乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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えっ!?なに???
鏡を見れば頭ひとつ分は背の高いミシェルさんに抱き締められている自分が映っていた

「貴女のことを知りたい」
「え?」
「そして私のことも知ってもらいたい。振られるなら見た目だけでなく中身を知ってからにしてもらいたいんです」

振られる?あたしが振ったことになってるの?そんなことを思った矢先、綺麗な指が顎にかかって美形のアップがきたと思ったら唇が重なった。数秒のことだったけれど目を閉じることも忘れてしまっていた。閉じられた目に長い睫毛に毛穴なんて存在しないんじゃないかってくらいの陶器みたいな肌。化粧なんてもちろんしてないだろうし天然でこれ。すばらしい異世界のゲームの人。

「…お嫌、ではありませんでしたか?」
「え?イヤじゃなかったけど…」
「よかったです」

恥ずかしそうに笑う美形に胸がきゅんと高鳴る。反則、これは反則だ。ズルい。

「ジョエル様に知られたら叱られてしまいますね」
「浮気?でもキスだけだし」
「あの方は思っているより嫉妬深いですから、旦那様方にはまだ内緒ですよ」

人差し指を鼻から口許にしーっとあてるのは反則である。舌を入れられないキスなんていつぶりかもわからないし正直ときめいてしまった

「殿下の指定された時間までまだ少しありますので、私でよければ御二人にお茶でも淹れますね。ノアール様もお待ちですから」

靴を履き替えたら手をとってもらいエスコートされて部屋を出る。なんだ貴方が王子様なのか!?と聞きたくなるくらいだった。多分執事じゃなくて王子様だと思う。

「おわった?」

扉を出たらノアが待っていてくれた。結構時間あっただろうに。

「どう?かわいい?」
「もう、先に聞いちゃうの?すごくかわいい」

両手を腰に回して見つめあえばどちらからともなくキスをする。微笑んでまたキスしてと繰り返して舌をいれるかと思ったら真横で咳払いが聞こえた

「お時間までお茶でもいかがですか?お淹れしますよ」
「あっ!ミシェル様申し訳ありません…お願いします、じゃなくて!一緒に飲みましょう」




応接間のお気に入りのソファの向かい側にはじめてお客様が来た。紅茶をサーブしてくれるのはそのお客様だけど。

「ミズキがちゃんとドレス着てるの初めて見たかも」
「確かに。初めてかも、こんなちゃんとしたの着るの」
「ワンピースとかブラウスにスカートとか、ミズキの持ってる服は見たけどドレスもいいね。お姫様みたい」
「ミズキ様はお姫様ですよ。少なくとも私にとっては」

目の前の執事なお客様は微笑みながら恐ろしいセリフを恥ずかしげもなく言ってくる。お姫様じゃないでしょ。柄じゃないもん

「僕にもお姫様ですよ!」
「あ、ありがと…」

愛想笑いしかできなくなってきた。かわいい男と美形、二人からお姫様お姫様言われてもなんとも言えない気持ちになる。

「でもドレス本当似合うね。ファヴォリのじゃなくてプレフェレのなんでしょ?箱とリボンがプレフェレのだった」
「えぇ。殿下自らプレフェレへ。ルネ様の指示のドレスですけれど」
「ミズキが着たものってわかったら売れそうですね」
「御披露目のあとに百貨店で大々的にディスプレイするようですよ。プレフェレのオーナーが仰ってました」
「聞いた?今度見に行ってみよう。ジョエル様にも許可もらって」
「百貨店?行きたい行きたい!」
「ミズキ様がいきなり行ってしまわれたら大変なことになりますから、ジョエル様にご相談したほうが懸命ですね」

たかが買い物にも夫の許可がいるのか。そもそも異世界の花嫁ってそんなインフルエンサーみたいなかんじなの?身に付けたものが売れる?インフルエンサーじゃん

「では、そろそろ殿下の元へ参りましょうか。ミズキ様、ネックレスを預かってますのでつけさせていただきますね」

なんか思ったより大振りな気がするけど重くはなかった。肩凝るくらい重いネックレスとか嫌だったからちょうどいいかも。

「あとは、口紅だけですね。特にお化粧に崩れはありませんし。お食事なので取れづらいものがいいかと」

応接間のテーブルに出しっぱなしにしているのはあたしのリップメイク用の道具。リップだけは出掛ける直前にしたがるからジョエルがここに置いてもいいと言ってくれたのだ。箱がこの国の家具と合わないから丁度いいのが欲しかったから百貨店に行けるのは楽しみだったのだ。

「じゃあティントだね。青み、はウケよくなさそうだからベージュ系?地味?」
「目元キラキラしてるから大丈夫じゃない?殿下はお化粧で人を見ないよ」
「うーん…悩む。あー!アレだ!もらったやつ!」

誰とは言わない。お客さんがくれたりしたのだ。しかも結構定番の婚活リップって言われる人気のやつ。コーラルピンクのリップを塗って、食事だからグロスは塗らず口紅用トップコートを重ねて完成。

「どう?変じゃない?」
「うん。あっ僕から仕上げ」

耳になにか刺さったと思う。多分ピアスだ。そういえば穴はあいてるけどこっちに来てお風呂に入ってからは外したまましてなかった。

「ジョエル様と3人で話したでしょ?お揃いにするって。僕の魔力いっぱい入ってるから、念話も僕の魔力でできるし、ミズキを守ってくれる魔術もいっぱい組み込んでおいたから」

鏡を見ていないからわからないけど多分変な物ではないはず。ノアが嬉しそうに微笑んでいるから。

「似合う?」
「うん!僕ももうつけてる。あとでジョエル様にも渡さなくちゃね。」

ノアの片耳についていたのは紫に近いピンクの宝石。これダイヤだったらとんでもない価値のやつじゃないっけ?ダイヤってピンクとかが高いんだよね?あれ?この国でも?

「ミズキのは無色透明。なにものにも染まらないっていうのもあるけど、やっぱり色んな服に合わせやすいかなって。ジョエル様と話して決めたんだ」

この宝石がダイヤなのかどうなのか、気になるのはそこになってきてしまった。ダイヤならノアのやつのほうが高いはず。よし。

「使い方は晩餐が終わったあとで教えてあげるね。指輪は今作ってもらってるってジョエル様が言ってたよ。楽しみだね」
「いつ指のサイズ測ったんだろう…」
「寝てる間じゃないかな?ジョエル様そういうの得意そうだし」

わからなくはない。得意そうだ。そしてこの場にいる王子様みたいな執事の人も偏見だけど得意そうだ。

「では晩餐の会場に行きますか」
「そもそもばんさん?どれくらい人いるの?」
「殿下だけですよ。護衛でロランと私が執事でいますし、ミズキ様とジョエル様、ノアール様で卓を囲むのは4人ですかね。サーブ係もごく私的なものなので遠慮していただいてますので私がすべて。」
「たった4人!?」
「殿下はミズキに気を使わせないようにしてるんだと思うよ。お招き頂きありがとうございます、公爵閣下って最初にちゃんと言うんだよ?絶対!殿下は公爵として晩餐を共にしたいって誘ってくれたから」

忘れてた。挨拶。カーテシー。早くカーテシーから解放されますように。

「お席はジョエル様が殿下の左側、その向かいにミズキ様、ミズキ様は不馴れでしょうから、ミズキ様のお隣にノアール様を。本来であればそのような順にはしないのですが、殿下の私的な晩餐ですから、是非気楽に楽しんでくださいね」

私の知ってる上座下座的なものがなんの役に立たないと知った瞬間であった。

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