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レストランに行く前に 編
身支度
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彼はチャコールグレーのシャツに黒いスリムパンツ、グレーのジャケットというシンプルな服装だけど、やっぱり格好いい。
「洗面所終わったか? ちょっと手洗うわ」
しかもスタイリング剤も買ってきてもらったのか、軽く髪をセットしてちょっと額が見えているもんだから、もーカッコイイ。けしからん。
尊さんが洗面所に向かったあと、私はニヤニヤしながらその場でジタバタした。
好きなだけ悶えたあと、誰も見ていないのに咳払いをして誤魔化し、バッグから化粧ポーチを出して洗面所に向かった。
「隣、お邪魔します」
そう言って私は手を洗っている尊さんの隣に立ち、拡大鏡を見てメイク直しをしていく。
頬や額をティッシュオフしたあと、クッションファンデを別のスポンジにとって、トントンとポイントに叩き込み、フェイスパウダーをポンポンする。
そのあと綿棒で目元の汚れをとり、ラメアイシャドウをちょっと足してアイラインを引き直した。
唇はリッププランパーを塗ったあとにティッシュオフし、トム・フォードのグロス〝ファントム〟を塗った。
仕上げにフィックスミストを顔に掛け、メイク直しが終わる。
「……すげーな。顔直すのにそんなに道具を使うのか」
「……メイク大好きなので、ここは譲れないポイントです」
メイクが好きすぎて、コスメを幾つも買ってしまう悪癖があるほどだ。
自炊して食費を浮かせて、そっちにつぎ込んでしまうぐらいはメイクが好きだ。
「いや、文句つけるつもりはない。いつもお前を見て美人だなと思ってたけど、裏にこんな努力があったとは思わなかったって話」
「待って!?」
私は尊さんをバッと見て両手を突き出す。
「……なんだよ」
怪訝な顔をする彼に、私はニヤニヤしながら言う。
「……も、もっかい言って……」
「え? 努力してるって?」
「そ、そうじゃなくて……」
尊さんに「美人」って言われたのが嬉しくて、つい欲しがってしまう。
「ああ、美人のほうか? なんだ、そんなに嬉しいのか? てっきり言われ慣れてるかと思ってたけど……」
「尊さんに言われるのが嬉しいんです」
「んん?」
それまで不思議そうな顔をしていた尊さんは、私の反応を見て微笑んだ。
そして洗面台に両手をついて、腕の中に私を閉じ込めてきた。
「朱里はすげぇ美人だよ。綺麗だ。肌は白いし、きめ細かいし、顔の作りも本当に好きだ」
「…………っ、えっへへへ……」
耐えきれなくなった私は、横を向いてデレデレしだす。
尊さんはクスクス笑いつつ、私の顎を摘まんで自分のほうを向かせ、愛しげな表情で言う。
「このリップすげぇな。唇がツヤツヤしててキスしたくなる」
そう言って、尊さんは顔を傾けてキスしかけた。
――けれど、私は両手で彼の胸板を押して「駄目」と微笑む。
「ご飯食べてから」
「そうだな」
クスッと笑った尊さんは、私の額にキスをしようとして「おっと」と少し顔を離す。
そのあとまた唇にキスする角度で、唇が触れ合わない距離でチュッと音を立てた。
(~~~~……っ、これはこれで、エアキスもなかなかの威力が……)
「んー……っ!」
照れて悶えた私は、拳でポカポカと尊さんの胸板を叩く。
「あんまり可愛い反応するなよ。襲いたくなる」
尊さんは私の頭を撫で、微笑む。
「ん……、へへへへ……」
「なんだよ、さっきから締まりのねぇ顔して」
「だって……。尊さんの事は好きでしたけど、ずっと恋をしていた〝忍〟と恋人なんですよ? 私は大人の女性になって、キスもセックスもできるんです。…………嬉しいじゃないですか」
「……ん、そうだな」
尊さんは私の背中をトントンと叩く。そのあと天井を仰いで溜め息をついた。
「洗面所終わったか? ちょっと手洗うわ」
しかもスタイリング剤も買ってきてもらったのか、軽く髪をセットしてちょっと額が見えているもんだから、もーカッコイイ。けしからん。
尊さんが洗面所に向かったあと、私はニヤニヤしながらその場でジタバタした。
好きなだけ悶えたあと、誰も見ていないのに咳払いをして誤魔化し、バッグから化粧ポーチを出して洗面所に向かった。
「隣、お邪魔します」
そう言って私は手を洗っている尊さんの隣に立ち、拡大鏡を見てメイク直しをしていく。
頬や額をティッシュオフしたあと、クッションファンデを別のスポンジにとって、トントンとポイントに叩き込み、フェイスパウダーをポンポンする。
そのあと綿棒で目元の汚れをとり、ラメアイシャドウをちょっと足してアイラインを引き直した。
唇はリッププランパーを塗ったあとにティッシュオフし、トム・フォードのグロス〝ファントム〟を塗った。
仕上げにフィックスミストを顔に掛け、メイク直しが終わる。
「……すげーな。顔直すのにそんなに道具を使うのか」
「……メイク大好きなので、ここは譲れないポイントです」
メイクが好きすぎて、コスメを幾つも買ってしまう悪癖があるほどだ。
自炊して食費を浮かせて、そっちにつぎ込んでしまうぐらいはメイクが好きだ。
「いや、文句つけるつもりはない。いつもお前を見て美人だなと思ってたけど、裏にこんな努力があったとは思わなかったって話」
「待って!?」
私は尊さんをバッと見て両手を突き出す。
「……なんだよ」
怪訝な顔をする彼に、私はニヤニヤしながら言う。
「……も、もっかい言って……」
「え? 努力してるって?」
「そ、そうじゃなくて……」
尊さんに「美人」って言われたのが嬉しくて、つい欲しがってしまう。
「ああ、美人のほうか? なんだ、そんなに嬉しいのか? てっきり言われ慣れてるかと思ってたけど……」
「尊さんに言われるのが嬉しいんです」
「んん?」
それまで不思議そうな顔をしていた尊さんは、私の反応を見て微笑んだ。
そして洗面台に両手をついて、腕の中に私を閉じ込めてきた。
「朱里はすげぇ美人だよ。綺麗だ。肌は白いし、きめ細かいし、顔の作りも本当に好きだ」
「…………っ、えっへへへ……」
耐えきれなくなった私は、横を向いてデレデレしだす。
尊さんはクスクス笑いつつ、私の顎を摘まんで自分のほうを向かせ、愛しげな表情で言う。
「このリップすげぇな。唇がツヤツヤしててキスしたくなる」
そう言って、尊さんは顔を傾けてキスしかけた。
――けれど、私は両手で彼の胸板を押して「駄目」と微笑む。
「ご飯食べてから」
「そうだな」
クスッと笑った尊さんは、私の額にキスをしようとして「おっと」と少し顔を離す。
そのあとまた唇にキスする角度で、唇が触れ合わない距離でチュッと音を立てた。
(~~~~……っ、これはこれで、エアキスもなかなかの威力が……)
「んー……っ!」
照れて悶えた私は、拳でポカポカと尊さんの胸板を叩く。
「あんまり可愛い反応するなよ。襲いたくなる」
尊さんは私の頭を撫で、微笑む。
「ん……、へへへへ……」
「なんだよ、さっきから締まりのねぇ顔して」
「だって……。尊さんの事は好きでしたけど、ずっと恋をしていた〝忍〟と恋人なんですよ? 私は大人の女性になって、キスもセックスもできるんです。…………嬉しいじゃないですか」
「……ん、そうだな」
尊さんは私の背中をトントンと叩く。そのあと天井を仰いで溜め息をついた。
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