【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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篠宮家 編

副社長カップルと食事

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 そのあと、十二月四週目の平日夜に、風磨さんとエミリさんに会う事になった。

 尊さんとエミリさんの縁談(?)が正式に取りやめになったのかは、まだ決まっていない。

 今まで二人とも、怜香さんが猛プッシュしたから断れずにいた。

 けれど先日の席で尊さんが意思表示をした。

 加えて当事者であるエミリさんも「しない」に合意したなら、なかった事になるだろう。

 その打ち合わせもかねて、私たちは四者で顔を合わせて話す事にしたのだ。

 服装に悩んでいたら、尊さんに『先日ほどきちんとした格好でなくてもいい』と言われた。

 でもプライベートとはいえ、自社の副社長と会うので綺麗めの服を選んだ。

 どこのお店にするかはまだ聞かされていなかったけれど、デリケートな話を人に邪魔されず、落ち着いた雰囲気で話せるお店になるだろう。

 という事で、今日はテラコッタカラーのセンタープレスパンツに、上はベージュのニットアンサンブルを着て出勤した。

 程よく上品だし、かしこまり過ぎてもいない。

 会社では尊さんといつものように、ただの上司と部下として過ごし、それぞれ帰る。

 そのあと、中目黒駅に集合だ。

 私は交通機関を使い、尊さんは多分ハイヤーを使ったんだと思う。セレブめ。

 中目黒駅に着くと、ダークスーツにグレーのコート、えんじ色のマフラーを巻いた尊さんが「おう」と片手を挙げた。

 ……やっぱり顔がいいな……。

 あと、遠目から見たシルエットがいいし、一見めちゃいい男だ。

 周囲には待ち合わせの人が大勢いて、若い女性たちは尊さんをチラチラ気にしている。

 けど彼が私に声を掛けた時点で「女つきかよ」と一気に冷めた目になった。面白い。

 そのあと、私たちは徒歩少しにあるイタリアンレストランに向かった。





 通されたのは個室で、そこにはすでに風磨さんと彼女――エミリさんがいた。

「初めまして」

 彼女は私たちの姿を見て、サッと立ちあがった。

「初めまして。商品開発部、企画三課の上村朱里です」

 私はエミリさんにペコリと頭を下げ、風磨さんにも会釈した。

 エミリさんはパッと見、華やかな美女だ。

 身長は百六十五センチ以上はありそうで、スラッとしてスタイルがいい。

 目が大きく、他のパーツも整っていて女優さんみたいで、抜け感のあるナチュラルメイクを施している。

 これでビシッと完璧なメイクをしたら、近寄りがたい雰囲気になりそうだしな……。

 彼女は全身から明るくて社交的なオーラを醸しだし、滅多にお目にかかれない美人だけど、親しみやすさを抱かせる。

 加えてパッと見て、「やな感じ」がまったくしなかった。

 容姿に恵まれて仕事ができて、性格までいいなんて……と思いがちだけれど、世界にはそれらを備えた人がいる。

 ――完璧だなぁ……。

 私は胸の奥で呟く。

 王子様的な副社長が惹かれるのも仕方がない。

 こんな秘書が側にいたなら、誰だって恋に落ちるだろう。

 お見合いするはずだった尊さんは……。

 チラッと彼を盗み見すると、バチッと目が合ってしまった。

(あ……っ)

 何か言う前に、尊さんはニヤッと笑って私の頭を撫でてきた。

(~~~~っ! 考えてる事、筒抜けだったかもしれない!)

 尊さんには心配するなって言われたし、エミリさんは風磨さんとラブラブなのに、私一人だけが嫉妬しかけて……って、普通に恥ずかしい。

「とりあえず、座って。今日は来てくれてありがとう」

 風磨さんに言われ、私は赤面しながらテーブルにつく事にした。

 飲み物をオーダーしたあと、風磨さんが切りだした。

「二人とも、先日はすまなかった」

「いいえ、終わった事ですし」

「そうそう。終わった事を蒸し返しても仕方ない」

 風磨さんは私たちの返事を聞き、安堵した表情になる。

「エミリ、俺たちの縁談? は破談でいいな? 当人同士の合意だ」

 尊さんは「縁談」を半笑いで言う。
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