【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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ゴールデンウィーク 編

ようやく決まった指輪

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 そのあと、GWになるまで精力的に働き続けた。

 慣れない仕事だけれど、朝と帰る前にエミリさんと話し合って、分からない事や不安な点は指示してもらえた。

 秘書課の人たちとは、仲良く……なれる雰囲気ではないので、あまり期待はしないでおく。

 やっぱり彼女たちとしても、副社長にイケメンの尊さんが就任するとなり、自分が秘書になれるのでは!? と期待したのだろう。

 けれどそこに他部署から私がスチャッと収まってしまったので、面白くなく思うのは当たり前だ。

 へたをすると〝第二の丸木エミリ〟扱いされている……、と言っても過言ではない。

 幸いだったのは秘書課にデスクを置かず、副社長室の脇にある秘書室で待機し、自分の仕事に専念できた事だ。

 エミリさんも風磨さんの秘書として働き始めた頃は、秘書課の人たちと色々あったらしい。

 秘書課に回されたメールをさらに重役秘書に回す事になっているので、風磨さんの予定を教えてもらえなかったりとか、アポイントをすっぽかす羽目になったとか……。

『やられた、悔しい』と思うより前に、彼女はその事を風磨さんにすぐ伝え、あってはならないミスだと厳しく指導してもらい、以降、そのような嫌がらせはなくなったみたいだ。

 だから私が抱いていた懸念についても、『あらかじめ風磨さんと尊さんが釘を刺しておいたから、大丈夫』とサムズアップして言ってくれた。頼もしい。





 恵は商品開発部に在籍したままだけれど、大人だし私が一緒じゃないと嫌だという訳でもなく、淡々と働いているそうだ。

 以前と違う事と言えば、綾子さん達から頻繁に話しかけられるようになって、私と尊さんの話を酒の肴に、一緒に飲むようになったとか。

 恵の事だからへたな事は言わないだろうけど、どんな話をして盛り上がっているかはちょっと気になる……。

 神くんは以前より楽しそうに過ごしているらしく、どうやら春日さんとうまくいっているようだ。

 まだ正式にお付き合いはしていないものの、メッセージアプリで連絡をとったり、水族館や映画館などに一緒に行っているとか。

 ……もう付き合ってるじゃん。

 私がそう思ったのはさておき、二人にはゆっくりと仲を育んでほしい。



**



 やがて慌ただしい四月が終わりを迎え、GWに突入した。

 四月末の週末は実家に顔を出したり、尊さんとデートをした。

 ずっと課題になっていた婚約指輪だけれど、ようやく決定し、にわか華麗はなうららというお花がついた物にした。

 お店の雰囲気やコンセプトが気に入ったのもあり、結婚指輪も同じところの茜雲あかねぐもというデザインに決めた。

 シンプルながらも指の背でねじった感じがお洒落で、メレダイヤがついた物もあったけれど、石のついていない物にした。

 無事に指輪を決めたあとは、会場やドレスを決めていかなくてはならない。

 指輪を決めたあとは記念にランチに鰻を食べる事にし、私は一番お高いうな重を前に歓喜に打ち震える。

「……おい、指輪より喜んでるんじゃねーか」

 向かいの席で鰻に山椒をかけている尊さんが言い、私は肝吸いを一口飲んで「はぁ~……」と幸せの吐息をついてから言う。

「それはそれ、これはこれ」

「便利な言葉だな」

「いっただっきまーす!」

 私はフカフカの鰻にお箸を入れ、ご飯ごと一口分をお箸でとってパクリと食べる。

「ん~っ!」

 ふわとろの鰻の食感といい香りとに口の中が幸せになり、私はお箸を持っていないほうの手を頬に添える。

「本当にお前は幸せそうに食うなぁ……」

 しみじみと言いながら尊さんも鰻を食べ、「うめぇな」と呟く。

「そうだ。亮平、元カノと復縁しそうなんですって」

「へぇ、良かったな。亮平さん、ゲーム会社に勤めてたんだっけ?」

 私の言葉を聞き、尊さんは目を瞬かせて頷く。

「そうそう。趣味とか性格とか色々合った彼女だったけど、……うーん、親が再婚して環境が変わって、色々気にする事が増えて仕事と彼女に集中できなかったのが、別れた理由だったみたいで。今は落ち着いてきたから自分の気持ちを見つめ直して、謝って『一からやり直したい』って言ったんですって」

「そっか、うまくいくといいな」

 尊さんは頷き、次の一口を食べる。
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