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確かめ合う気持ち 編
今は、俺のもん?
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「だから私は昭人を受け入れましたし、家庭の悩みをごまかすために、どんどん依存していきました。……結局、私は心から昭人を好きになれないまま、自分の孤独を癒す道具として執着し続けてしまったんです」
そこまで言い、私は遠くを見て溜め息をつく。
「……昭人とエッチした時は、何とも言えない気持ちになったな……。『忍を想っているはずなのに、何やってるんだろう……』って。そう思ったらまったく乗り気になれなかったし、感じられないマグロ女になってしまったんです。愛撫されてもあまり濡れなかったし、大して好きでもないのにキスをして、性器に触れられて、挿入されて感じてるフリをするだけ……。……だから、昭人とのセックスはあまり好きじゃなかったんです」
尊さんは私の話を聞きながら少し嫉妬したみたいで、ちょっとムッとした顔をしている。
妬いてくれるのが嬉しくて、私はつい微笑んでしまった。
「でも、昭人は私を大切にしてくれたと思います。価値観の相違はあっても可能な限り私を尊重してくれたし、嫌な人ではなかったです。だから私も『もうちょっとこの人と一緒にいよう。そしたら好きになれるかもしれない』と思ってズルズル付き合い続けました」
そう言ってから、私は過去の自分に反省して苦く笑う。
「人は時間を掛けて接し、お金も気持ちも注いだものに愛着を持ちます。心から大事ではなくても、大事なふりをする。……そうしているうちに、私は昭人の事を好きなんだと思い込んで、みっともないほど執着してしまいました」
伝え終わった私を、尊さんは愛しげな目で見て笑いかけてくる。
「……今は、俺のもん?」
「そうですよ」
クシャッと笑うと、彼は幸せそうに破顔した。
そして、「あー……」と気の抜けた声を出して、私を抱き締めてくる。
「…………好きだ」
しばらくしてから彼はそう言い、私はニヤニヤして返事をした。
「私も好きですよ」
「俺のほうが好きだよ。粘着性のある感情だし」
「んっふふふふ。納豆じゃないんですから。私だってずっと思ってたんですから、ネッチャリですよ」
「納豆カップルかよ」
「体に良さそうじゃないですか」
私たちはいつものように軽口を叩き合い、笑う。
ようやく和やかな空気になったあと、私は尊さんから聞いた長い話を少しずつ整理する事にした。
「……尊さんの話、おさらいしてもいいですか?」
「ああ」
彼の返事を聞き、私は思いだしながら尋ねる。
「尊さんの……速水家の実家は、オーディオ機器で有名な『HAYAMI』?」
「そうだ。だから祖母や母も音楽への造詣が深くて、俺も影響を受けた」
「なるほど……。……今はその叔母さん、……ちえりさん? 以外とは交流がないんですか?」
「そうだな。速水家では、母の話はタブーになっているらしいから」
勘当した娘と和解できないまま死別してしまい、尊さんのお祖母さんが後悔していないはずがない。
けど、ちえりさんが言っていたように、きっと意地になってどうする事もできないんだろう。
もう高齢だろうから、このままでは尊さんに会えないまま終わってしまうかもしれない。
(……何とか和解してほしいな)
そう思ったけれど、現時点ではどうしようもない。
「……っていうか……、亘さんは……」
さゆりさんの元をちょくちょく訪れ、尊さんがいるのに彼女を求めていたとか、呆れてものも言えない。
すると尊さんは皮肉げに笑った。
「あいつに呆れるのは今さら……、だろ」
「そうですけど……。あぁー、もう……」
当時は理解していなかったとはいえ、親のセックスを見てしまった小さい尊さんが可哀想だし、そのあとも父親としてもっとしっかりできただろ! と思ってしまう。
男性が挟まると、女性は女性を憎むのかもしれない。
けど、不甲斐ない男がいるからこそ、問題が起こる。
一人を挟んでの三角関係なんて、よほどの事がなければ全員が納得する関係になんてならない。
結婚したなら、どれだけさゆりさんを想っていても諦めてほしかったし、付き合っていた恋人を諦められないなら、親に逆らってでも添い遂げれば良かった。
それができなかった亘さんは、今後すべての責任をとっていく……、のだと信じている。
そこまで言い、私は遠くを見て溜め息をつく。
「……昭人とエッチした時は、何とも言えない気持ちになったな……。『忍を想っているはずなのに、何やってるんだろう……』って。そう思ったらまったく乗り気になれなかったし、感じられないマグロ女になってしまったんです。愛撫されてもあまり濡れなかったし、大して好きでもないのにキスをして、性器に触れられて、挿入されて感じてるフリをするだけ……。……だから、昭人とのセックスはあまり好きじゃなかったんです」
尊さんは私の話を聞きながら少し嫉妬したみたいで、ちょっとムッとした顔をしている。
妬いてくれるのが嬉しくて、私はつい微笑んでしまった。
「でも、昭人は私を大切にしてくれたと思います。価値観の相違はあっても可能な限り私を尊重してくれたし、嫌な人ではなかったです。だから私も『もうちょっとこの人と一緒にいよう。そしたら好きになれるかもしれない』と思ってズルズル付き合い続けました」
そう言ってから、私は過去の自分に反省して苦く笑う。
「人は時間を掛けて接し、お金も気持ちも注いだものに愛着を持ちます。心から大事ではなくても、大事なふりをする。……そうしているうちに、私は昭人の事を好きなんだと思い込んで、みっともないほど執着してしまいました」
伝え終わった私を、尊さんは愛しげな目で見て笑いかけてくる。
「……今は、俺のもん?」
「そうですよ」
クシャッと笑うと、彼は幸せそうに破顔した。
そして、「あー……」と気の抜けた声を出して、私を抱き締めてくる。
「…………好きだ」
しばらくしてから彼はそう言い、私はニヤニヤして返事をした。
「私も好きですよ」
「俺のほうが好きだよ。粘着性のある感情だし」
「んっふふふふ。納豆じゃないんですから。私だってずっと思ってたんですから、ネッチャリですよ」
「納豆カップルかよ」
「体に良さそうじゃないですか」
私たちはいつものように軽口を叩き合い、笑う。
ようやく和やかな空気になったあと、私は尊さんから聞いた長い話を少しずつ整理する事にした。
「……尊さんの話、おさらいしてもいいですか?」
「ああ」
彼の返事を聞き、私は思いだしながら尋ねる。
「尊さんの……速水家の実家は、オーディオ機器で有名な『HAYAMI』?」
「そうだ。だから祖母や母も音楽への造詣が深くて、俺も影響を受けた」
「なるほど……。……今はその叔母さん、……ちえりさん? 以外とは交流がないんですか?」
「そうだな。速水家では、母の話はタブーになっているらしいから」
勘当した娘と和解できないまま死別してしまい、尊さんのお祖母さんが後悔していないはずがない。
けど、ちえりさんが言っていたように、きっと意地になってどうする事もできないんだろう。
もう高齢だろうから、このままでは尊さんに会えないまま終わってしまうかもしれない。
(……何とか和解してほしいな)
そう思ったけれど、現時点ではどうしようもない。
「……っていうか……、亘さんは……」
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すると尊さんは皮肉げに笑った。
「あいつに呆れるのは今さら……、だろ」
「そうですけど……。あぁー、もう……」
当時は理解していなかったとはいえ、親のセックスを見てしまった小さい尊さんが可哀想だし、そのあとも父親としてもっとしっかりできただろ! と思ってしまう。
男性が挟まると、女性は女性を憎むのかもしれない。
けど、不甲斐ない男がいるからこそ、問題が起こる。
一人を挟んでの三角関係なんて、よほどの事がなければ全員が納得する関係になんてならない。
結婚したなら、どれだけさゆりさんを想っていても諦めてほしかったし、付き合っていた恋人を諦められないなら、親に逆らってでも添い遂げれば良かった。
それができなかった亘さんは、今後すべての責任をとっていく……、のだと信じている。
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