単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
33 / 167

第32話 団らん その1

しおりを挟む
 晩ご飯の準備も完了して、いよいよ、食事の開始だ!
 みんなで『いただきます』をして晩ご飯が始まる。

 咲子や真央は早速、唐揚げを箸で掴みに行く。
 そして……2人とも美味しい、美味しいと言いながら唐揚げを食べている。
 俺と母さんはそれを見届けながら、俺は缶ビールのプルタブを開けて、母さんのコップの方に持って行く。

「母さん、お疲れ!」
「晩ご飯作り、大変だったよね」

「あら、お父さん、ありがと♪」
「そりゃあ、大変よ♪」
「でも、やはり、子ども達が美味しそうに食べてくれると、作った甲斐が有ったよ♪」

 母さんは、そう言いながらコップを持って、俺が缶ビールを注いでいく。
 ビールは、泡をそう立てずにコップ注いでいく……。下手な人がビールを注ぐと、泡だらけのビールと成ってしまい、飲みにくいし美味しさも半減する。
 比較的バランスの良い感じで、母さんのコップにビールを注げると、母さんが言ってくる。

たまには、お父さんのも注いで上げようかな♪」

 今度は母さんにビールを注いで貰うが、やはりと言うか、コップには泡だらけのビールが完成してしまう……

「あはは、失敗しちゃった♪」
「ビールを相手に注ぐのも中々難しいね!」
「ごめんね~~」

 母さんは笑いながら謝る。

「俺は全然平気だよ!」
「母さん、今日は来てくれてありがとう!」
「乾杯!」

「はい、乾杯!」

 俺は母さんのコップを『カチン』と鳴らして乾杯をして、ビールを飲み干す。
 殆ど泡だらけのビールだが、やはりこの時期、最初の一口が最高に旨い。母さんもコップを空ける。

「母さん、もう一杯行く?」

「ん~~、ビールより今はご飯かな♪」

「そう…」

 母さんはそう言いながら、咲子達と同じように唐揚げを箸で掴みに行く。母さんも美味しそうに唐揚げを食べている。
 俺はそれを眺めつつ、手酌で缶ビールをコップに注いでもう一杯飲む。家は手酌が基本で有る。

「うん、やっぱり夏はビールだ! 俺も、早速唐揚げを行くか!!」

 唐揚げは、大きなお皿一枚では乗り切らずに2皿に成っている。結果的に別けるつもりでは無いはずだが、咲子が揚げたお皿と母さんが揚げたお皿と別れてしまった。

(さて、どちらから食べようか?)
(咲子には悪いが、母さんの方が見た目は美味しそうだし……)

 俺は、お皿を見ながら考えていると、急に咲子が俺の小皿に唐揚げを数個載せてくる。もちろん、咲子が揚げたお皿からだし、咲子が食事で使っている箸で唐揚げを載せる!?

「ほらほら、お父さんが大好きな唐揚げだよ! たくさん食べてね!!」

「あぁ、ありがと……では、早速食べるよ」

 今まで、気にした事は無かったが、咲子と間接キスの状態だ。しかし、咲子は気にせずにご飯を食べている。
『家族だから当然だ!』と、俺は脳に上書きをしてから、咲子が揚げた唐揚げを食べる。
『カラッ』と揚がっているが、少し揚げが甘い部分が有る。初めて揚げた唐揚げだから、ここで小言を言うのはお門違いで有る。

「うん。咲子、美味しいよ」
「火も通っているようだし、母さんと同じ味がするよ!」

「えへ、お世辞でも嬉しいよ!」
「でも、味付けしたのは、お父さんと真央だからね!」
「まだ、まだ、一杯有るからね!」

 俺は、唐揚げやサラダをつまみにビールを進めていく。
 母さんのその後は、ビールからジュースにチェンジしたようだ。咲子や真央達もジュースを飲んで晩ご飯を楽しんでいる。
 適当に周りと、雑談や日常を話ながら、話掛けながら晩ご飯と会話を楽しんでいる。
 俺も適当に会話に混ざりつつ、食事を楽しんでいると、真央が珍しく俺に声を掛けてくる。

「お父さん!」

「どうした、真央!」

「あのね、お父さん! 私ネコ飼いたいの!!」
「私の友達の奈子ちゃんが、ネコ飼っていて凄く可愛いの!」
「ちびちゃんと言ってね、人懐っこいネコだけど、臆病なの……」
「私もそんな、短足ネコ欲しい!!」
「臆病は要らないけど…」

 真央は一気に俺に向かって話すが、全然話の内容が掴めない!
 要約すると、ネコが飼いたいで良いのだろうか?
 しかし、情報が多すぎて、解釈が難しすぎる!!

「えっ、短足ネコ!」
「そんな、ネコ居るの!?」
(……短足ネコってなんだ? 子ネコの事?)

「居るよ! 私も、短足ネコ飼いたい!!」

「そうか…」

 俺は、状況がさっぱり飲み込めないので、母さんに話を振る。
 
「なぁ、母さん。母さんは真央から聞いている?」

「ええ……」
「夏休みに、真央が友達の奈子ちゃんの家に招待されて、そこでネコと遊んだらしいの!」

「短足ネコとは、マンチカンって言う品種なの!」
「短足だから、成長しても大きな子ネコに見えてしまうの。それから、真央はすっかりにネコに目覚めちゃって!」

「家では飼えないよと、何回も言ったんだけど、真央は中々諦めなくて……」
「それで、お父さんが良いと言ったら、仕方無いかなと思って…」
「でも、その品種。調べたらお値段が結構するのよね。私からしたら……ねっ!」

 最後の方は、ばつの悪そうな顔をしながら母さんは言った。

(ペットは中々大変だからな…)

 母さんの気持ちも分かるが、真央を悲しませる訳にはいけない。
 どうしようかと考える俺だった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...