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恵 編
朱里、よく食べるでしょう
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「あいつ、臭豆腐とかシュールストレミングとか、なんでもいくんだよ。くせぇったらもう……」
「凄いチャレンジャーですね」
素直な感想を述べると、尊さんはうんうんと頷いた。
「『世界は広すぎて、俺は世界の一億分の一も理解してない。だから知らないものはとりあえず全部体験しておく』って考えだ。その姿勢は買うんだけどな……」
尊さんは遠い目をし、再びスマホをスクロールし始める。
チラッと見たところ、彼のアルバムはジャンル別に写真を分けてるけど、凄く探さないとないぐらい、涼さんとの写真がないみたいだ。
「あいつ、FXを学んでた時も、チャートを『ヒュッときてパーン』とか、大阪のおばちゃんみたいな表現で読むから、こっちもついてくのに大変だ。……まぁ、付き合いが長いから慣れてきたけど」
……うん。なんかフィーリングで生きてそうなところは、尊さんが芸術家タイプって言ったのが分かる気がする。
「お、あった。これこれ」
そう言って尊さんがスマホを差しだし、私は前のめりになって見る。
「わ! イケメン!」
写真は釣りをしている現場らしく、涼さんが大物を持って笑っている姿を写したものだ。
尊さんもイケメンだけど、涼さんはタイプの違うイケメンだ。
尊さんがちょっと影のある、クールで孤高な狼タイプだとすれば、涼さんは華のあるライオンタイプだ。
写真は学生時代らしく髪は金髪で、笑顔も相まって余計にキラキラして見える。
少女漫画みたいに、周りに赤い薔薇のエフェクトがあっても頷ける感じだ。
「凄い美形ですね……。にゅっ」
放心してスマホの画面を見ていると、尊さんが片手で私の顎を掴んできた。指で両頬を押され、口がタコのように出てしまう。
「……あんまり褒めない」
尊さんにジロッと睥睨され、私は嬉しくなってニヤァ……と笑ってしまった。
「嫉妬してます?」
「してるよ」
彼はチッと舌打ちしたあと、私の頬をモチモチと弄んだあとに手を放す。
「あー、はいはい」
恵は呆れたように言ったあと、しげしげと涼さんの写真を見た。
「……でも本当に美形ですね。これは二次元だわ」
「でもシュールストレミングいくんだぜ。すげぇだろ」
「臭いイケメンって貴重かもですね」
恵は真顔で頷く。
「まー、あいつも周りからどう思われるか全然気にしてねぇな。こんな顔で不動産会社のボンボンだから、子供の頃から嫌ってほどモテて、今はもうモテとかまったく意識してねぇんだよ。むしろ原っぱで虫を追いかけてるタイプだ」
「虫!」
あまりのギャップに、私は手を打ち鳴らして笑ってしまう。
「いやー、お会いしてみたいです。勿論、尊さんが心配するような意味じゃなくて」
私がそう言うと、尊さんも嬉しそうに微笑んだ。
「変人だけど悪い奴じゃねぇし、慣れたら面白いから、俺としてもぜひ会ってもらいたいよ。数少ない友達だし」
すると恵が突っ込む。
「篠宮さん、聞いてるこっちが寂しくなるから『数少ない友達』なんて言わないでくだささいよ」
「悪い。……いや、海外も含めるともうちょっといるけど」
「海外!」
私は思わず復唱して目を見開く。
「……あ、そっか。例の海外旅行の流れで」
「そうそう、色々習うのにそこそこ長く滞在してるから、顔なじみができるんだよ」
ハッとして恵を見ると、よく分かっていない顔をしていたので、私は慌てて「ごめん」と言って、尊さんがダンスを踊れる事などをサラッと話した。
「ふーん、歌って踊れる部長ですか」
「ちょ……っ、恵! 私、芸人さん思いだした! 係長だけど!」
「「ぶはっっ」」
三人同時に同じ芸人さんを想像して、しばし震えながら笑う。
笑いながら、この三人でたわいのない会話をして笑顔になれる事が、とても嬉しかった。
(良かった)
微笑んだ私は、「リゾットたーべよ」と明るく言ってスプーンを持った。
モリモリ食べていた時、恵が私を見て半眼になり、尊さんに言う。
「朱里、よく食べるでしょう」
いきなり何を仰る。
「凄いチャレンジャーですね」
素直な感想を述べると、尊さんはうんうんと頷いた。
「『世界は広すぎて、俺は世界の一億分の一も理解してない。だから知らないものはとりあえず全部体験しておく』って考えだ。その姿勢は買うんだけどな……」
尊さんは遠い目をし、再びスマホをスクロールし始める。
チラッと見たところ、彼のアルバムはジャンル別に写真を分けてるけど、凄く探さないとないぐらい、涼さんとの写真がないみたいだ。
「あいつ、FXを学んでた時も、チャートを『ヒュッときてパーン』とか、大阪のおばちゃんみたいな表現で読むから、こっちもついてくのに大変だ。……まぁ、付き合いが長いから慣れてきたけど」
……うん。なんかフィーリングで生きてそうなところは、尊さんが芸術家タイプって言ったのが分かる気がする。
「お、あった。これこれ」
そう言って尊さんがスマホを差しだし、私は前のめりになって見る。
「わ! イケメン!」
写真は釣りをしている現場らしく、涼さんが大物を持って笑っている姿を写したものだ。
尊さんもイケメンだけど、涼さんはタイプの違うイケメンだ。
尊さんがちょっと影のある、クールで孤高な狼タイプだとすれば、涼さんは華のあるライオンタイプだ。
写真は学生時代らしく髪は金髪で、笑顔も相まって余計にキラキラして見える。
少女漫画みたいに、周りに赤い薔薇のエフェクトがあっても頷ける感じだ。
「凄い美形ですね……。にゅっ」
放心してスマホの画面を見ていると、尊さんが片手で私の顎を掴んできた。指で両頬を押され、口がタコのように出てしまう。
「……あんまり褒めない」
尊さんにジロッと睥睨され、私は嬉しくなってニヤァ……と笑ってしまった。
「嫉妬してます?」
「してるよ」
彼はチッと舌打ちしたあと、私の頬をモチモチと弄んだあとに手を放す。
「あー、はいはい」
恵は呆れたように言ったあと、しげしげと涼さんの写真を見た。
「……でも本当に美形ですね。これは二次元だわ」
「でもシュールストレミングいくんだぜ。すげぇだろ」
「臭いイケメンって貴重かもですね」
恵は真顔で頷く。
「まー、あいつも周りからどう思われるか全然気にしてねぇな。こんな顔で不動産会社のボンボンだから、子供の頃から嫌ってほどモテて、今はもうモテとかまったく意識してねぇんだよ。むしろ原っぱで虫を追いかけてるタイプだ」
「虫!」
あまりのギャップに、私は手を打ち鳴らして笑ってしまう。
「いやー、お会いしてみたいです。勿論、尊さんが心配するような意味じゃなくて」
私がそう言うと、尊さんも嬉しそうに微笑んだ。
「変人だけど悪い奴じゃねぇし、慣れたら面白いから、俺としてもぜひ会ってもらいたいよ。数少ない友達だし」
すると恵が突っ込む。
「篠宮さん、聞いてるこっちが寂しくなるから『数少ない友達』なんて言わないでくだささいよ」
「悪い。……いや、海外も含めるともうちょっといるけど」
「海外!」
私は思わず復唱して目を見開く。
「……あ、そっか。例の海外旅行の流れで」
「そうそう、色々習うのにそこそこ長く滞在してるから、顔なじみができるんだよ」
ハッとして恵を見ると、よく分かっていない顔をしていたので、私は慌てて「ごめん」と言って、尊さんがダンスを踊れる事などをサラッと話した。
「ふーん、歌って踊れる部長ですか」
「ちょ……っ、恵! 私、芸人さん思いだした! 係長だけど!」
「「ぶはっっ」」
三人同時に同じ芸人さんを想像して、しばし震えながら笑う。
笑いながら、この三人でたわいのない会話をして笑顔になれる事が、とても嬉しかった。
(良かった)
微笑んだ私は、「リゾットたーべよ」と明るく言ってスプーンを持った。
モリモリ食べていた時、恵が私を見て半眼になり、尊さんに言う。
「朱里、よく食べるでしょう」
いきなり何を仰る。
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