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洗礼 編
同じ見立て
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綾子さんは会社近くのイタリアンバルを十八時半に予約したらしく、私たちはそれに合わせて退勤し、徒歩でお店に向かった。
綾子さんと仲良くしているのは、彼女より一つ年下の池内瑠美さんと、庄司美智香さんだ。
二人は私の一つ上の先輩で、同期同士仲がいい。
彼女たちが入社した時、綾子さんは新人ながらすでにヒット商品を出していて、行動力もあり美人で面倒見もいいので、二人は心酔していったそうだ。
もともと綾子さんは仕事ができるし、人当たりが良くて明るく、決して意地悪な人じゃない。
異性関係についてだけ「将来いい暮らしをしてやる」という野心が強く、自分の望みのためなら手段を問わないところがある。
(それ以外はいい人なんだよなぁ……)
白と青のストライプシャツに白いテーパードパンツ、その上にターコイズブルーのカーディガンを羽織った私は、無意識に溜め息をつく。
「ま、元気出せよ」
隣からボソッと言ってきた恵は、長めの白シャツの上にグレーのカットソー、黒のテーパードパンツ姿だ。
最近彼女は外はねボブに嵌まってるらしく、束感のあるストレートヘアやヘルシーな雰囲気がとても似合っている。
メイクが好きな私はお洒落も割と好きなんだけど、篠宮フーズは服装についてはさほどうるさくなく、自由度が高いのでありがたい。
勿論、営業部とか人に会う部署の人は気をつけているし、私たちも外部の人と会う時はビジネス風の服を着るけれど。
「……綾子さんたちの事、どう思う?」
ボソッと尋ねると、恵は少し考えてから言った。
「悪い人ではないと思うんだよね。理不尽に人を責めたり、学生みたいなイジメとかしないじゃん。飲み会だと皆のまとめ役をするし、慕われたいっていう気持ちがあると思う。人からどう見られるかを大切にしてると思うんだよね。……だから、今後の自分の立場が悪くなる事はしないんじゃないかな……って思ってる」
奇しくも、恵の見立ては私と同じだった。
「私もそう思う。今まで仕事面で良くしてもらっていたから、変な関係にはなりたくないんだよね。……異性関係なんて、まったくのプライベートじゃん。そういうものとは切り離したいというか……」
「だな」
恵は短く言って頷く。
「……頑張ってみるけど、危なくなったらサポート宜しくね」
「ん、任しとき」
恵は私の背中をポンポンと叩き、「タダ飯やったー」と小さい声で言った。
私もタダ飯は嬉しい。
個室での席順は、勿論、三人対二人で向かい合わせになっている。
うう……、圧迫面接のようだ。
「飲み放題のコースを頼んだから、もしも個別に食べたい物、飲みたい物があったら遠慮無く頼んでいいわよ」
「す、すみません。二人分も皆さんに負担を……」
ペコリと会釈すると、綾子さんはニッコリ笑った。
「いいのよ。二人の分は私が責任を持って出すから」
おお……。こういう時に言うのはなんだけど、さすが頼れる姐御系……。
飲み放題のメニューを見ると、ビールやワイン、ウィスキー、焼酎の他、カクテルも種類が豊富だ。
「じゃあ、オレンジブロッサムで」
ジンベースのカクテルを頼むと、恵はビール、綾子さんは白ワイン、瑠美さんはウーロンハイ、美智香さんはカシスオレンジを頼んだ。
スタッフさんが出ていったあと、シン……と個室が静まりかえる。
緊張してテーブルの上を見つめていると、綾子さんが「さて」と言う。
「上村さん、副社長秘書になるんですって? おめでとう」
うううう! あああああ! 怖い!
「……ありがとうございます」
「それで、速水部長は副社長になるのよね。……あの人は御曹司だから、社長と経理部長がいなくなったあとの処置としては当然だと思うけど」
「……ソウデスネ」
緊張のあまり、私は某お昼の国民的番組の観客みたいになっている。
綾子さんと仲良くしているのは、彼女より一つ年下の池内瑠美さんと、庄司美智香さんだ。
二人は私の一つ上の先輩で、同期同士仲がいい。
彼女たちが入社した時、綾子さんは新人ながらすでにヒット商品を出していて、行動力もあり美人で面倒見もいいので、二人は心酔していったそうだ。
もともと綾子さんは仕事ができるし、人当たりが良くて明るく、決して意地悪な人じゃない。
異性関係についてだけ「将来いい暮らしをしてやる」という野心が強く、自分の望みのためなら手段を問わないところがある。
(それ以外はいい人なんだよなぁ……)
白と青のストライプシャツに白いテーパードパンツ、その上にターコイズブルーのカーディガンを羽織った私は、無意識に溜め息をつく。
「ま、元気出せよ」
隣からボソッと言ってきた恵は、長めの白シャツの上にグレーのカットソー、黒のテーパードパンツ姿だ。
最近彼女は外はねボブに嵌まってるらしく、束感のあるストレートヘアやヘルシーな雰囲気がとても似合っている。
メイクが好きな私はお洒落も割と好きなんだけど、篠宮フーズは服装についてはさほどうるさくなく、自由度が高いのでありがたい。
勿論、営業部とか人に会う部署の人は気をつけているし、私たちも外部の人と会う時はビジネス風の服を着るけれど。
「……綾子さんたちの事、どう思う?」
ボソッと尋ねると、恵は少し考えてから言った。
「悪い人ではないと思うんだよね。理不尽に人を責めたり、学生みたいなイジメとかしないじゃん。飲み会だと皆のまとめ役をするし、慕われたいっていう気持ちがあると思う。人からどう見られるかを大切にしてると思うんだよね。……だから、今後の自分の立場が悪くなる事はしないんじゃないかな……って思ってる」
奇しくも、恵の見立ては私と同じだった。
「私もそう思う。今まで仕事面で良くしてもらっていたから、変な関係にはなりたくないんだよね。……異性関係なんて、まったくのプライベートじゃん。そういうものとは切り離したいというか……」
「だな」
恵は短く言って頷く。
「……頑張ってみるけど、危なくなったらサポート宜しくね」
「ん、任しとき」
恵は私の背中をポンポンと叩き、「タダ飯やったー」と小さい声で言った。
私もタダ飯は嬉しい。
個室での席順は、勿論、三人対二人で向かい合わせになっている。
うう……、圧迫面接のようだ。
「飲み放題のコースを頼んだから、もしも個別に食べたい物、飲みたい物があったら遠慮無く頼んでいいわよ」
「す、すみません。二人分も皆さんに負担を……」
ペコリと会釈すると、綾子さんはニッコリ笑った。
「いいのよ。二人の分は私が責任を持って出すから」
おお……。こういう時に言うのはなんだけど、さすが頼れる姐御系……。
飲み放題のメニューを見ると、ビールやワイン、ウィスキー、焼酎の他、カクテルも種類が豊富だ。
「じゃあ、オレンジブロッサムで」
ジンベースのカクテルを頼むと、恵はビール、綾子さんは白ワイン、瑠美さんはウーロンハイ、美智香さんはカシスオレンジを頼んだ。
スタッフさんが出ていったあと、シン……と個室が静まりかえる。
緊張してテーブルの上を見つめていると、綾子さんが「さて」と言う。
「上村さん、副社長秘書になるんですって? おめでとう」
うううう! あああああ! 怖い!
「……ありがとうございます」
「それで、速水部長は副社長になるのよね。……あの人は御曹司だから、社長と経理部長がいなくなったあとの処置としては当然だと思うけど」
「……ソウデスネ」
緊張のあまり、私は某お昼の国民的番組の観客みたいになっている。
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