単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第50話 中華料理店 その1

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 朝食の後は朝食の片付け、普段の家事を行なう。
 洗濯は母さんと真央の分が無いため、1回の洗濯で終わる。
 母さんと真央は、昼食をこちらで食べたら帰ると昨夜聞いたが、昼食をどうしようかと俺は考える……
 家事も一段落付いた時に、母さんに俺は声を掛ける。

「母さん」
「お昼はどうするつもり?」

「お昼?」
「う~ん……どうしようかね?」
「何処か食べに行きたいけど、大分散財してしまったからね…」

 母さんは苦笑いをしながら言う。
 焼肉屋の事を言っているのだろうけど、実はショッピングモールでも、母さん達は色々買い物していた。

「母さん。お昼は中華料理屋に食べに行かない?」
「お金の方は、俺が出すよ!」
「行き付けと言う程では無いが、美味しい店が有るんだ!」

「中華?」
「この時期に……暑いよ」
「晩ご飯ならまだしも、昼ご飯にね~」

 母さんは微妙な顔をしながら言う。

「まぁ、中華と言ってもおすすめが有ってね、そこの叉焼チャーシュー麺が俺のお気に入りなんだ」
「ラーメン専門店では無いから、麺とスープが少し弱いけど、スープはとりガラ出汁がベースで、叉焼が普通は豚肉だけどそうでは無くて、牛のもも肉を使った叉焼なの!」
「牛肉だけど、意外にあっさりしていて、この時期でもペロリと食べられるんだ!」

 俺はその様に母さんに力説をしているが……

「牛肉の叉焼か……珍しいわね。でも、お値段結構するよね!」

「まぁ、少しお高いかな…」
「でも、モグモグの評判は良いんだよ!」
「前調べたら、3.8も有ったんだよ!」

「お父さんが、其所が良いと言うなら良いけど、追加のお小遣いは出さないよ!」
「それなら良いけど…」

 母さんは顔をしかめながら言う。

「まぁ、まぁ、そう言わずに………、母さんも美味しい食べ物は好きでは無いか!」

「そりゃあ、そうだけど…」

(おかしいな。普段の母さんなら乗り気で来るのに?)
(母さんと言い咲子と言い、今日は何だか変だな?)

 そう考えながら、再度母さんを説得させようとした時に、咲子と真央がこちらにやってくる。

「お父さん、お母さん。今からはどうやって過ごすの?」

 咲子がそう聞いてくる。

「今からか。母さんどう過ごす?」

「私は昼から帰る身分だから、お昼まではゆっくりしたいな♪」

「だそうだ、咲子、真央」

「じゃあ、また、みんなで出来るゲームでもする?」

 咲子はその様に言う。

「それは、トランプ、オセロ、TVゲーム(ブレーカー)内どれかか?」

「あっ、お父さん。後、将棋も出来るよ!」

「将棋も持って来たのか!?」
「でも、母さんと真央は、本将棋は出来ないだろう?」

 俺がそう言うと、母さんが反論してきた。

「あら」
「はさみ将棋とまわり将棋と将棋崩しなら出来るわよ♪」
「お父さん! 勝負する?」

 母さんは急に乗り気になってきた。
 ここでおだてておけば、母さんの事だ。事がスムーズに運ぶに決まっている。

「良いね!」
「手加減はしないぞ母さん!!」

「じゃあ、決まりだね!」
「私(咲子)、将棋盤と駒を持ってくる!!」

 こうして、昼食の時間まではみんなで将棋(はさみ将棋・まわり将棋・将棋崩し)を楽しむ。

 はさみ将棋は2人でしか対戦出来ないが、まわり将棋、将棋崩しはみんなで楽しむ事が出来る。
 はさみ将棋等のゲームを真央は全然知らなかったが、単純なルールで有ったため直ぐに理解してくれて輪に加わる。

 咲子は何処で覚えたかが本当に分らないが、はさみ将棋以外は運の要素が強いため、俺でも健闘する事が出来た。

 母さんとのはさみ将棋勝負は、母さんの辛勝しんしょうで有った。
 その後咲子から、はさみ将棋の勝負を挑まれて挑戦したが惨敗だった……

 朝から何時もと様子が違う、母さんと咲子だったが、時間が経つに連れて、普段の姿に戻っていった。
 将棋ゲームをお昼まで楽しんで、いよいよ昼食の時間で有る。

「母さん、お昼はどうしようか?」

「お父さん! 中華料理屋さんに行こう!」
「お父さんの言っていた、牛肉の叉焼麺を食べてみたいし♪」

「じゃあ、そうしようか?」
「昼食食べたら、帰るのだよね……」

「そうだね!」
「時間的に夕方までには帰りたいから、そうなるね!!」

「じゃあ、中華料理屋には車で行って、食べ終わったら駅に向かうで良いかな?」

「そうなるね。うん!」

 母さんと話が纏まった事で、母さんと真央は荷造りと着替えを始め、俺も出掛ける準備をする。
 咲子も話は聞いていたはずだが、将棋盤を片付けて部屋に戻ってくる。着替えは完了しているようだ。

「お父さん!」
「そこは、美味しいの?」

「中華料理屋の事か?」
「俺的には好みの味だな。普段はラーメンが中心だが」

「成る程!」
「何か、おすすめのメニューは有るの?」
「ラーメン以外で!」

「有るけど……咲子は良いのか?」

「?」
「何が?」

「いや……荷造りはしなくても?」

 咲子がみずから言おうとしないから、遂に俺から聞いてしまうが、咲子はサラッと答える。

「あれ?」
「お母さんから聞いてないの?」
「まだ、居るよ!」

「あっ、そうなんだ…」
「チラッとは聞いたけど、咲子からは聞いて無かったから」

「まぁ、そう言う事!」
「でっ、おすすめは?」

 咲子は悪びれる様子も無く、中華料理のおすすめを聞いてくる。咲子らしいと言うべきなのか……
 俺が中華料理のおすすめを咲子に話していると、母さんと真央の荷造りは済んだと、母さんから声を掛けられる。

 母さんと真央の荷物を車に積み込んで、俺達家族は中華料理屋に車で向かう。
 母さんと真央との生活は後少しだが、咲子との生活は少し残っている。
 事情を知っている咲子だから、今晩は特に警戒しなければならない。
 そんな事を思いながら俺は車を走らせた。
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