単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
94 / 167
番外編

第15話 今日の宿泊先 その4

しおりを挟む
 おすましが来ると……真央も釜飯を茶碗に盛り付けて食べ出す。
 先ほどの言葉の感じからして、釜飯は食べられるのかなと思ったが、美味しそうに食べている。
 どうやら……真央はお腹具合の計算をして、焼き魚は故意に食べ無かったようだ。

 俺以外の母さん達は釜飯を食べ始める。
 俺はもう少し飲みたい気分だが明日の事有るし、俺だけ残って飲むのも気が引けるので、俺も早々酒を切り上げる。
 焼けた肉を咲子は丁度食べようとしている。

「うぁ!」
「みんなの言う通り、凄く美味しいお肉!!」
「おろしポン酢でさっぱりだし、これは釜飯より、絶対白いご飯だよ!!」

 咲子は釜飯と焼肉で一緒に食べているが、咲子の言う通りで有る。
 キノコと山菜の釜飯だから、合う事は合うだろうが、俺だって白米が合うと感じる。

「白いご飯無いかな~~」
「一緒に食べると釜飯の味がぼやけるし、肉だけでは何だかな…」

 咲子はそう言う。
 他のお客さん達に、白いご飯が提供されていれば白米が有るはずだが、最初レストランに入った時、案内されながら周りをチラリと見たが、ここのコース全てのご飯は、釜飯の感じで有った。
 諦めきれない咲子は、テーブルの横に有るドリンクメニューを見ているが、当然ご飯なんか書いて有る訳が無い。

「うぅ~~」
「ご飯が無い……」

「……聞いて見ようか?」

 咲子の状況をくみ取った、宮子がそう聞く。

「…お姉ちゃん。聞いてくれるの?」

「私の親友でも白米を食べたいと言う子が居てね。聞いて見た事が有るのよ…」
「有れば良いけど…」

 宮子はスタッフを呼び、直ぐにスタッフは席にやって来る。

「すいません……。ご飯いえ、白米は有りますか?」

「えっ!?」
「白米ですか!!」

 スタッフは何故かびっくりした表情で言う。
『まだ、食べるの!?』の顔を一瞬する。

「ご飯は……厨房に聞いてきます…」

 レストラン内のお客さんは大分少なく成ってきており、周りの話し声が少なく成った所為か、厨房からの話し声も比較的聞こえる様に成っていた。
 洗い物の音やスタッフ同士の会話が聞こえる時も有ったが……

『えっ、ご飯!?』

 厨房の人もびっくりしている様だ。はっきり聞こえてしまった!?
 しかし、それ以外の声は聞き取れない。
 釜飯を食べて、更に白いご飯を要求する宿泊客なんて、普通はいないのだろう……
 しばらくすると、先ほどのスタッフが戻ってくる。

「厨房に確認を取りました所、出来るそうです…。ご飯は幾つでしょうか?」

「……咲子以外に、ご飯欲しい人」

 宮子は俺達に尋ねるが、名乗り出る者は居ない。

「すいません。1つでお願いします」

「少々お待ち下さい…」

 スタッフはそう言って席から離れていく。

「……意外に有る物だね」

 宮子は澄ました表情で言う。

「ありがとう。お姉ちゃん!」
「こんな美味しいお肉を、白いご飯で食べなければバチが当たるよ!!」

「それは、どうも…」

 咲子は感謝して、そつなく返す宮子。
 何だか凄く自然なやり取りに見えた。

 厨房から機械音が聞こえてしばらくすると、茶碗に盛られた白米をスタッフが運んでくる。無理して用意したのだろうか?
 それを、お礼を言いながら喜んで受け取り早速、白米と焼肉を合わして食べる咲子。

「うん!」
「やっぱり最高~~。みんな勿体ないね!」
「焼肉には白いご飯だよ!!」

 咲子は笑顔で、頬にご飯粒を付けながら言う。

「お母さんも、そうすれば良かったな♪」
「う~ん……でも、ワインとも合ったし、良かったね咲子♪」

 母さんは、咲子にその様に言う。

「咲子の食欲には呆れるわ…」

 宮子はその様に言うが、顔は微笑んでいた。
 俺はその光景を眺めながら、酔い覚ましにおすましをすすった……
 
 ……

 俺も釜飯を食べて、季節のフルーツも食べて家族全員が完食する。

「ふぅ~」
「流石にお腹一杯だわ♪」

 母さんは、軽いため息をしながら言う。

「私(咲子)もこれ以上は食べられないな…。外食でこんなに食べたのは、焼肉以外では初めてだよ」

 そう言う咲子だが、俺と咲子は何回か外食をして、毎回俺以上食べていたのに、あれでも足りなかったのか?
 咲子を彼女にする男性は、咲子の食べっぷりを見たら、財布の関係で直ぐに逃げ出すなと思ってしまう。

「私(宮子)もお腹一杯だわ…」

「私(真央)も!!」

 こうして……宿泊先での晩ご飯は、みんな大満足で終わりを迎えた。

(この後はどう過ごすのだろうか?)

 俺はそう思いながら、全員で部屋に戻った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...