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彼と彼女のその後 編
運命の相手
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「わぁ~! お肉~!」
ダイニングテーブルの上には三田牛のローストビーフ丼があり、赤身のお肉と卵黄との対比が美しい。
側にはワカメの卵とじスープがあり、上には白ごまがあしらわれている。
「……下手すると、花束をプレゼントした時よりテンション高ぇな」
「お肉だって花びらみたいなもんじゃないですか……」
私は今にも涎を垂らしそうな表情で椅子に座り、「はぁ~……」と吐息をついてからスマホで写真を撮る。
「いただきまーす!」
私は胸の前で手を合わせてから、自分用の赤いお箸を手にとってご飯を食べ始めた。
「恵、涼さんといい感じみたいです。もう同棲も迫られてご家族にも会わせたがっているとか。でも、流されるのが怖いから一旦冷静になるって言ってました」
「そのほうがいいかもな。涼はいい奴だし、中村さんを裏切る事はないと思ってる。でも、いきなり三日月グループの御曹司と付き合う事になったら、普通はビビるだろ。三ノ宮さんみたいな人ならあり得る話かもしれないが、中村さんにとっては青天の霹靂だし、及び腰になってもおかしくない」
「ですねぇ……」
私は頷きながらお肉と白米をモグモグと咀嚼する。
お肉も上等だし、ローストビーフのタレもこれまた……! おいち~!
「でも前向きな姿勢ではあるみたいですけどね。また春日さんたちと女子会する予定なので、第三者の意見を聞いて背中を押されたいんだと思います」
「いいかもな。彼女たちなら忌憚ない意見を言ってくれそうだし。……いや、酒飲んだらウザ絡みするんだっけ?」
尊さんは以前の事を思いだして少し渋い顔をする。
「グダグダになるぐらい楽しい人になりますけど、人に意見を言う時はちゃんと真面目ですよ。無責任な事を言う人たちじゃないので」
「ん、ならいいけど」
ご飯を食べ終えて食器を片づけたあと、尊さんはルイボスティーを飲みながら言う。
「あいつ、この上なく真面目だと思うよ。いちいち金を使うから、中村さんから見たら〝金持ちの気まぐれ〟に見えるかもしれない。……でも、俺も同族だから分かるんだけど、本当に好きになれる女性になかなか巡り会えないから、いざ見つかったあとに嬉しくなってジャンジャン金を使うんだと思う」
同族と聞き、私はツンツンと尊さんの腕をつつく。
「尊さんも割とお財布の紐が緩いタイプですもんね」
「割とこう見えて浪費はしてないんだぜ? 高級品も気になったらすぐ買うタイプじゃないし、ちゃんと吟味する。……でも好きな女になら、どんな物だって買ってやりたい。……うちの猫は、なかなか散財させてくれないけどな?」
そう言って尊さんは私の顎の下をコチョコチョとくすぐってくる。
「涼は今、すげぇ嬉しいと思うよ。今まで付き合った女性はいたものの、〝惚れた女〟ではなかった。流れ上付き合ってみて、『やっぱりいつもの感じか』って別れて、最後には諦めていた。……でも恵ちゃんと出会って『自分の理想が現れた』って思ったんじゃないかな」
「涼さんの理想のタイプって、恵みたいな感じなんですか?」
「んー、今まで『こういうタイプが好き』って話はしなかったけど、〝好きになった人が理想〟ってやつだろ」
「ひゅ~! 涼さんヒュ~!」
嬉しくなった私は、拍手をしてこの場にいない涼さんをはやし立てる。
「だから逃がさないようにロックオン、全方向、全力で囲い込みに入ってるんだよ。中村さんが本気で嫌がったら引くかもしれないけど、好意を示しているなら遠慮しないと思う。あいつも、やっと運命の相手が見つかったと思ってるだろうし」
私はクッションを抱き締め、溜め息をつくと、尊さんの肩に頭を押しつける。
「……うまくいったらいいですね。私も恵の初恋、応援したいです」
「中村さんの扱いを一番分かってるのは朱里だろうから、へたに茶化さず真剣に話を聞いて、無理のない方向で応援してあげたらいいと思う」
「ですね」
そのあとは連休明けの予定を話しつつ、ゆっくり過ごした。
**
その後、朱里は春日さんたちに連絡して、五月末の週末に女子会をする予定になったと教えてくれた。
私はいつも通り商品開発部で働きつつ、迫り来る週末を意識して胸を高鳴らせていた。
涼さんはあらかじめ【鬱陶しくなかったら、朝晩の挨拶をしてもいい?】と尋ね、承諾したら【おはよう】と【おやすみ】のメッセージを送ってくるようになった。
そういうタイプじゃないだろうに、食べた物の写真も送ってくれ、出張で向かった福岡の写真も見せてくれた。
週末にお邪魔した時は、福岡のお土産をくれるらしい。
気が重たい連休明けの仕事も、彼とメッセージをしていると乗り切れる気がする。
が、火曜日に出社して通常業務をしていると、綾子さんが不審な事を伝えてきた。
ダイニングテーブルの上には三田牛のローストビーフ丼があり、赤身のお肉と卵黄との対比が美しい。
側にはワカメの卵とじスープがあり、上には白ごまがあしらわれている。
「……下手すると、花束をプレゼントした時よりテンション高ぇな」
「お肉だって花びらみたいなもんじゃないですか……」
私は今にも涎を垂らしそうな表情で椅子に座り、「はぁ~……」と吐息をついてからスマホで写真を撮る。
「いただきまーす!」
私は胸の前で手を合わせてから、自分用の赤いお箸を手にとってご飯を食べ始めた。
「恵、涼さんといい感じみたいです。もう同棲も迫られてご家族にも会わせたがっているとか。でも、流されるのが怖いから一旦冷静になるって言ってました」
「そのほうがいいかもな。涼はいい奴だし、中村さんを裏切る事はないと思ってる。でも、いきなり三日月グループの御曹司と付き合う事になったら、普通はビビるだろ。三ノ宮さんみたいな人ならあり得る話かもしれないが、中村さんにとっては青天の霹靂だし、及び腰になってもおかしくない」
「ですねぇ……」
私は頷きながらお肉と白米をモグモグと咀嚼する。
お肉も上等だし、ローストビーフのタレもこれまた……! おいち~!
「でも前向きな姿勢ではあるみたいですけどね。また春日さんたちと女子会する予定なので、第三者の意見を聞いて背中を押されたいんだと思います」
「いいかもな。彼女たちなら忌憚ない意見を言ってくれそうだし。……いや、酒飲んだらウザ絡みするんだっけ?」
尊さんは以前の事を思いだして少し渋い顔をする。
「グダグダになるぐらい楽しい人になりますけど、人に意見を言う時はちゃんと真面目ですよ。無責任な事を言う人たちじゃないので」
「ん、ならいいけど」
ご飯を食べ終えて食器を片づけたあと、尊さんはルイボスティーを飲みながら言う。
「あいつ、この上なく真面目だと思うよ。いちいち金を使うから、中村さんから見たら〝金持ちの気まぐれ〟に見えるかもしれない。……でも、俺も同族だから分かるんだけど、本当に好きになれる女性になかなか巡り会えないから、いざ見つかったあとに嬉しくなってジャンジャン金を使うんだと思う」
同族と聞き、私はツンツンと尊さんの腕をつつく。
「尊さんも割とお財布の紐が緩いタイプですもんね」
「割とこう見えて浪費はしてないんだぜ? 高級品も気になったらすぐ買うタイプじゃないし、ちゃんと吟味する。……でも好きな女になら、どんな物だって買ってやりたい。……うちの猫は、なかなか散財させてくれないけどな?」
そう言って尊さんは私の顎の下をコチョコチョとくすぐってくる。
「涼は今、すげぇ嬉しいと思うよ。今まで付き合った女性はいたものの、〝惚れた女〟ではなかった。流れ上付き合ってみて、『やっぱりいつもの感じか』って別れて、最後には諦めていた。……でも恵ちゃんと出会って『自分の理想が現れた』って思ったんじゃないかな」
「涼さんの理想のタイプって、恵みたいな感じなんですか?」
「んー、今まで『こういうタイプが好き』って話はしなかったけど、〝好きになった人が理想〟ってやつだろ」
「ひゅ~! 涼さんヒュ~!」
嬉しくなった私は、拍手をしてこの場にいない涼さんをはやし立てる。
「だから逃がさないようにロックオン、全方向、全力で囲い込みに入ってるんだよ。中村さんが本気で嫌がったら引くかもしれないけど、好意を示しているなら遠慮しないと思う。あいつも、やっと運命の相手が見つかったと思ってるだろうし」
私はクッションを抱き締め、溜め息をつくと、尊さんの肩に頭を押しつける。
「……うまくいったらいいですね。私も恵の初恋、応援したいです」
「中村さんの扱いを一番分かってるのは朱里だろうから、へたに茶化さず真剣に話を聞いて、無理のない方向で応援してあげたらいいと思う」
「ですね」
そのあとは連休明けの予定を話しつつ、ゆっくり過ごした。
**
その後、朱里は春日さんたちに連絡して、五月末の週末に女子会をする予定になったと教えてくれた。
私はいつも通り商品開発部で働きつつ、迫り来る週末を意識して胸を高鳴らせていた。
涼さんはあらかじめ【鬱陶しくなかったら、朝晩の挨拶をしてもいい?】と尋ね、承諾したら【おはよう】と【おやすみ】のメッセージを送ってくるようになった。
そういうタイプじゃないだろうに、食べた物の写真も送ってくれ、出張で向かった福岡の写真も見せてくれた。
週末にお邪魔した時は、福岡のお土産をくれるらしい。
気が重たい連休明けの仕事も、彼とメッセージをしていると乗り切れる気がする。
が、火曜日に出社して通常業務をしていると、綾子さんが不審な事を伝えてきた。
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