475 / 782
彼と彼女のその後 編
こんな事ってあるか?
しおりを挟む
シャワーから上がってフェイスケアとボディケアをしたあと、ドライヤーをかけてベッドに戻る。
ドライヤーの音で起こしてしまっていないか彼女の様子を見たが、ぐっすり眠っているようだった。
俺はベッドに入り、恵ちゃんの顔を見つめる。
夜遅くになってもなお、ネオンの光がほんのりと差し込む寝室内で、彼女はあどけない寝顔を晒している。
「可愛いな……」
俺は無意識に呟く。
起きている時は大きな目が印象的なので、ジッと見つめる癖があるのも相まって、気が強そうな感じを受けるが、眠っている彼女は実年齢より幼く見える。
このベッドに女性が寝るのは初めてだ。
今まで彼女ができても家には上げなかったし、姉妹が泊まりに来る時は客間を使わせている。
出会って三日目でお持ち帰りしてベッドインなんて、我ながらスピードコースすぎる。
本来なら俺はもっと女性に対して慎重で、付き合うと決めてからキスをするまで、最低三週間以上はかけている。
それ以前に相手の本性が分かったら、早い内に手を切るためだ。
セックスをするにはさらに時間をかけ、その間にある程度、相手の物欲を満たして様子を見る。
毎回、近づいてくる女性はちゃんと見極めて、慎重に付き合っていたのに……、だ。
(いくら恵ちゃんが可愛いからって、こんな事ってあるか?)
貪るように彼女を抱いておきながら、今さら自分のしでかした事に呆れ果てる。
彼女を相手に「もっと慎重になるべきだった」と言うつもりはない。俺は自分の選択に自信を持っている。
こう見えて人を見る目はあるつもりで、大勢の女性と接してきたから、女性を見る目はもっとあるつもりだ。
恵ちゃんを家に連れ込み、抱いた事はまったく後悔していない。
(……でももうちょっと、ゆっくりじっくり、スマートにできただろ……!)
俺は溜め息をつき、片手で顔を覆う。
(こんなガキみたいにがっついて。……何歳になったと思ってるんだよ)
その気になれば、女性をうっとりさせるデートプランは何通りでも考えられるし、ヘリやクルーザーを使ってのデートだってできた。
……なのに、二泊三日のテーマパークのあととはいえ、自宅に直行して外商を呼んで、肉を食わせてそのままいただいた? 安直やすぎないか?
(物で釣って抱くなんて、その辺の馬鹿でもできるだろ……)
いざという時、自分がこんなに使えない男になるとは思っていなかった。
俺はもう一度深い溜め息をつき、彼女に謝った。
「ごめんね、恵ちゃん。次はもっとちゃんとする」
自分本位なセックスはしないように努めたつもりだが、出会って三日でお持ち帰りは酷すぎる。
寝る前にスマホをチェックすると、尊から一言だけメッセージが入っていた。
【くれぐれも大切にしてくれ】
すまん……。
朱里ちゃんからもメッセージがあった。
【こんばんは。いいムードになっていたらすみません。恵があんなふうに好意的に接する男性は涼さんが初めてです。尊さんの親友だし、涼さんなら恵を雑に扱う事はないと思います。恵も大人ですし、何があっても『自分の責任だ』と言うと思います。それでも、どうか彼女があとから悲しむような事はしないでください。恵の事、任せました】
彼女からのメッセージを読み、俺は息を吐いてスマホをベッドサイドに置く。
雑には扱っていない。この上なく大切にしている。
(……でも、この必死に囲い込んでる感じ、童貞かよ……)
俺は恵ちゃんに一生懸命彼女にプレゼンして『付き合う』と言わせ、同棲まで迫っている。
まさか尊と朱里ちゃんも、ここまでやっているとは思っていないだろう。
(……でも、大切にするし、丁寧に向き合っていく。彼女とならうまくやれると思うし、デートを重ねてもっと知り合っていきたい。……というかやっぱり、同棲したほうが速いよな……。……いやいや)
俺はすぐ効率を求めてしまう自分に突っ込みを入れる。
(明日の朝、シラフになった時の反応を見て、適宜判断していこう)
そう決めたあと、俺は思いだしたように欠伸をして目を閉じた。
(……どこだ……。ここ……)
朝陽を感じて目を開けると、知らない天井が目に入った。
(凄い広い。なんでこんな所に……)
そう思って身じろぎした時、指先に誰かの体が触れてビクッとした。
恐る恐るそちらを向くと、涼さんの寝顔があった。
ドライヤーの音で起こしてしまっていないか彼女の様子を見たが、ぐっすり眠っているようだった。
俺はベッドに入り、恵ちゃんの顔を見つめる。
夜遅くになってもなお、ネオンの光がほんのりと差し込む寝室内で、彼女はあどけない寝顔を晒している。
「可愛いな……」
俺は無意識に呟く。
起きている時は大きな目が印象的なので、ジッと見つめる癖があるのも相まって、気が強そうな感じを受けるが、眠っている彼女は実年齢より幼く見える。
このベッドに女性が寝るのは初めてだ。
今まで彼女ができても家には上げなかったし、姉妹が泊まりに来る時は客間を使わせている。
出会って三日目でお持ち帰りしてベッドインなんて、我ながらスピードコースすぎる。
本来なら俺はもっと女性に対して慎重で、付き合うと決めてからキスをするまで、最低三週間以上はかけている。
それ以前に相手の本性が分かったら、早い内に手を切るためだ。
セックスをするにはさらに時間をかけ、その間にある程度、相手の物欲を満たして様子を見る。
毎回、近づいてくる女性はちゃんと見極めて、慎重に付き合っていたのに……、だ。
(いくら恵ちゃんが可愛いからって、こんな事ってあるか?)
貪るように彼女を抱いておきながら、今さら自分のしでかした事に呆れ果てる。
彼女を相手に「もっと慎重になるべきだった」と言うつもりはない。俺は自分の選択に自信を持っている。
こう見えて人を見る目はあるつもりで、大勢の女性と接してきたから、女性を見る目はもっとあるつもりだ。
恵ちゃんを家に連れ込み、抱いた事はまったく後悔していない。
(……でももうちょっと、ゆっくりじっくり、スマートにできただろ……!)
俺は溜め息をつき、片手で顔を覆う。
(こんなガキみたいにがっついて。……何歳になったと思ってるんだよ)
その気になれば、女性をうっとりさせるデートプランは何通りでも考えられるし、ヘリやクルーザーを使ってのデートだってできた。
……なのに、二泊三日のテーマパークのあととはいえ、自宅に直行して外商を呼んで、肉を食わせてそのままいただいた? 安直やすぎないか?
(物で釣って抱くなんて、その辺の馬鹿でもできるだろ……)
いざという時、自分がこんなに使えない男になるとは思っていなかった。
俺はもう一度深い溜め息をつき、彼女に謝った。
「ごめんね、恵ちゃん。次はもっとちゃんとする」
自分本位なセックスはしないように努めたつもりだが、出会って三日でお持ち帰りは酷すぎる。
寝る前にスマホをチェックすると、尊から一言だけメッセージが入っていた。
【くれぐれも大切にしてくれ】
すまん……。
朱里ちゃんからもメッセージがあった。
【こんばんは。いいムードになっていたらすみません。恵があんなふうに好意的に接する男性は涼さんが初めてです。尊さんの親友だし、涼さんなら恵を雑に扱う事はないと思います。恵も大人ですし、何があっても『自分の責任だ』と言うと思います。それでも、どうか彼女があとから悲しむような事はしないでください。恵の事、任せました】
彼女からのメッセージを読み、俺は息を吐いてスマホをベッドサイドに置く。
雑には扱っていない。この上なく大切にしている。
(……でも、この必死に囲い込んでる感じ、童貞かよ……)
俺は恵ちゃんに一生懸命彼女にプレゼンして『付き合う』と言わせ、同棲まで迫っている。
まさか尊と朱里ちゃんも、ここまでやっているとは思っていないだろう。
(……でも、大切にするし、丁寧に向き合っていく。彼女とならうまくやれると思うし、デートを重ねてもっと知り合っていきたい。……というかやっぱり、同棲したほうが速いよな……。……いやいや)
俺はすぐ効率を求めてしまう自分に突っ込みを入れる。
(明日の朝、シラフになった時の反応を見て、適宜判断していこう)
そう決めたあと、俺は思いだしたように欠伸をして目を閉じた。
(……どこだ……。ここ……)
朝陽を感じて目を開けると、知らない天井が目に入った。
(凄い広い。なんでこんな所に……)
そう思って身じろぎした時、指先に誰かの体が触れてビクッとした。
恐る恐るそちらを向くと、涼さんの寝顔があった。
687
あなたにおすすめの小説
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました
ほーみ
恋愛
その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。
「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」
そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。
「……は?」
まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。
【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。
私には婚約者がいた
れもんぴーる
恋愛
私には優秀な魔法使いの婚約者がいる。彼の仕事が忙しくて会えない時間が多くなり、その間私は花の世話をして過ごす。ある日、彼の恋人を名乗る女性から婚約を解消してと手紙が・・・。私は大切な花の世話を忘れるほど嘆き悲しむ。すると彼は・・・?
*かなりショートストーリーです。長編にするつもりで書き始めたのに、なぜか主人公の一人語り風になり、書き直そうにもこれでしか納まりませんでした。不思議な力が(#^^#)
*なろうにも投稿しています
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる