【R-18】上司と継弟に求められて~私と彼と彼の爛れた生活~

臣桜

文字の大きさ
52 / 114

純愛モンスター

「『うちに勉強しに来ないか』って誘われて、愚かな私は舞い上がったわ。亮から誘われたのは初めてだったもの。……でも家にお邪魔してすぐに理解した。現れたのは、苦しみなんて知らなそうな、おっとりとした巨乳で美人なお姉さん。一目見て亮が姉を女として想っているのがすぐに分かった。私たちは精神で繋がっていると思ったのに、亮はあんな分かりやすい〝女〟に惚れていたのよ。……屈辱だった」

 高瀬は昨日の事のように悲しみ、涙を流した。

 女は女に嫉妬する。

 高瀬は夕貴を見て、その外見や身体的特徴で彼女を判断したんだろうか。

 夕貴の顔の作りがもう少し違っていて、Aカップだったら高瀬は嫉妬していなかった? あり得ない。

 結局こいつは、亮くんの心を奪った相手が誰であっても憎んだ。

 それに多少の〝美人で巨乳〟〝姉〟というエッセンスが加わり、憎みやすくなっただけだ。

「……亮くんは夕貴の外見が〝そう〟だったから惚れたと思った?」

 尋ねると、高瀬は嫌そうな顔をして溜め息をついた。

「勿論、他の要素もあったんでしょう。私は夕貴さんをよく知らないし、亮と彼女がどんな会話をしてどう過ごしているかなんて知らない」

「夕貴をよく知らないのに憎んだ?」

 尋ねると、高瀬はせせら笑った。

「知らないの? 人は相手をよく知らなくても憎めるのよ。昨今のニュースを見れば、会った事のないネット上の人物を執拗に憎めるって分かるでしょう? 愛するためにはその人を知らないといけないけど、憎むのは簡単なのよ」

 そこまでちゃんと理解しているとは驚きだ。

「分かっているのに、どうして?」

 尋ねたが、高瀬は首を横に振って嘲笑した。

「あなた勘違いしてない? 難関大学に入った人が全員罪を犯さず、人を憎まないとでも? 私はまともな家庭で育っていない。裕福な家庭に生まれて、お金には困らなかったし最高の教育を受けたけど、私ほど不幸な女はいないわ。……一般家庭生まれの人のほうが、家族の関係が密接で幸せなんじゃない? 私はあの女みたいに恵まれていないのよ」

「夕貴は恵まれているとは言えないと思うけど」

「あの人の都合なんて知らない。私が夕貴さんについて知りたがるとでも思ってるの? あの二人を守るつもりで話をつけに来たんでしょうけど、余計な情報を吹き込んで同情を買おうとしても無駄よ」

 高瀬の怒りが爆発しそうなのを感じ、俺は日本酒を一口飲み、ドリンクメニューを手にし、あえて間を空ける事で彼女の怒りを鎮めさせた。

 彼女は大きな溜め息をつき、また猪口に入っている日本酒を呷り、手酌する。

「俺は二人の代理のつもりでここにいる。夕貴は俺が君と話す事を知ってるけど、亮くんは知らない。後日、彼から何か言われたとしても、俺と夕貴はノータッチだ」

 高瀬は黙って頷いた。

「君は亮くんに何を望んでる?」

 彼女は深く息を吸ってから吐き、腕を組む。

「見当はついてるんじゃない? 彼とやり直したい。ちゃんと私の話を聞いてほしい。私の気持ちを伝えて、亮を本当に想っているのは私だけだって知ってほしい」

「……彼は望んでると思う?」

 尋ねると、高瀬は溜め息をついて俺を睨んだ。

「……嫌な男」

 性格がいい男だという自負はないので、俺は褒め言葉をもらったつもりで微笑んだ。

「……傷つけた自覚はある。……でも私だって亮に傷つけられた。彼が夕貴さんを想ってるのを大人しく見守っていたら、私の想いは一生叶わない。なら一回ぐらい、いい思いをしたっていいじゃない」

「レイプしたって自覚はある?」

 静かに尋ねると、高瀬は表情を強張らせた。

「……違う。レイプなんかじゃない。私は亮を誰よりも愛してる。先輩たちは遊びだったけど、私だけは気持ちを込めて抱かれた」

「弱みを握って言う事を聞かせて、抵抗しない相手に跨がるのは〝抱かれた〟って言わないと思うけど」

「亮を脅したのは先輩たちだもの。私は関係ない」

 高瀬は頑なに否定しているが、その表情には焦燥感が溢れていた。

「でも、亮くんに姉がいるって話したのは君だろ? 田町楓はその情報を聞いて、『その気になればいつでも姉を強姦できる』と亮くんを脅した。君が田町に夕貴を売らなければ、彼はレイプされなかった」

 微笑んで言うと、高瀬は深呼吸して興奮を落ち着かせていく。

「君と亮くんの気持ちには、大きな隔たりがあるよ。君は加害者で、亮くんの一生のトラウマだ。一時は親友と思っていただけに余計に傷は深い。君と顔を合わせれば亮くんのプライドがズタズタに傷付くから、彼は可能な限り会いたくないと思ってる。……なのに君は、自分の感情を純愛だと思い込んでいる。物凄いズレだ」

 俺は純愛モンスターに向かって、シニカルに笑いかけた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。