【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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ケアンズ観光2日目 編

アーミーダックツアー

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 私は両手にフォークとナイフを持ち、ピザみたいなクレープを食べていく。

 お店のメニューにはクレープと書いてあるけれど、どうやらバックウィート――蕎麦粉を使っているので、厳密にはガレットみたいだ。

 私の認識では、小麦粉を使った生地がクレープ、蕎麦粉がガレットという分け方になっている。

 それを思うと、キュランダでもパリでも、その土地で採れた蕎麦粉を使っていると思うと不思議な気持ちだ。

 やっぱり蕎麦粉と聞くと日本のお蕎麦を思いだしてしまうので、「海外にもあるの?」と思ってしまう。

 ただ、とても当たり前の事だけど、小麦粉を使って海外ではパン、パスタなどが作られていて、日本ではうどん、ラーメンが作られていると言われれば「ああ、そうか」となる。

「んまぁ! ハムとチーズ正義!」

 私が鳴き声を上げると、恵が「良かったね」と相槌を打ってくれる。

 ちなみに涼さんはカンガルー肉の入ったクレープをオーダーした。好きよのう。

 ランチ時なのでみんなでとりあえずしょぱい系のクレープを食べて、恵は甘い系を涼さんとシェアするみたいだ。

 尊さんは「俺は甘いのはいい」と言っているけれど、なんだか私が甘いのを独り占めしているみたいで、少し気まずい。

 それでも食べ物様を前にした時に、罪悪感などいう感情を抱いていてはいけないので、許可された以上美味しくいただいた。





 お腹が満たされたあと、私たちはレインフォレステーションに向かい、そこからアーミーダックツアーへ向かう事になった。

 アーミーダックというのは、第二次大戦中に実際に使われていた水陸両用車で、正式名称はDUKWと言うのだけれど、それが愛称となってダックに繋がっている。

 レインフォレステーションにはアーミーダックが十二台あり、午前十時から十四時まで、毎時間一回ツアーに出ている。

 チケットを買って日本語のマップを手にすると、遊園地のアトラクションのように、乗り場から少し低くなった所に二台のアーミーダックがついている。

 なんと、一台につき全長約9メートル、幅は2.5メートルあり、二十人から二十五人は乗れるビッグサイズの乗り物だ。

 形はボートみたいに先端が突き出ていて、へこんだ所には六列ぐらいのオレンジ色のシートがあり、外装は黄色と緑の迷彩チックなシマシマだ。

 エンジンがついていて水場では船として進むし、陸上に上がると車輪でグイグイ進んで行くパワータイプの乗り物だ。

「すっご……、楽しみ」

 四人で横並びに座った私は、ドキドキして笑顔になる。

 尊さんと涼さんは経験者だし大人なので、楽しめるようにと私と恵に外側を譲ってくれている。

 けれど真ん中で体の大きい二人がお隣さんになっているので、ちょっとクスッとしてしまう。

 やがてジャングル探検隊みたいな、ハットにカーキ色のシャツ、紺色のハーフパンツを穿いた男性が現れ、アーミーダックの外に手や足、顔を出さないでねと注意を出す。

 時間になっていざ出発すると、舗装されていない道路を進んで行くので、ガタガタしていて乗り心地はあまりよくないけれど、楽しさは抜群だ。

 運転手さんは英語で解説をしながらゆっくりとアーミーダックを走らせてくれ、隣から尊さんと涼さんが私たちに同時通訳してくれる。リッチだ。

 熱帯雨林の森を進んでいると、まるで某ジュラシックな恐竜映画の世界に入ったような気持ちになる。

 幸い、私たちは尊さんたちに訳してもらっているけれど、言葉が分からなくても日本語のマップがあるのでなんとかなる。

 途中で大きな蟻塚を見たり、エルクホーンファーン、スタグホーンファーンという、養成植物を紹介してもらう。

 基本的に他の木に寄生して育っていく植物で、最終的には寄生された木は痩せ細って倒壊してしまうんだとか。恐ろしい子……。

 他にも〝ちょっと待っての木〟というのがあり、中央の茎から左右に細長い葉がワサワサ生えているヤシ科の植物は、棘のあるつるを伸ばして光のあるほうに伸びる習性を持っている。

 その尖ったつるが服に引っ掛かるので、〝ちょっと待っての木〟と呼ばれているそうだ。

 やがてアーミーダックがゴットンゴットン進んで行くと、お待ちかねの水場に着いた。

 水場の前で運転手さんは、二手に分かれた道を示してこう言う。

[左手に向かえば安全な地上の道。右手は水の道。今なら安全な道を進めますが……、右に行きたい人は?]

「はーい!」

 私はご機嫌で手を挙げ、大きな声で返事をする。

 そのあとも運転手さんは[ライフジャケットがあるけど……、これは僕の]と冗談をかましてくれる。

 水場の入り口にはカメラがあり、なんとそこで記念撮影ができる。

 きっとリモコンで写真を撮っているのだと思うけれど、[3、2、1、チーズ]の掛け声と共に、私は尊さんに寄り添い、ピースをした。
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