。彼女はその場を動けず、地面に剣を打ちつけた姿勢で硬直する。
「とりあえず、こんな感じ」
「はぁ……はぁ……」
アレニエさんが木剣を引き、緊張の解けたアルムさんがその場にくずおれる。
「どんな手応えだった?」
「え、と……ほんの少し向きをずらされただけなのに、気付けばそのまま剣が逸れていってて……わけが分からないうちに、師匠に剣を突き付けられてました」
「そうだね。される側はそんな感じだと思う。正面から止められるのと違って、体が流れていっちゃうんだよね」
アレニエさんの言葉を聞きながら、アルムさんがその場で立ち上がる。
「つまり、この受け方を覚えれば、アルムちゃんも相手に同じことができるってこと。どんなに強い攻撃でも、ほんの少し向きを変えるだけなら難しくないし、そうして攻撃を受け流しながら、相手の態勢を崩して追撃もできる。しかも正面から受け止めるより、剣にかかる負担が少ないっていうおまけつき」
「いいこと尽くめですね!」
「ただその分、普通に受け止めるよりはちょっと難しい。相手がどう攻撃するか瞬時に見極めなくちゃいけないし、相手の力が乗り切る前に邪魔しなくちゃいけない」
「なるほど……」
「まぁ、難しく考えなくてもいいよ。要は、形はなんでもいいから、相手の攻撃をほんの少し逸らして致命傷を防ぐ、ってだけの技だから。アルムちゃんのやりやすい形を見つけたら、あとは体に覚えさせるだけだよ」
「コツとかありますか!」
「コツは、相手の動きをよく見ること。攻撃の気配を掴んで、その延長線上に自分の武器を先に置いておくこと。相手の気配の探り方は……前会った時に、教えたよね?」
「身体の動き出し、予備動作……」
アルムさんの答えに、アレニエさんは満足げに頷く。
「それじゃ、後はひたすら練習かな。今度はわたしが打ち込むから、アルムちゃんはそれを防いでね」
「はい!」
「うん。じゃあ、始め――あ、そうだ」
途中で何かを思いついたらしいアレニエさんは、守護者の三人がいる場所まで歩いていき、いくらか会話した後に、またアルムさんの元に戻り、そのまま稽古を再開する。
続いて守護者たちのほうにも動きがあった。シエラさんとエカルさんが立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。何かあったのだろうか?
「リュイスさん、でしたよね。良ければ私たちと手合わせ願えませんか?」
「私と?」
「はい。先ほど、先輩が私たちに提案されまして。少しでも貴女に経験を積ませたいのだと。あと、見てるだけでは退屈だろうから、とも」
「アレニエさんが……」
ずいぶん唐突な話だ。また彼女が不意に思いついたのだろうけど……
けれどこれは、とにかく経験の少ない私にとって、ありがたい話には違いない。最近はアレニエさんにも稽古をつけてもらっているが、その前は司祭さまとの組手しか知らなかったのだ。今後の生存率を上げるなら、もっと多くの相手と戦い、経験を積み、実戦に備える必要がある。私は立ち上がり、彼女らを見据えた。
「……分かりました。お受けします」
0
あなたにおすすめの小説
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる