【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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彼と彼女のその後 編

こんな事ってあるか?

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 シャワーから上がってフェイスケアとボディケアをしたあと、ドライヤーをかけてベッドに戻る。

 ドライヤーの音で起こしてしまっていないか彼女の様子を見たが、ぐっすり眠っているようだった。

 俺はベッドに入り、恵ちゃんの顔を見つめる。

 夜遅くになってもなお、ネオンの光がほんのりと差し込む寝室内で、彼女はあどけない寝顔を晒している。

「可愛いな……」

 俺は無意識に呟く。

 起きている時は大きな目が印象的なので、ジッと見つめる癖があるのも相まって、気が強そうな感じを受けるが、眠っている彼女は実年齢より幼く見える。

 このベッドに女性が寝るのは初めてだ。

 今まで彼女ができても家には上げなかったし、姉妹が泊まりに来る時は客間を使わせている。

 出会って三日目でお持ち帰りしてベッドインなんて、我ながらスピードコースすぎる。

 本来なら俺はもっと女性に対して慎重で、付き合うと決めてからキスをするまで、最低三週間以上はかけている。

 それ以前に相手の本性が分かったら、早い内に手を切るためだ。

 セックスをするにはさらに時間をかけ、その間にある程度、相手の物欲を満たして様子を見る。

 毎回、近づいてくる女性はちゃんと見極めて、慎重に付き合っていたのに……、だ。

(いくら恵ちゃんが可愛いからって、こんな事ってあるか?)

 貪るように彼女を抱いておきながら、今さら自分のしでかした事に呆れ果てる。

 彼女を相手に「もっと慎重になるべきだった」と言うつもりはない。俺は自分の選択に自信を持っている。

 こう見えて人を見る目はあるつもりで、大勢の女性と接してきたから、女性を見る目はもっとあるつもりだ。

 恵ちゃんを家に連れ込み、抱いた事はまったく後悔していない。

(……でももうちょっと、ゆっくりじっくり、スマートにできただろ……!)

 俺は溜め息をつき、片手で顔を覆う。

(こんなガキみたいにがっついて。……何歳になったと思ってるんだよ)

 その気になれば、女性をうっとりさせるデートプランは何通りでも考えられるし、ヘリやクルーザーを使ってのデートだってできた。

 ……なのに、二泊三日のテーマパークのあととはいえ、自宅に直行して外商を呼んで、肉を食わせてそのままいただいた? 安直やすぎないか?

(物で釣って抱くなんて、その辺の馬鹿でもできるだろ……)

 いざという時、自分がこんなに使えない男になるとは思っていなかった。

 俺はもう一度深い溜め息をつき、彼女に謝った。

「ごめんね、恵ちゃん。次はもっとちゃんとする」

 自分本位なセックスはしないように努めたつもりだが、出会って三日でお持ち帰りは酷すぎる。

 寝る前にスマホをチェックすると、尊から一言だけメッセージが入っていた。

【くれぐれも大切にしてくれ】

 すまん……。

 朱里ちゃんからもメッセージがあった。

【こんばんは。いいムードになっていたらすみません。恵があんなふうに好意的に接する男性は涼さんが初めてです。尊さんの親友だし、涼さんなら恵を雑に扱う事はないと思います。恵も大人ですし、何があっても『自分の責任だ』と言うと思います。それでも、どうか彼女があとから悲しむような事はしないでください。恵の事、任せました】

 彼女からのメッセージを読み、俺は息を吐いてスマホをベッドサイドに置く。

 雑には扱っていない。この上なく大切にしている。

(……でも、この必死に囲い込んでる感じ、童貞かよ……)

 俺は恵ちゃんに一生懸命彼女にプレゼンして『付き合う』と言わせ、同棲まで迫っている。

 まさか尊と朱里ちゃんも、ここまでやっているとは思っていないだろう。

(……でも、大切にするし、丁寧に向き合っていく。彼女とならうまくやれると思うし、デートを重ねてもっと知り合っていきたい。……というかやっぱり、同棲したほうが速いよな……。……いやいや)

 俺はすぐ効率を求めてしまう自分に突っ込みを入れる。

(明日の朝、シラフになった時の反応を見て、適宜判断していこう)

 そう決めたあと、俺は思いだしたように欠伸をして目を閉じた。





(……どこだ……。ここ……)

 朝陽を感じて目を開けると、知らない天井が目に入った。

(凄い広い。なんでこんな所に……)

 そう思って身じろぎした時、指先に誰かの体が触れてビクッとした。

 恐る恐るそちらを向くと、涼さんの寝顔があった。
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