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第2部 人類の反撃
第16話(3)異変-晴夏と千鶴-
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翌朝
「!!!」
ベッドの上で、千鶴は首元を押さえながら跳ね起きる。彼女の首ににじんでいたのは、血ではなく汗であり、寝ている間に自分が受けた傷は、そこには存在しなかった。
「はぁ…はぁ…夢…?」
戸惑う千鶴をさらに驚かせるように、枕元にあったスマホが振動し、音を立てる。千鶴は驚きながらスマホを手に取ると、スマホのアラームを止め、今の時刻を確認した。
(7時か…とりあえず、学校行く準備しよう…昨日のママの話が本当なら、私たちは失踪してなくて、向こうの世界に行く直前に戻ってきてる…大丈夫、もう普通の生活ができるはず…)
千鶴はそう思うと、ベッドから降りて学校に行く準備を始めるのだった。
十数分後 7:45
食事を終え、制服に着替えた千鶴は、今までの日常通り、1人で家を出て学校へと歩き始める。彼女がいくら周囲を見回しても、至って平和な日本の住宅街が辺りに広がっていた。
(辺りに変なことはない…やっぱり今朝の夢は、ただの夢か…)
そう思って歩いていると、千鶴の視界の奥端に、制服を着た晴夏の後ろ姿が映る。千鶴は少し足を速めて、彼の隣に寄った。
「ハルくん」
「!?あ、あぁ…千鶴か…」
千鶴に声をかけられた晴夏は、異様に動揺して反応する。そんな晴夏の表情は、千鶴から見て明らかに憔悴しているように見えた。
「ハルくん?どうしたの、元気ないじゃん」
「…気のせいだよ…」
晴夏は明らかに昨日よりも力無く答える。千鶴はそんな晴夏の様子に違和感を覚えずにいられなかった。
(おかしい…昨日までのハルくんだったら絶対に『日菜子たちのところに帰るんだ!』って言って動いてるはず…何かあったのかな?…まぁでも、触れないでおこう)
千鶴は晴夏の心配を一度やめると、正面を見る。気がつくと住宅街を抜け、学生たちの歩く開けた場所にやってきていた。
そんな状況の中で、千鶴は、長い黒髪に、女子生徒用の制服を着ている見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「あ、ユウカだ。じゃね、ハルくん」
千鶴は一方的に晴夏にそう言って別れると、ユウカの後ろ姿へと駆け寄った。
(ユウカ、無事だったんだ。やっぱあんなの、ただの夢だったんだよ)
「おーい、ユウカ」
千鶴が声をかけると、彼女は振り向く。
その顔は、夢の中でユウカを喰っていた、赤褐色の悪魔のそれだった。
「!」
状況を理解しきれない千鶴が言葉を失っていると、その悪魔はにこやかな表情で話しかけてきた。
「おはよー千鶴」
悪魔の顔から聞こえてくる、ユウカの女性的で可愛らしい声。なおのこと千鶴には不気味で理解しがたい光景が、そこに広がっていた。
(ユウ…カ…?いや…悪魔…?)
千鶴が戸惑う中、他の女子生徒たちもユウカのような悪魔に挨拶をして学校へと歩いていく。他の生徒たちの顔に異常はない。しかし、誰もユウカの変化には気づいていない。
(どうなってんの…!?どう見てもユウカじゃないのに、なんでみんな何も言わないの…!?)
「どうしたの?千鶴?」
ユウカの声をした悪魔は、至って平穏なトーンで千鶴に尋ねる。驚きのあまり、身動きが取れなくなっていた千鶴は、その声で我に還ると、なんとか誤魔化し始めた。
「え?あ、えっとね、ちょっと忘れ物したかも~」
「マジ?ホントドジだなぁ千鶴は。間に合わなかったら先生に言っとくね」
「あ、あはは、あ、ありがとうね、ユウカ、じゃ、取ってくるね」
「うん、気をつけてね」
千鶴を見送る優しい少女の声が、恐ろしい悪魔の形相から放たれる。そんな異様な光景に、千鶴は後ずさりしてから、ユウカが背中を向けたのを確認してから走ってその場を離れるのだった。
(ヤバいよ、何か変だよ、こんなの…!)
千鶴がそう思いながら走っていると、俯いて歩いている晴夏の姿がそこにあった。
「ハルくん!ハルくん!」
学生たちを掻き分け、千鶴は晴夏の元に駆け寄る。晴夏は力無く顔を上げた。
「あ…?」
「ヤバいよハルくん!悪魔が、悪魔が、ユウカの体を乗っ取ってる…!」
「なんだと…!野郎、すぐに…!」
千鶴の報告を受けた晴夏は、すぐさま走り出そうと顔をあげる。しかし、急に何かを思うと、立ち止まり、俯いた。
「…やめよう」
「は!?何言ってんのハルくん!悪魔がいるんだよ!?倒さないと!」
「気のせいだよ…」
「気のせいなんかじゃないよ!!ハルくんだって、私たちが戦わなきゃ日菜子さんたちが悪魔に苦しめられるって…!!」
「やめろよ!もう他人なんだろ!?もう…いいじゃねぇか…」
晴夏は急に声を大きくしたかと思うと、次の瞬間にはまた弱々しく言葉を発する。明らかにおかしな言動の晴夏に、千鶴はやや感情的になって言葉を投げかけた。
「どうしたのよハルくん!?あんたらしくないよ!昨日、あんなに元の世界へ戻りたがってたのに!どうして今になってこんな!」
「色々あんだよ…いいからさっさと学校行くぞ」
千鶴に対し、晴夏はぶっきらぼうに短く答えると、千鶴の方を見向きもせずに歩いていく。千鶴はそんな晴夏の態度に不満と違和感を覚えながら彼の後に続いて学校へと歩いていくのだった。
「!!!」
ベッドの上で、千鶴は首元を押さえながら跳ね起きる。彼女の首ににじんでいたのは、血ではなく汗であり、寝ている間に自分が受けた傷は、そこには存在しなかった。
「はぁ…はぁ…夢…?」
戸惑う千鶴をさらに驚かせるように、枕元にあったスマホが振動し、音を立てる。千鶴は驚きながらスマホを手に取ると、スマホのアラームを止め、今の時刻を確認した。
(7時か…とりあえず、学校行く準備しよう…昨日のママの話が本当なら、私たちは失踪してなくて、向こうの世界に行く直前に戻ってきてる…大丈夫、もう普通の生活ができるはず…)
千鶴はそう思うと、ベッドから降りて学校に行く準備を始めるのだった。
十数分後 7:45
食事を終え、制服に着替えた千鶴は、今までの日常通り、1人で家を出て学校へと歩き始める。彼女がいくら周囲を見回しても、至って平和な日本の住宅街が辺りに広がっていた。
(辺りに変なことはない…やっぱり今朝の夢は、ただの夢か…)
そう思って歩いていると、千鶴の視界の奥端に、制服を着た晴夏の後ろ姿が映る。千鶴は少し足を速めて、彼の隣に寄った。
「ハルくん」
「!?あ、あぁ…千鶴か…」
千鶴に声をかけられた晴夏は、異様に動揺して反応する。そんな晴夏の表情は、千鶴から見て明らかに憔悴しているように見えた。
「ハルくん?どうしたの、元気ないじゃん」
「…気のせいだよ…」
晴夏は明らかに昨日よりも力無く答える。千鶴はそんな晴夏の様子に違和感を覚えずにいられなかった。
(おかしい…昨日までのハルくんだったら絶対に『日菜子たちのところに帰るんだ!』って言って動いてるはず…何かあったのかな?…まぁでも、触れないでおこう)
千鶴は晴夏の心配を一度やめると、正面を見る。気がつくと住宅街を抜け、学生たちの歩く開けた場所にやってきていた。
そんな状況の中で、千鶴は、長い黒髪に、女子生徒用の制服を着ている見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「あ、ユウカだ。じゃね、ハルくん」
千鶴は一方的に晴夏にそう言って別れると、ユウカの後ろ姿へと駆け寄った。
(ユウカ、無事だったんだ。やっぱあんなの、ただの夢だったんだよ)
「おーい、ユウカ」
千鶴が声をかけると、彼女は振り向く。
その顔は、夢の中でユウカを喰っていた、赤褐色の悪魔のそれだった。
「!」
状況を理解しきれない千鶴が言葉を失っていると、その悪魔はにこやかな表情で話しかけてきた。
「おはよー千鶴」
悪魔の顔から聞こえてくる、ユウカの女性的で可愛らしい声。なおのこと千鶴には不気味で理解しがたい光景が、そこに広がっていた。
(ユウ…カ…?いや…悪魔…?)
千鶴が戸惑う中、他の女子生徒たちもユウカのような悪魔に挨拶をして学校へと歩いていく。他の生徒たちの顔に異常はない。しかし、誰もユウカの変化には気づいていない。
(どうなってんの…!?どう見てもユウカじゃないのに、なんでみんな何も言わないの…!?)
「どうしたの?千鶴?」
ユウカの声をした悪魔は、至って平穏なトーンで千鶴に尋ねる。驚きのあまり、身動きが取れなくなっていた千鶴は、その声で我に還ると、なんとか誤魔化し始めた。
「え?あ、えっとね、ちょっと忘れ物したかも~」
「マジ?ホントドジだなぁ千鶴は。間に合わなかったら先生に言っとくね」
「あ、あはは、あ、ありがとうね、ユウカ、じゃ、取ってくるね」
「うん、気をつけてね」
千鶴を見送る優しい少女の声が、恐ろしい悪魔の形相から放たれる。そんな異様な光景に、千鶴は後ずさりしてから、ユウカが背中を向けたのを確認してから走ってその場を離れるのだった。
(ヤバいよ、何か変だよ、こんなの…!)
千鶴がそう思いながら走っていると、俯いて歩いている晴夏の姿がそこにあった。
「ハルくん!ハルくん!」
学生たちを掻き分け、千鶴は晴夏の元に駆け寄る。晴夏は力無く顔を上げた。
「あ…?」
「ヤバいよハルくん!悪魔が、悪魔が、ユウカの体を乗っ取ってる…!」
「なんだと…!野郎、すぐに…!」
千鶴の報告を受けた晴夏は、すぐさま走り出そうと顔をあげる。しかし、急に何かを思うと、立ち止まり、俯いた。
「…やめよう」
「は!?何言ってんのハルくん!悪魔がいるんだよ!?倒さないと!」
「気のせいだよ…」
「気のせいなんかじゃないよ!!ハルくんだって、私たちが戦わなきゃ日菜子さんたちが悪魔に苦しめられるって…!!」
「やめろよ!もう他人なんだろ!?もう…いいじゃねぇか…」
晴夏は急に声を大きくしたかと思うと、次の瞬間にはまた弱々しく言葉を発する。明らかにおかしな言動の晴夏に、千鶴はやや感情的になって言葉を投げかけた。
「どうしたのよハルくん!?あんたらしくないよ!昨日、あんなに元の世界へ戻りたがってたのに!どうして今になってこんな!」
「色々あんだよ…いいからさっさと学校行くぞ」
千鶴に対し、晴夏はぶっきらぼうに短く答えると、千鶴の方を見向きもせずに歩いていく。千鶴はそんな晴夏の態度に不満と違和感を覚えながら彼の後に続いて学校へと歩いていくのだった。
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