単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第42話 オセロゲーム その1

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 俺と母さん達は、焼肉屋からタクシーに乗ってアパートに無事戻り、みんな普段着に着替えて、しばらくは焼肉屋での思い出話を居間でして、一区切り着いたら俺から順番にお風呂に入っていく。

 別にお風呂に行く順番は特に決まってないが、母さんが『お風呂入ってきたら!』と言ってくれたのでお風呂に入る。
 焼肉屋でビールを6杯飲んだ割には、意外にそう酔ってはおらず、普通にお風呂に入って、体を洗って、湯船に浸かってお風呂から出て来る……

 風呂上がりのビール(発泡酒)も最高だが、今日は止めておこう……。代わりに麦同士の麦茶を台所で飲んでから部屋に戻る。

 居間に戻ると母さん、咲子、真央と部屋には居るが、母さんは部屋で横に成っていた。そして、母さんの体にはタオルケットが掛けられていた。
 俺は体調でも崩したかと感じて、母さんに声を掛ける。

「母さん、大丈夫か?」
「体調悪いの?」

「あっ、お父さん。少し酔ったみたい……」
「はしゃぎ過ぎたかな…」

「水でも持って来ようか?」

「水は、さっき飲んだから大丈夫…」

「そうか…」
「布団敷こうか?」

「しばらく、横に成っていれば大丈夫のはず…」

 母さんはその様に言って、目を瞑る。
 何時もの元気な口調では無い話し方をするが、本人が大丈夫だと言っているし様子を見る。

 咲子と真央は、咲子が持って来たのだと思われるオセロゲーム(リバーシ)をしていた。特に母さんを心配する事無く普通にプレイしていた。
 普通ならお母さんを心配するはずだが、酒で酔うのは自業自得の面が強いから何とも言えない。

「咲子。真央。お風呂空いたよ…」

「あっ、うん。分かった…」

「は~い」

 咲子、真央とそれぞれが返事をするが、2人共お風呂には行こうとはしない。
 オセロゲームの決着が着くまでは、恐らく行かないのだろう。
 2人がやっているオセロゲームの盤面を見る……

(咲子が黒で、真央が白か……)
(4つ有る角の内、2つは咲子が取っているか……。圧倒的に咲子が有利だな)

 当たり前だが、咲子の方が大人だ。
 オセロゲームは運の要素より、頭の回転が良い人や、先読みをする能力が高い人が圧倒的に有利で有る。

 まだ、小学生の真央と学生の咲子とでは、真央が不利に決まっている。咲子は更に角を押さえており、真央の白石が黒石に圧倒されている。
 誰がどう見ても、真央の負けは目に見えていた……。咲子は追い打ちを掛けるように更に角を押さえる。

「あっ、咲子お姉ちゃんずるいよ~~」

「ゲームだからと言っても、私は手加減しない主義なの!」
「さっ、真央の番だよ!」

「う~~~」

 半べそを掻きかけている真央。ゲームに勝てないから悔しいのだろう……
 真央は俺に助け船を求めて来る。

「お父さん!」
「咲子お姉ちゃん。ずるいんだよ!」
「全然、私を勝たしてくれないもん!!」

「う~ん」
「俺も、オセロは得意では無いからな…」

 真央は俺が当てに成らないと感じたのだろう。

「もう、私止める!」
「絶対勝てないもん!!」

「あっ、こら、真央!」
「途中で止めない!!」

 真央はオセロゲームを放棄して、自分のスマートフォンを操作して画面を眺め始める。

「あ~~、完全勝利目指していたのに……」

 咲子はそう言いながら、オセロゲームを片付け始めるが……
 急に咲子が、俺の方に目を向ける。

「お父さ~ん!」
「私(咲子)とオセロしようか!」

 母さんの口調を真似てか、咲子は俺に対戦を求めてくる。
 母さんの口調を本当に上手に真似るので、俺は一瞬だが『ドキッ!』としてしまう。

「……さっきも言った通り、そんなに強くないぞ…」

「強く無いと言える事は、オセロは出来るんでしょ!」
「なら、やろうよ!!」

「え~~」
「酒飲んだ状態で、頭を使うゲームをるのか…」
「少し……、厳しいよ…」

 俺は咲子とのオセロゲームを断ろうとすると、真央はスマートフォンの画面を見るのを止めて、俺に言って来た。

「お父さん!!」
「私(真央)のかたきを取って!!」
「何時も、手抜かないんだもん!!」

「ほらほら、真央に言われているよ!」
「お父さん!」

 咲子は余裕な口調で俺に対戦を申し込んでくる。咲子は余程、オセロゲームに自信が有るのだろうか……
 スマートフォンのゲームアプリでも、オセロゲームにそっくりのゲームは有る。咲子はそのゲームで腕を鍛えたのだろうか?

 テレビゲームの時は、ほぼ惨敗だったが、オセロゲームならまだ勝てるのか?
 母さんは本当に寝ているらしく、普段なら絶対に話の輪に加わって来るが、今日は加わって来ない……

「仕方無い、真央の敵を取ってやろう!!」
「覚悟しておれ!!」

「そう来なくては!」

「絶対勝ってよ! お父さん!!」
「負けたら、もう、口聞かないからね!!」

 真央はとんでもない事を言う。
 オセロゲームをゲームの初期状態にセットして、咲子とオセロゲームを始める。
 焼肉屋で飲酒をした事によって、判断力が思いっきり鈍っているはずだが、小生意気の娘を『ギャフン』と言わせられるかも知れない……
 咲子とのオセロゲームの対戦が始まった……
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