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二次会 編
人への興味を失った
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「あ、泊まりの予定だった?」
「……すみません。『四人だったらきっと楽しい』しか考えていなくて、泊まりになる時の問題を考えていませんでした。初対面の男女が同じ部屋はちょっとね……」
「あれ? 中村さんと女子会じゃないのか?」
尊さんに突っ込まれ、私は「あ!」と声を上げてから真っ赤になった。
「……ごめんなさい……。今のなし。……素で尊さんと泊まるつもりでいた……。そうだった。恵とお泊まりしたいからランドって言ったのに……」
あまりにも大ボケをかましてしまい、私は体が火照るほど赤面して両手で顔を扇ぐ。
それを見て、尊さんはツボに入って笑っている。
「いや、俺はいいけど? 朱里が俺のこと大好きなんだって分かって嬉しいし」
「だから」
「涼と中村さんが一緒に泊まるのが問題なら、もう一部屋とってもいいし」
「だからぁ……!」
私はべしべしと尊さんの肩を叩き、彼はいっそうおかしそうに笑う。
「俺は知らないお嬢さんと同じ部屋でも問題ないけどな」
その時、涼さんが斜め上の発言をし、私は「へっ?」とうわずった声を漏らす。
「冗談だよね?」と思って彼を見るけれど、涼さんはごくごく真顔で言った。
「女性と同室でも着替えとかプライバシーは守った上で、健全に寝る自信あるから、〝俺は〟問題ないって意味。むしろ『嫌だ』っていうのは女性側だと思う」
「ああ……。そういえば、モテすぎて人への興味を失ったんでしたっけ」
尊さんから聞いた話を要約すると、涼さんは私の言った言葉を噛み締めるように頷いた。
「なんか『人への興味を失った』って響き、マッドサイエンティストっぽくていいな」
「空山基さんの作品みたいな、セクシーロボットと結婚したりして」
尊さんの言葉を聞いて、涼さんは手を打って笑う。
「ん?」
誰の事を言っているのか分からず首を傾げると、尊さんはスマホを操作したあとに画像を見せてくれた。
「わ! セクシー!」
見せてもらった画像は、全身銀色で顔らしい顔もなく、頭部もツルッとしているロボットが、マリリン・モンローの有名なポーズをとって白いドレスをはためかせている絵だ。
「有名なエアブラシイラストレーターで、エアロスミスのジャケットも描いたし、犬型ロボットのデザインも手がけたし、ディオールオムのショーでコラボもした。このセクシーロボットが一般的には印象が強いかな」
尊さんの説明を聞きながら、私は夢中になって画像検索欄をスクロールしていく。
「すっごぉ……。生身の私よりずっと色気がある」
「ポージングはピンナップガールとか、そういう雰囲気を意識していると思うから、余計に色っぽいと思うよ」
「ピンナップ……」
尊さんに言われ、聞いた事はあるけど……という顔をすると、涼さんが付け加える。
「戦闘機とかに描かれた、色っぽい女性のイラスト知らない? あれはノーズアートって言うけど、ああいうの」
言われて、映画で見た事がある気がして「うんうん」と頷く。
「一説では、有名なピンナップガールのミス・フェルナンダは、藤田嗣治の妻のフェルナンド・バレエじゃないかって言われてるけど、この藤田嗣治の描く乳白色の表現も悩ましいんだよな……」
涼さんの言葉を聞いて、私は「あ!」と声を上げる。
「それ、映画見たことあります。『FOUJITA』。ずっと前だったからうろ覚えだけど。色にこだわるシーンがうっすらと……」
映画が好きで劇場にも行くし、家では配信で気になったのを手当たり次第見ているので、よほど記憶に残る作品じゃないと何を見たんだか分からなくなるけど、きっかけがあると「見た事がある」と思い出せる。
「まぁ、何が言いたいかと言うと、これだけ妖艶だったらマッドサイエンティストになった涼も寂しくないだろうな、って事」
思いきり脱線した話を、尊さんが綺麗に軌道修正してくれる。
「……あぁ、人への興味を失ったって話だっけ」
涼さんはそもそもの話を思いだし、頷く。
というか、ここまで脱線したら私なら「なんの話してたっけ?」となるのに、お酒を飲んでいるのに綺麗に思い出せるのは凄い。
「人間ってさ、どんな美味い料理でも、腹一杯食べ続けるとご馳走って思わなくなるだろ。さらに四六時中、自分の周りに食べ物が置かれてる状況になると、食べ物見るのも嫌になると思う。食べるのが好きなら苦にならないかもしれないけど、俺はそれほど欲が強くないからな……。……それの女性バージョンが今の状況」
「へええ……。……すみません。私、お腹いっぱいになっても、寝て起きたらスイッチ切り替わって新しい食を楽しめる……、なんて思っちゃいました」
そう言ったら、尊さんが「ぶふっ」と噴き出した。
「……すみません。『四人だったらきっと楽しい』しか考えていなくて、泊まりになる時の問題を考えていませんでした。初対面の男女が同じ部屋はちょっとね……」
「あれ? 中村さんと女子会じゃないのか?」
尊さんに突っ込まれ、私は「あ!」と声を上げてから真っ赤になった。
「……ごめんなさい……。今のなし。……素で尊さんと泊まるつもりでいた……。そうだった。恵とお泊まりしたいからランドって言ったのに……」
あまりにも大ボケをかましてしまい、私は体が火照るほど赤面して両手で顔を扇ぐ。
それを見て、尊さんはツボに入って笑っている。
「いや、俺はいいけど? 朱里が俺のこと大好きなんだって分かって嬉しいし」
「だから」
「涼と中村さんが一緒に泊まるのが問題なら、もう一部屋とってもいいし」
「だからぁ……!」
私はべしべしと尊さんの肩を叩き、彼はいっそうおかしそうに笑う。
「俺は知らないお嬢さんと同じ部屋でも問題ないけどな」
その時、涼さんが斜め上の発言をし、私は「へっ?」とうわずった声を漏らす。
「冗談だよね?」と思って彼を見るけれど、涼さんはごくごく真顔で言った。
「女性と同室でも着替えとかプライバシーは守った上で、健全に寝る自信あるから、〝俺は〟問題ないって意味。むしろ『嫌だ』っていうのは女性側だと思う」
「ああ……。そういえば、モテすぎて人への興味を失ったんでしたっけ」
尊さんから聞いた話を要約すると、涼さんは私の言った言葉を噛み締めるように頷いた。
「なんか『人への興味を失った』って響き、マッドサイエンティストっぽくていいな」
「空山基さんの作品みたいな、セクシーロボットと結婚したりして」
尊さんの言葉を聞いて、涼さんは手を打って笑う。
「ん?」
誰の事を言っているのか分からず首を傾げると、尊さんはスマホを操作したあとに画像を見せてくれた。
「わ! セクシー!」
見せてもらった画像は、全身銀色で顔らしい顔もなく、頭部もツルッとしているロボットが、マリリン・モンローの有名なポーズをとって白いドレスをはためかせている絵だ。
「有名なエアブラシイラストレーターで、エアロスミスのジャケットも描いたし、犬型ロボットのデザインも手がけたし、ディオールオムのショーでコラボもした。このセクシーロボットが一般的には印象が強いかな」
尊さんの説明を聞きながら、私は夢中になって画像検索欄をスクロールしていく。
「すっごぉ……。生身の私よりずっと色気がある」
「ポージングはピンナップガールとか、そういう雰囲気を意識していると思うから、余計に色っぽいと思うよ」
「ピンナップ……」
尊さんに言われ、聞いた事はあるけど……という顔をすると、涼さんが付け加える。
「戦闘機とかに描かれた、色っぽい女性のイラスト知らない? あれはノーズアートって言うけど、ああいうの」
言われて、映画で見た事がある気がして「うんうん」と頷く。
「一説では、有名なピンナップガールのミス・フェルナンダは、藤田嗣治の妻のフェルナンド・バレエじゃないかって言われてるけど、この藤田嗣治の描く乳白色の表現も悩ましいんだよな……」
涼さんの言葉を聞いて、私は「あ!」と声を上げる。
「それ、映画見たことあります。『FOUJITA』。ずっと前だったからうろ覚えだけど。色にこだわるシーンがうっすらと……」
映画が好きで劇場にも行くし、家では配信で気になったのを手当たり次第見ているので、よほど記憶に残る作品じゃないと何を見たんだか分からなくなるけど、きっかけがあると「見た事がある」と思い出せる。
「まぁ、何が言いたいかと言うと、これだけ妖艶だったらマッドサイエンティストになった涼も寂しくないだろうな、って事」
思いきり脱線した話を、尊さんが綺麗に軌道修正してくれる。
「……あぁ、人への興味を失ったって話だっけ」
涼さんはそもそもの話を思いだし、頷く。
というか、ここまで脱線したら私なら「なんの話してたっけ?」となるのに、お酒を飲んでいるのに綺麗に思い出せるのは凄い。
「人間ってさ、どんな美味い料理でも、腹一杯食べ続けるとご馳走って思わなくなるだろ。さらに四六時中、自分の周りに食べ物が置かれてる状況になると、食べ物見るのも嫌になると思う。食べるのが好きなら苦にならないかもしれないけど、俺はそれほど欲が強くないからな……。……それの女性バージョンが今の状況」
「へええ……。……すみません。私、お腹いっぱいになっても、寝て起きたらスイッチ切り替わって新しい食を楽しめる……、なんて思っちゃいました」
そう言ったら、尊さんが「ぶふっ」と噴き出した。
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