【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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送り狼 編

……試してみるか? ☆

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 私は溜め息混じりに言う。

「……公私混同って言いたいんですよね。……分かってますよ。来週からちゃんと働きます」

 私はブスッと頬を膨らませ、冷たい窓に額を押しつける。

 窓の外を見ていると、イルミネーションやらクリスマスカラーの飾りが胸に痛い。

 まだ昭人と付き合っていたなら、今年のクリスマスも一緒に過ごしていたのに。

 プレゼント交換をして食事をして、可愛い下着をつけて、スペシャルな日だからその日はエッチを求められたら応えようと思ってた。

 ――でも。

「今年はあいつ、私じゃない女とクリスマスを過ごすんですよ。九年も私と過ごしていたのに。誕生日も祝ってくれて、そのあとはすぐクリスマスで、思い出が一杯なのに……っ」

 思いだしてまた泣き始めると、部長が冷めた口調で言った。

「セックスするの断ってフラれたのに、元彼が今の女とセックスするのが気にくわないのか。自分勝手すぎやしないか?」

(そんなにセックスセックス言わないでよ!)

 私はチラッとバックミラーを見る。

 けれど運転手さんはこういう会話を聞くのは慣れっこなのか、まっすぐ前を見ていた。

 私は半分安堵し、半分「やっぱり聞かれてるよな」と思いながら、ブスッとして返事をする。

「……だって、一応私の彼氏でしたし」

 言い訳するように応えながら、自分が彼に不満を抱かせてしまった事を自覚する。

 私は大した事じゃないと思っていた。

 昭人とは一緒にいるだけで楽しかったし、エッチしなくても十分だと思ってた。

 だって痛かったし、そんなにいいものだって思えなかった。

『ムラムラするなら手とかでするよ』って言ったけど、昭人は『いいよ』と辞退して一人で処理していたようだった。

 問題ないと思っていたけど……、……フラれたっていう事はやっぱり問題あったんだろうな。

 車内に沈黙が落ちたあと、私は部長に尋ねる。

「男性ってやっぱり……シたいんですか?」

「男の性欲のピークは二十歳前後。女の性欲のピークは三十代から四十代。それが噛み合う、噛み合わない恋人がいたって不思議はないだろう」

「…………うう……」

 私は頭を抱える。

(あいつが一番したくて堪らない時に、おあずけしまくってた?)

 だったら……、させてくれる彼女としたいって思っても仕方がないけど……。

 でもエッチってそんなに大事?

 あんなもの、気持ちいいなんて思えない。

 だから私は、また言い訳混じりに言った。

「……だって、気持ちいいって思えなかったんです。痛かったんです。何回か我慢して付き合ったけど、『もう一回したい』と思えませんでした。くっついているのは気持ちいいけど、デリケートな所を触られると痛くて……」

 部長相手に何言ってるんだろ。

 きっとまだ酔ってるせいだ。

 心の中で自分に言い訳をした時、部長がボソッと言った。

「……下手くそだったんだろうな」

 下手?

 私は思わず部長のほうを見る。

「……ど、どうして元彼が下手だって言えるんです?」

「女に『痛い』なんて言わせる奴は、下手以外の何者でもないだろう。俺だったら痛がらせず、ちゃんと濡らして気持ちよくさせてから抱く」

 その時、ずっと窓の外を見ていた部長がスッと私を見た。

 流し目を受け、私は思わずドキッと胸を高鳴らせる。

 ゲイかもとすら言われていた、女っ気のない部長が「濡らす」とか「抱く」とか言ったからか、普通の男性が口にするよりずっと卑猥に思えた。

 私が真っ赤になって固まり、部長を見つめていたからだろうか――。

「……試してみるか?」

 部長は普段は見せない妖艶な笑みを浮かべ、私の手を握ってきた。

 アホな事に、私は無言で頷き、彼の誘いを受けてしまった。



**



 自宅の賃貸マンションに帰り、シャワーを浴びていると、いきなり全裸の部長がバスルームに入ってきた。

 悲鳴を上げる間もなく、引き締まった体が目前に迫り、私をがっしりと抱き締めてくる。

 濡れた髪の毛を撫でられ――、唇を奪われた。

「ん……っ、む――――ふ、ぁ……っ、あ」

 ――とろけるような感覚って、こういう事を言うのかもしれない。
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