【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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確かめ合う気持ち 編

今は、俺のもん?

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「だから私は昭人を受け入れましたし、家庭の悩みをごまかすために、どんどん依存していきました。……結局、私は心から昭人を好きになれないまま、自分の孤独を癒す道具として執着し続けてしまったんです」

 そこまで言い、私は遠くを見て溜め息をつく。

「……昭人とエッチした時は、何とも言えない気持ちになったな……。『忍を想っているはずなのに、何やってるんだろう……』って。そう思ったらまったく乗り気になれなかったし、感じられないマグロ女になってしまったんです。愛撫されてもあまり濡れなかったし、大して好きでもないのにキスをして、性器に触れられて、挿入されて感じてるフリをするだけ……。……だから、昭人とのセックスはあまり好きじゃなかったんです」

 尊さんは私の話を聞きながら少し嫉妬したみたいで、ちょっとムッとした顔をしている。

 妬いてくれるのが嬉しくて、私はつい微笑んでしまった。

「でも、昭人は私を大切にしてくれたと思います。価値観の相違はあっても可能な限り私を尊重してくれたし、嫌な人ではなかったです。だから私も『もうちょっとこの人と一緒にいよう。そしたら好きになれるかもしれない』と思ってズルズル付き合い続けました」

 そう言ってから、私は過去の自分に反省して苦く笑う。

「人は時間を掛けて接し、お金も気持ちも注いだものに愛着を持ちます。心から大事ではなくても、大事なふりをする。……そうしているうちに、私は昭人の事を好きなんだと思い込んで、みっともないほど執着してしまいました」

 伝え終わった私を、尊さんは愛しげな目で見て笑いかけてくる。

「……今は、俺のもん?」

「そうですよ」

 クシャッと笑うと、彼は幸せそうに破顔した。

 そして、「あー……」と気の抜けた声を出して、私を抱き締めてくる。

「…………好きだ」

 しばらくしてから彼はそう言い、私はニヤニヤして返事をした。

「私も好きですよ」

「俺のほうが好きだよ。粘着性のある感情だし」

「んっふふふふ。納豆じゃないんですから。私だってずっと思ってたんですから、ネッチャリですよ」

「納豆カップルかよ」

「体に良さそうじゃないですか」

 私たちはいつものように軽口を叩き合い、笑う。

 ようやく和やかな空気になったあと、私は尊さんから聞いた長い話を少しずつ整理する事にした。

「……尊さんの話、おさらいしてもいいですか?」

「ああ」

 彼の返事を聞き、私は思いだしながら尋ねる。

「尊さんの……速水家の実家は、オーディオ機器で有名な『HAYAMI』?」

「そうだ。だから祖母や母も音楽への造詣が深くて、俺も影響を受けた」

「なるほど……。……今はその叔母さん、……ちえりさん? 以外とは交流がないんですか?」

「そうだな。速水家では、母の話はタブーになっているらしいから」

 勘当した娘と和解できないまま死別してしまい、尊さんのお祖母さんが後悔していないはずがない。

 けど、ちえりさんが言っていたように、きっと意地になってどうする事もできないんだろう。

 もう高齢だろうから、このままでは尊さんに会えないまま終わってしまうかもしれない。

(……何とか和解してほしいな)

 そう思ったけれど、現時点ではどうしようもない。

「……っていうか……、亘さんは……」

 さゆりさんの元をちょくちょく訪れ、尊さんがいるのに彼女を求めていたとか、呆れてものも言えない。

 すると尊さんは皮肉げに笑った。

「あいつに呆れるのは今さら……、だろ」

「そうですけど……。あぁー、もう……」

 当時は理解していなかったとはいえ、親のセックスを見てしまった小さい尊さんが可哀想だし、そのあとも父親としてもっとしっかりできただろ! と思ってしまう。

 男性が挟まると、女性は女性を憎むのかもしれない。

 けど、不甲斐ない男がいるからこそ、問題が起こる。

 一人を挟んでの三角関係なんて、よほどの事がなければ全員が納得する関係になんてならない。

 結婚したなら、どれだけさゆりさんを想っていても諦めてほしかったし、付き合っていた恋人を諦められないなら、親に逆らってでも添い遂げれば良かった。

 それができなかった亘さんは、今後すべての責任をとっていく……、のだと信じている。
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