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クリスマスデート 編
クリスマスデート
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……いや、前みたいに潰れたらアレなので、ほどほどにだけど……。
「美味いか?」
「美味しいです。尊さん最高。いい男!」
赤ワインを飲みながら浮かれて言うと、彼は呆れた顔をした。
「お前、飯や酒を驕ってくれる男に、ホイホイついていくなよ」
「何ですかそれ。飴ちゃんもらう子供じゃないんですから」
「お前は自分がかなり単純にできてるって、ちょっと自覚しておいたほうがいいぞ」
「単純って酷い」
「シンプル」
「英語に変えても駄目」
「可愛い」
「へっ?」
いきなり可愛いと言われ、私は目を丸くする。
「お前はな、ちょっとエサでおびき寄せられたらついていく、仔犬みたいなもんなんだよ。つらい事があって孤高ぶってるけど、中身は愛情に飢えた子供だ。だから危なっかしくて、目を離せないんだよ」
「そんなの……」
子供と言われてムッとしたけれど、彼の庇護欲を感じ、ジワッと頬を染める。
「元気なのはいい事だ。いつまでもそうやって俺に文句を言ってくれ。……ただし、俺の掌の上でな」
微笑まれ、この上なく恥ずかしくなった私は、誤魔化すようにワインを飲んだ。
レストランでの食事が終わったあと、私たちはスイートルームに向かった。
一番いい部屋らしくて、私はアホみたいな広さの部屋に入って途方に暮れる。
「どうだ? 気に入ったか?」
「…………アホですか」
私の言葉を聞き、尊さんはガックリ項垂れる。
「……お前、そういうところだぞ。素直なのはいいけど、肝心なところで男を立たせないと」
「別のところを勃たせてあげますから、いじけないでくださいよ」
そう言うと、尊さんは目をまん丸に見開いてドン引きした。
「……割とオヤジだったんだな……。うわぁ……、俺、恐くてそんな事言えねぇわ。今どき、すぐセクハラとか言われるし……」
「ちょっと! 今の喜ぶところでしょ!? せっかく勇気出して言ったのに!」
真っ赤になった私がポカポカと尊さんに殴りかかると、彼は声を上げて笑った。
そしてグイッと私を抱き寄せ、チュッとキスをしてくる。
「期待してるよ」
「っ~~~~」
妖艶に笑われ、お酒の力を借りて大胆にいこうと思ったのに、もう後悔していた。
……でもやられっぱなしは嫌だ。
私はキッと尊さんを睨むと、彼の腕を振りほどき、数歩離れる。
「クリスマスだから、高い下着つけてきたんです」
「それは素晴らしい。……まぁ、ここじゃなんだし、向こう行こうぜ」
尊さんは私の手をとり、ダンスのようにクルリと回してから、ソファのほうへ歩いていった。
そしてソファに座り、ジャケットのボタンを外してから脚を組む。
「どうぞ?」
小首を傾げて微笑まれ、一気にハードルが上がった。
(やっぱり自分から誘惑するとか、向いてなかった……! でも、今さら引き下がれない)
私は覚悟を決め、バッグをテーブルの上に置く。
キャメルカラーのコートのボタンに手を添えると、尊さんがスマホを出して操作し始める。
「これから脱ぐのに……」と思っていたら、いきなり部屋にあるスピーカーから、ムードのあるジャズが掛かってボボッと赤面した。
さらにハードル高くなった!
「恋人たちのクリスマスには、色気のある音楽がなきゃな」
「な、何ですかこれ!」
「あれ? ジョン・コルトレーン知らない?」
「し、知らないです。そ、そうじゃなくて……」
私たちがいるのはこの上なくお洒落な部屋だ。
雰囲気に負けそうだったからわざと茶化したのに、気がついたらこうやって尊さんのペースに乗せられている。
ずるい……!
絶望的な羞恥に襲われた私は、真っ赤になって両手で口元を覆った。
「お、照れた。可愛いな……」
座ったままの尊さんは、私の顔を覗き込んでニヤニヤする。
「美味いか?」
「美味しいです。尊さん最高。いい男!」
赤ワインを飲みながら浮かれて言うと、彼は呆れた顔をした。
「お前、飯や酒を驕ってくれる男に、ホイホイついていくなよ」
「何ですかそれ。飴ちゃんもらう子供じゃないんですから」
「お前は自分がかなり単純にできてるって、ちょっと自覚しておいたほうがいいぞ」
「単純って酷い」
「シンプル」
「英語に変えても駄目」
「可愛い」
「へっ?」
いきなり可愛いと言われ、私は目を丸くする。
「お前はな、ちょっとエサでおびき寄せられたらついていく、仔犬みたいなもんなんだよ。つらい事があって孤高ぶってるけど、中身は愛情に飢えた子供だ。だから危なっかしくて、目を離せないんだよ」
「そんなの……」
子供と言われてムッとしたけれど、彼の庇護欲を感じ、ジワッと頬を染める。
「元気なのはいい事だ。いつまでもそうやって俺に文句を言ってくれ。……ただし、俺の掌の上でな」
微笑まれ、この上なく恥ずかしくなった私は、誤魔化すようにワインを飲んだ。
レストランでの食事が終わったあと、私たちはスイートルームに向かった。
一番いい部屋らしくて、私はアホみたいな広さの部屋に入って途方に暮れる。
「どうだ? 気に入ったか?」
「…………アホですか」
私の言葉を聞き、尊さんはガックリ項垂れる。
「……お前、そういうところだぞ。素直なのはいいけど、肝心なところで男を立たせないと」
「別のところを勃たせてあげますから、いじけないでくださいよ」
そう言うと、尊さんは目をまん丸に見開いてドン引きした。
「……割とオヤジだったんだな……。うわぁ……、俺、恐くてそんな事言えねぇわ。今どき、すぐセクハラとか言われるし……」
「ちょっと! 今の喜ぶところでしょ!? せっかく勇気出して言ったのに!」
真っ赤になった私がポカポカと尊さんに殴りかかると、彼は声を上げて笑った。
そしてグイッと私を抱き寄せ、チュッとキスをしてくる。
「期待してるよ」
「っ~~~~」
妖艶に笑われ、お酒の力を借りて大胆にいこうと思ったのに、もう後悔していた。
……でもやられっぱなしは嫌だ。
私はキッと尊さんを睨むと、彼の腕を振りほどき、数歩離れる。
「クリスマスだから、高い下着つけてきたんです」
「それは素晴らしい。……まぁ、ここじゃなんだし、向こう行こうぜ」
尊さんは私の手をとり、ダンスのようにクルリと回してから、ソファのほうへ歩いていった。
そしてソファに座り、ジャケットのボタンを外してから脚を組む。
「どうぞ?」
小首を傾げて微笑まれ、一気にハードルが上がった。
(やっぱり自分から誘惑するとか、向いてなかった……! でも、今さら引き下がれない)
私は覚悟を決め、バッグをテーブルの上に置く。
キャメルカラーのコートのボタンに手を添えると、尊さんがスマホを出して操作し始める。
「これから脱ぐのに……」と思っていたら、いきなり部屋にあるスピーカーから、ムードのあるジャズが掛かってボボッと赤面した。
さらにハードル高くなった!
「恋人たちのクリスマスには、色気のある音楽がなきゃな」
「な、何ですかこれ!」
「あれ? ジョン・コルトレーン知らない?」
「し、知らないです。そ、そうじゃなくて……」
私たちがいるのはこの上なくお洒落な部屋だ。
雰囲気に負けそうだったからわざと茶化したのに、気がついたらこうやって尊さんのペースに乗せられている。
ずるい……!
絶望的な羞恥に襲われた私は、真っ赤になって両手で口元を覆った。
「お、照れた。可愛いな……」
座ったままの尊さんは、私の顔を覗き込んでニヤニヤする。
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