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第1部 星霊隊結成
第3話(2)新たな仲間
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現在 6月18日 13時 南矢倉駅入口
清峰屋敷を目指して旅を続ける幸紀は、その道中で出会った日菜子、四葉、晴夏といった3人の女性たちと共に、地下にある南矢倉駅に続く階段の前に立っていた。
「南矢倉駅…異世界だけど、普通に日本語だなぁ」
晴夏は階段の横に取り付けられている看板を見て呟く。看板には彼女が転移する前に生活していた世界と同じ言語が使われていた。
幸紀はそんな晴夏を気にせず、延々と暗闇が広がる階段の先を見下ろす。四葉は少し腰が引けながら、メガネを掛け直すと、幸紀に尋ねた。
「こ、この先を行くんですか…?」
「そうだ。お前の提案だろう」
「そ、そうなんですけども…」
様子がおかしい四葉に、日菜子が優しく尋ねた。
「四葉、もしかして、暗いの苦手?」
「…はい、ちょっと、いや、結構…」
弱々しく返事をする四葉を見ると、看板を見ていた晴夏は笑いながら四葉と肩を組んだ。
「なぁーんだ、鬼の生徒会長にも怖いものがあるんだなぁ!しかも暗がりが怖いって、可愛いとこあんじゃねぇか!」
「う、うるさいです!だって怖いじゃないですか!暗がりから不意に悪魔に襲われたりでもしたら…!」
「はっは!そん時はオレが守ってやるよ!生徒会長さんよ!」
「さっきまで泣いてたのに随分強気ですね!?反省してます!?」
晴夏と四葉が言葉を交わしているのをよそに、幸紀は暗闇への階段を降り始める。いち早くそれに気がついた日菜子は、幸紀の背中に声をかけた。
「幸紀さん、ライトつけましょうよ!私が照らしますから!」
「不要だ。俺は夜目が利く」
「でもダメですよ!」
日菜子はそう言うと、階段を駆け下りながらスマホを取り出し、幸紀の足下を照らし出す。
「あぁっ、待って!」
そのまま階段を降りていく幸紀と日菜子に気づくと、言い争っていた四葉と晴夏も慌てて階段を降りるのだった。
南矢倉駅構内
駅の構内は、地下鉄であるということのせいか光がほとんどなく、辺りを照らすのは日菜子のスマホの光だけだった。
一行は、幸紀と日菜子が前を歩き、晴夏と四葉はその後ろを歩いていた。
「お、おい、思ったより暗いじゃねぇかよ」
「でもおかしいです、停電してても非常用電源で照明がつくはずなのに、ここまで真っ暗なんて…」
弱音を吐く晴夏に対し、四葉も自分の考えを述べる。
「うわぁっ!?」
「ひぃいっ!!?」
晴夏の前を歩いていた日菜子が、突然悲鳴をあげてつまずき、スマホを落とし、ライトが消える。恐怖を覚えた晴夏と四葉は思わず咄嗟に抱き合った。
「何!?なんだよ!?」
「悪魔!?悪魔ですか!?」
「ごめんごめん、何か足に引っかかって…」
怯える四葉と晴夏に謝りながら、日菜子はスマホを拾い、もう一度ライトをつける。日菜子は自分の足元を照らすと、誰かの足が自分の足元にあることに気がついた。
「…!」
日菜子はもしやと思い、その足を照らすライトを胴体の方に向けていく。スーツのズボンの次にベルトが見え、血に汚れた上着が見えたかと思うと、次の瞬間には、口から血を流した男性の顔が照らし出された。
「きゃぁああっ!!」
日菜子、晴夏、四葉の女性3人は、驚いてお互いに身を守るように抱き合う。幸紀は冷静にその死体を見下ろした。
(これは悪魔軍刀の傷…それなりの地位の悪魔がここにいたようだな…それにこの『気』…まだここには悪魔がかなりいるらしい…好都合だ)
「あのー?」
「ひゃあああっ!!?」
幸紀が考え事をしていると、奥の暗闇から聞いたことのない女性の声が聞こえてくる。不気味な事態に、日菜子たち3人は声をあげながらスマホのライトを声のした方に向けた。
ライトで照らし出されたのは、鮮やかな赤い髪に、薄青色のベレー帽を被った、左右で色の違う瞳をした若い人間の女性だった。
「お、おう、人間かよ…驚かさないでくれよぉ…」
晴夏は安堵のため息を漏らし、四葉と日菜子も安心する。しかし、幸紀だけは鋭い表情で目の前の女性を睨んでいた。
(この気配…まさか…!)
(そーだよー、コーキぃ…)
目の前の女性は口を動かさないが、幸紀の耳にはっきり声が聞こえてくる。幸紀はそれが目の前の女性からの声だとわかると、腰を落として刀を発現させた。
「幸紀さん!?」
日菜子が驚いて幸紀の名前を呼ぶ。しかし、幸紀は気にせず、口を開かずに目の前の女性に魔力で言葉を送った。
(お前、サリーだな?お前も俺を殺しにきたか)
(まさかぁ。私も殺されかけたのぉ。コーキとあんまりイチャイチャしてるからってさぁ?ムカつくよね~。私、アイツらとはおさらばするって決めたから、私らはこれからも、オトモダチってこと~)
(なぜ人間の体を乗っ取っている?)
(悪魔に殺されかけた時、たまたまこの女がそばにいて死にかけてたんだよねー。だから、利害が一致したから、一緒にいるってやつ?まぁ、私に比べたら貧相なスタイルだけど、またコーキと楽しむには十分なカラダだよね~)
「楽しみません!」
幸紀とサリーの他者には聞こえない会話が聞こえていた赤髪の女性、狭間《はざま》結依《ゆい》は、思わず声を上げる。幸紀とサリーの会話が聞こえていない日菜子たちは、唐突に声をあげた結依に驚いた。
「え、なに!?何を楽しまないの!?怖いのはもうやめて!」
普段以上に精神が弱っている四葉は、やや錯乱しながら声を上げる。日菜子と晴夏も混乱している様子を見て、結依は慌てて上ずった声で弁解を始めた。
「いいえ、違うんです、これはその、言い間違いです。本当は、その、『助けてくれませんか』って、言おうとして…」
(苦しすぎない?その言い訳?)
「あなたのせいでしょうが…!」
必死になる結依に対し、結依の心にいるサリーは煽るように囁く。はたから見て独り言を発している結依を心配するように、日菜子は声をかけた。
「あのー…誰と話してるの?大丈夫?」
「あっ、はい!大丈夫です、ただ、私、昔から独り言が多くて、皆に変わってるって言われることがあって、はい!」
「あーそうなの?」
「そうなんです、はい。だから、よくあることなんで、あんまり気にしないでください」
(そーだよねー、悪魔に憑依されてるって言ったら大変だもんねー)
結依はサリーの言葉を無視して、日菜子たちに言う。日菜子たちは納得しきれないものの、一度納得した。幸紀も構えていた刀を光の粒に戻した。
結依はそんな日菜子たちを見て話を続けた。
「私、狭間結依といいます。近所の大学に通う者です。皆さんは、どういう集まりで?」
結依が尋ねると、名乗ろうとした日菜子よりも先に幸紀が口を開いた。
「俺は清峰侯爵の部下、東雲幸紀だ。悪魔に対抗できる人間を集めた『星霊隊』のメンバーを選びながら、侯爵の屋敷を目指す旅をしている」
「じゃあ、そちらの女の子たちは、星霊隊のメンバーさん?」
「そうだ。それぞれ、隊長の桜井日菜子、副長の市川四葉、隊員の鳴神晴夏だ」
(へぇ…揃いも揃って人間にしちゃ美女ばっか。コーキ、いい趣味してるねぇ)
(成り行きで集まっただけだ)
幸紀が紹介していると、サリーが魔力で幸紀の脳内に話しかけてくる。幸紀は魔力で言葉を返すと、実際に口を動かして話した。
「どうだろう。君も星霊隊に加わらないか」
「え、そんなの…」
結依が断ろうとしたその瞬間、結依の体から力が抜けたように、上体を倒す。不気味な光景に、四葉や晴夏が怯んでいると、結依は再び上体を起こし、笑顔を見せた。
「もち、オッケーでぇーす!」
「そうか。では今後ともよろしく」
幸紀は結依…の体を一時的に乗っ取ったサリーの返事を聞くと、頷く。結依は、日菜子や晴夏、四葉の方に歩み寄った。
「わたしぃー、あんまり強くないんですけどー、みんなと仲良くやりたいんでー、どーぞよろしくー!」
「う、うん、よろしくね、結依」
「あ、あぁ、仲良くやろうぜ」
日菜子と晴夏は、テンションの落差が激しい結依の姿に呆気に取られながら結依に挨拶をする。四葉は理解が追いつかず、小さく頭を下げるだけだった。
幸紀は結依が挨拶を済ませたのを確認すると、その場にいた4人の女性たちに声をかけた。
「行くぞ、早く列車に乗ってここを脱出する」
幸紀はそう言って歩き出す。日菜子たち4人も、幸紀の背中を追うように続いていった。
清峰屋敷を目指して旅を続ける幸紀は、その道中で出会った日菜子、四葉、晴夏といった3人の女性たちと共に、地下にある南矢倉駅に続く階段の前に立っていた。
「南矢倉駅…異世界だけど、普通に日本語だなぁ」
晴夏は階段の横に取り付けられている看板を見て呟く。看板には彼女が転移する前に生活していた世界と同じ言語が使われていた。
幸紀はそんな晴夏を気にせず、延々と暗闇が広がる階段の先を見下ろす。四葉は少し腰が引けながら、メガネを掛け直すと、幸紀に尋ねた。
「こ、この先を行くんですか…?」
「そうだ。お前の提案だろう」
「そ、そうなんですけども…」
様子がおかしい四葉に、日菜子が優しく尋ねた。
「四葉、もしかして、暗いの苦手?」
「…はい、ちょっと、いや、結構…」
弱々しく返事をする四葉を見ると、看板を見ていた晴夏は笑いながら四葉と肩を組んだ。
「なぁーんだ、鬼の生徒会長にも怖いものがあるんだなぁ!しかも暗がりが怖いって、可愛いとこあんじゃねぇか!」
「う、うるさいです!だって怖いじゃないですか!暗がりから不意に悪魔に襲われたりでもしたら…!」
「はっは!そん時はオレが守ってやるよ!生徒会長さんよ!」
「さっきまで泣いてたのに随分強気ですね!?反省してます!?」
晴夏と四葉が言葉を交わしているのをよそに、幸紀は暗闇への階段を降り始める。いち早くそれに気がついた日菜子は、幸紀の背中に声をかけた。
「幸紀さん、ライトつけましょうよ!私が照らしますから!」
「不要だ。俺は夜目が利く」
「でもダメですよ!」
日菜子はそう言うと、階段を駆け下りながらスマホを取り出し、幸紀の足下を照らし出す。
「あぁっ、待って!」
そのまま階段を降りていく幸紀と日菜子に気づくと、言い争っていた四葉と晴夏も慌てて階段を降りるのだった。
南矢倉駅構内
駅の構内は、地下鉄であるということのせいか光がほとんどなく、辺りを照らすのは日菜子のスマホの光だけだった。
一行は、幸紀と日菜子が前を歩き、晴夏と四葉はその後ろを歩いていた。
「お、おい、思ったより暗いじゃねぇかよ」
「でもおかしいです、停電してても非常用電源で照明がつくはずなのに、ここまで真っ暗なんて…」
弱音を吐く晴夏に対し、四葉も自分の考えを述べる。
「うわぁっ!?」
「ひぃいっ!!?」
晴夏の前を歩いていた日菜子が、突然悲鳴をあげてつまずき、スマホを落とし、ライトが消える。恐怖を覚えた晴夏と四葉は思わず咄嗟に抱き合った。
「何!?なんだよ!?」
「悪魔!?悪魔ですか!?」
「ごめんごめん、何か足に引っかかって…」
怯える四葉と晴夏に謝りながら、日菜子はスマホを拾い、もう一度ライトをつける。日菜子は自分の足元を照らすと、誰かの足が自分の足元にあることに気がついた。
「…!」
日菜子はもしやと思い、その足を照らすライトを胴体の方に向けていく。スーツのズボンの次にベルトが見え、血に汚れた上着が見えたかと思うと、次の瞬間には、口から血を流した男性の顔が照らし出された。
「きゃぁああっ!!」
日菜子、晴夏、四葉の女性3人は、驚いてお互いに身を守るように抱き合う。幸紀は冷静にその死体を見下ろした。
(これは悪魔軍刀の傷…それなりの地位の悪魔がここにいたようだな…それにこの『気』…まだここには悪魔がかなりいるらしい…好都合だ)
「あのー?」
「ひゃあああっ!!?」
幸紀が考え事をしていると、奥の暗闇から聞いたことのない女性の声が聞こえてくる。不気味な事態に、日菜子たち3人は声をあげながらスマホのライトを声のした方に向けた。
ライトで照らし出されたのは、鮮やかな赤い髪に、薄青色のベレー帽を被った、左右で色の違う瞳をした若い人間の女性だった。
「お、おう、人間かよ…驚かさないでくれよぉ…」
晴夏は安堵のため息を漏らし、四葉と日菜子も安心する。しかし、幸紀だけは鋭い表情で目の前の女性を睨んでいた。
(この気配…まさか…!)
(そーだよー、コーキぃ…)
目の前の女性は口を動かさないが、幸紀の耳にはっきり声が聞こえてくる。幸紀はそれが目の前の女性からの声だとわかると、腰を落として刀を発現させた。
「幸紀さん!?」
日菜子が驚いて幸紀の名前を呼ぶ。しかし、幸紀は気にせず、口を開かずに目の前の女性に魔力で言葉を送った。
(お前、サリーだな?お前も俺を殺しにきたか)
(まさかぁ。私も殺されかけたのぉ。コーキとあんまりイチャイチャしてるからってさぁ?ムカつくよね~。私、アイツらとはおさらばするって決めたから、私らはこれからも、オトモダチってこと~)
(なぜ人間の体を乗っ取っている?)
(悪魔に殺されかけた時、たまたまこの女がそばにいて死にかけてたんだよねー。だから、利害が一致したから、一緒にいるってやつ?まぁ、私に比べたら貧相なスタイルだけど、またコーキと楽しむには十分なカラダだよね~)
「楽しみません!」
幸紀とサリーの他者には聞こえない会話が聞こえていた赤髪の女性、狭間《はざま》結依《ゆい》は、思わず声を上げる。幸紀とサリーの会話が聞こえていない日菜子たちは、唐突に声をあげた結依に驚いた。
「え、なに!?何を楽しまないの!?怖いのはもうやめて!」
普段以上に精神が弱っている四葉は、やや錯乱しながら声を上げる。日菜子と晴夏も混乱している様子を見て、結依は慌てて上ずった声で弁解を始めた。
「いいえ、違うんです、これはその、言い間違いです。本当は、その、『助けてくれませんか』って、言おうとして…」
(苦しすぎない?その言い訳?)
「あなたのせいでしょうが…!」
必死になる結依に対し、結依の心にいるサリーは煽るように囁く。はたから見て独り言を発している結依を心配するように、日菜子は声をかけた。
「あのー…誰と話してるの?大丈夫?」
「あっ、はい!大丈夫です、ただ、私、昔から独り言が多くて、皆に変わってるって言われることがあって、はい!」
「あーそうなの?」
「そうなんです、はい。だから、よくあることなんで、あんまり気にしないでください」
(そーだよねー、悪魔に憑依されてるって言ったら大変だもんねー)
結依はサリーの言葉を無視して、日菜子たちに言う。日菜子たちは納得しきれないものの、一度納得した。幸紀も構えていた刀を光の粒に戻した。
結依はそんな日菜子たちを見て話を続けた。
「私、狭間結依といいます。近所の大学に通う者です。皆さんは、どういう集まりで?」
結依が尋ねると、名乗ろうとした日菜子よりも先に幸紀が口を開いた。
「俺は清峰侯爵の部下、東雲幸紀だ。悪魔に対抗できる人間を集めた『星霊隊』のメンバーを選びながら、侯爵の屋敷を目指す旅をしている」
「じゃあ、そちらの女の子たちは、星霊隊のメンバーさん?」
「そうだ。それぞれ、隊長の桜井日菜子、副長の市川四葉、隊員の鳴神晴夏だ」
(へぇ…揃いも揃って人間にしちゃ美女ばっか。コーキ、いい趣味してるねぇ)
(成り行きで集まっただけだ)
幸紀が紹介していると、サリーが魔力で幸紀の脳内に話しかけてくる。幸紀は魔力で言葉を返すと、実際に口を動かして話した。
「どうだろう。君も星霊隊に加わらないか」
「え、そんなの…」
結依が断ろうとしたその瞬間、結依の体から力が抜けたように、上体を倒す。不気味な光景に、四葉や晴夏が怯んでいると、結依は再び上体を起こし、笑顔を見せた。
「もち、オッケーでぇーす!」
「そうか。では今後ともよろしく」
幸紀は結依…の体を一時的に乗っ取ったサリーの返事を聞くと、頷く。結依は、日菜子や晴夏、四葉の方に歩み寄った。
「わたしぃー、あんまり強くないんですけどー、みんなと仲良くやりたいんでー、どーぞよろしくー!」
「う、うん、よろしくね、結依」
「あ、あぁ、仲良くやろうぜ」
日菜子と晴夏は、テンションの落差が激しい結依の姿に呆気に取られながら結依に挨拶をする。四葉は理解が追いつかず、小さく頭を下げるだけだった。
幸紀は結依が挨拶を済ませたのを確認すると、その場にいた4人の女性たちに声をかけた。
「行くぞ、早く列車に乗ってここを脱出する」
幸紀はそう言って歩き出す。日菜子たち4人も、幸紀の背中を追うように続いていった。
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