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しおりを挟む賑やかなパーティーの雰囲気が一変したのは一瞬だった。大きなガラス窓が割れて会場の照明が切れる、女性の声男性の声入り乱れるが、僕に届く声は愛しい妻の声だけ。
「えっ?うそ、ちょっ、どこ触ってんの!?リュカ!ノア!ミシェルっ!」
ミズキがもう怪盗の腕の中にいることはわかった。早く、ロラン早くって思いながら照明の復旧を待つ。今の僕が照らしたらみんな目がやられるくらい照らしちゃいそうだから駄目だ。
「ちょっと、そこおっぱい!手冷たいってば!」
この混乱の中ミズキのどうでもいい叫びだけが救われるが
「だからそこもおっぱい!どう考えたってネックレスそこじゃないでしょ、ちょっと!ドレスの隙間指いれないでよ!」
セクハラにあってることだけはわかった。相手が男だろうからイライラもするが、触りたくなる気持ちはわからなくもない。
照明がついたら本当にミズキは怪盗らしき人の腕の中にいた。リュカよくキレなかった。なんだかんだリュカならすぐ対処できるのにしなかったのは作戦があるから。
「この宝飾品と異世界の花嫁は頂いていく」
ミズキもう無抵抗なんだけど?もうちょっとは抵抗するかと思ったのに。声がタイプだったとか?それなら厄介!さすがに怪盗の夫は増えても困る。それより予告してたのってネックレスだけじゃなかった?ミズキも連れていく必要あった?絶対惚れたやつじゃん困る!!
「ノア、追って」
「わかってる」
「こっちは任せてください。すぐ追いかけますから」
とにかくミズキを追いかけるために外へ出る。どこへいるかはすぐわかる、それは僕だけじゃなく他の夫達も全員。とにかく今は僕が追いかける。予告の品なんてどうでもいい、愛おしい妻のために。
場所は意外と離れてない、高い建物の上、ここは
「抵抗するなっ!」
「だから!人妻なの!ジャンル的にはアリかもだけど、あたし的に不倫はちょっと遠慮するとゆーか」
「一回だけでいいんだ、筆頭魔術師もいたから逃げ切れないってわかってる。その唇を一度でいいから味わいたい」
「なにそれっ!はずっ!」
告白やプロポーズに最適と今若い騎士達の間で話題になっているスポット、夜の街から邪魔をするところがなく城が見える絶好のロマンチックスポット。所有者の許可を得なければ入れないので邪魔も入らない最高の場所なのだ。この怪盗なる人物が許可を得て入っているかはわからないけれど、少なくともこの情報は近衛騎士の間で流行っているので貴族しかわからないはずだ。やっぱりこいつは貴族確定。ミズキの予想か当たった
「捕まったら結婚も出来るかどうかかわからない、だからたった一度の思い出として…いいだろ?」
「…それなら」
なんで流されるの!?ほんとミズキってば甘い。特に年下の男!僕が一番甘やかされてるのわかってるから事実!
「だめーっ!!!」
目を閉じてキス待ち顔だったミズキは驚いた顔でこちらを向いた。いやいや、驚くの僕だから、浮気現場だよこれ。
「ミズキを離せ」
「嫌だっ!ネックレスは返す!」
「逆!ネックレスなんて僕はいらないからミズキは返して」
「え?やだ、修羅場?あたしを巡ってってやつ?」
修羅場なんかじゃない!犯罪者に妻の唇が奪われそうになってるんだから止めるのは当たり前。
「筆頭魔術師、わかるだろ?女と1度も経験もせず牢にぶちこまれるくらいならこんな美しい人と口付けだけでも交わしたい気持ちが!」
「だから僕達の奥さんだからダメだっ!娼館にでもいけばいいじゃないか!」
「娼館は嫌だ!恥ずかしい!」
「えー、かわいいー、童貞?挿入しなくてもいいんじゃない?キスだけしたいって言えば娼婦達いっくらでもしてくれるんじゃない?だって貴族でしょう?」
ミズキがまさかの正体に気付くなんて…ジョエルが知ったら泣いて喜ぶはずだ。あの「なにも考えていないミズキが~」が口癖になりつつあるジョエルなのに、ミズキが怪盗が貴族子息だと気付いたなんて聞いたら盛大にパーティー催しちゃいそう。理由聞かれてはぐらかしてるの見てみんなで笑って。
じゃない!
「じゃあ一回だけね、顔かっこよさそうだしいいよ」
なんとなく顔立ちだけで選んでそんなこと言う!もう最悪。なんで夫以外の人間にキスするところなんて見なくちゃならないの?僕達だけのミズキなのに。してほしくなくて肩を掴んで止めようとしたらドレスだけ掴んでしまった。もちろん片乳は露になった。ニップレスは今日はないみたい
「ちょっ、やめて、えっと…」
恥ずかしがったのはミズキではなく目元を隠したままの怪盗。動揺している。でも僕はもう我慢できないから見せ付けてやることにした。魔術で拘束だけしてるけど下半身の状態的に立つことは出来ないだろう、違うところは勃起しているけど。
「僕のことだけ見て」
普段なら見せたくないって抱き込むけれど、今日は見せ付けるためだから体は密着させない。僕の腕でミズキのおっぱいを隠さないようにこの男のいる方と反対のおっぱいしか揉めない。
「んぅー、っ、んはぁ…」
鼻にかかった声で喘ぎ声が漏れるもんだからこっちも興奮する。一番大変そうな童貞がそこにいるけれど。
目の前に狙ってる女が片乳出しながらディープキスしてるなんて、隠してた目もかっぴらいて見てる。まぁこれから捕まるんだし最後の思い出にでもなるんじゃないかな?
ミズキが恥ずかしがってるのも新鮮ですっごくいい。人前恥ずかしいタイプじゃないはずなのに、まぁ言い寄ってきた男の前で夫とキスだから恥ずかしいのかな?それなら意外とかわいいところもあるかも
「ノア」
聞き馴染みのある声がしたから目線だけそっちに向けたらすっごい笑顔のジョエルがいた。あれ?追いかけてくるのジョエルだっけ?
ミズキを引き剥がしたと思えば、自分のジャケットをかけてあげてた。やっぱ紳士。
「じゃあこれは預かりますね」
ミズキの首にぶら下がっていた怪盗の予告の品を取って怪盗の前に。え?ミズキは?
「怪盗なんて言いながらやる義賊ごっこは楽しかったですか?あなたも立派な犯罪者ですから」
「いや、悪いことなんて」
「私の妻への猥褻行為は犯罪ではないと?」
「それは…」
怪盗で引っ張りたかったけど世論には勝てなさそうだから妻への猥褻行為で捕らえてから余罪出すんだろうな。ジョエルらしい。
「ちなみにあの詐欺師集団は無事全員捕らえたので暫くは私達と沢山お話ができますね、近衛の団長ももっと言えば騎士団の団長も大変に楽しみにしているそうですよ。義父も義弟も平和を愛してはいますが、愛すべき部下から犯罪者が出てしまうことを嘆かわしく思っていることでしょう。ほら、いつまでも座っていないで行きますよ、そろそろその股間の物も落ち着いたでしょう?」
えー、勃起がおさまるまで待ってたの?意外~って思ったけど、ジョエルが怪盗連行するのに相手勃起してたらそれがニュースになりそうだし仕方ないかも。僕にもなんか怒ってるけど無視、怒られたくないもん。
「ノア、今日はあなた以外はこの件で帰れそうにないのでミズキのことを頼みましたよ」
2人!?家に2人でいいってこと?やったー!!!!
「ミズキ、今日は家にふたりっきりだって」
「ノアすっごいやる気じゃん…」
「だって子作り解禁だよ!?」
「子作りセックス?」
もうだめだ興奮しすぎててやばい。ミズキの口から子作りセックスなんて出てくるなんて…
「ミズキだいすきっ!」
「あたしも。大好きだよ。子作りセックスってなんか…恥ずかしいね」
恥じらうところなんて普段あんまり見ない。僕以外には見せてるのかもしれないけど、いつも笑ってて余裕があってエッチなミズキと違うのもいい。そう、すごくいい。
「赤ちゃんは欲しいけど、あんまり早くできちゃうのも…残念かも」
「なんで?ノア赤ちゃんほしいって」
「避妊しないでするセックスなんて普段ないでしょ?だから惜しいなって」
「いつもナマ中出しじゃん」
「もー!そういうとこ!避妊は僕の方からしてるんだから気持ちがちがうの」
むきになって言えばすごく嬉しそうに笑ってた。やっぱりちょっとだけ年上なんだなって思うときでもある。いつまで経ってもミズキの好きなところを再発見できるのは本当に幸せだ。
「ほらおうち帰ろう。するんでしょ?子作りセックス」
ぎゅっと抱き締められてからはもう理性もどっか行った。誰もいないのをいいことに家のあらゆるところでセックスしまくった。ミシェルにもジョエルにも怒られるけど仕方ない、したかったんだもん。
でも本当に妊娠してミズキが悪阻で生死をさ迷う日々が続くなんてこのときは思ってもみなかった。ほんと後悔!全部怪盗のせい!
end
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