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亮へのメッセージ
「わざとじゃなかったんだから、いいよ」
「当然! 事情を教えてもらったから、これからは気をつける!」
しっかり頷いた志保を見て、私は微笑む。
「もし変な事になったら、いつでも言ってね」
「うん、ありがとう」
志保に全部は言えていないけれど、親友が味方でいてくれるのは心強い。
彼女とたわいのない話をして飲み続けていると、やがて店に秀弥さんが入ってきた。
「あ、秀弥さん」
酔っぱらった私は、志保の前だというのに彼を名前で呼んでしまう。
そんな私を見て、志保は目をまん丸に見開き、無言で「きゃーっ!」と歓声を上げていた。
「お疲れさん」
秀弥さんはテーブルまで来ると、私の隣に腰かける。
「西崎さん、やっぱり夕貴と……」
志保がワクワクした顔で尋ねると、彼は頷いてから人差し指を唇の前で立てた。
「結婚する予定だけど、まだ内緒にしておいてくれ」
「勿論です! わ~! おめでとうございます!」
「口止め料としてここ驕るから、頼むな」
「やったー! もうちょっと食べよーっと」
嬉々としてメニューを捲る志保を見て、秀弥さんは「容赦ねーな」と笑う。
「西崎さん、何か飲みます?」
「車で来てるからノンアルにしとく」
志保の問いに答えた秀弥さんは、メニューを一通り見てから「ウーロン茶にするか」と呟く。
「夕貴、ちょっとスマホ貸してもらえる? 彼にメッセージしたいんだけど」
「あ、うん」
秀弥さんの言いたい事をすぐ理解した私は、スマホを立ち上げると彼に手渡した。
「サンキュ」
彼はお礼を言うと、少し考えてから亮にメッセージを打っていく。
少ししてからスマホを返され、気になった私は「見てもいい?」と尋ねる。
「夕貴のスマホだし、どうぞご自由に」
言われて、私は亮とのトークルームを開いた。
【はじめまして。西崎秀弥です。夕貴さんのスマホを借りてメッセージさせていただきました。突然の事で驚いたかと思いますが、お許しください】
【夕貴さんに高瀬奈々さんの話を聞き、彼女の身の危険を感じたので、当面我が家で一緒に生活する事にしました。また、彼女から高瀬さんに関する話を軽く聞き、第三者が介入したほうがいいと判断し、本日高瀬さんと会ってきました】
【長谷川姉弟に関わらないと約束してもらいたかったのですが、どれだけ話しても分かり合う事ができず、平行線のままに終わってしまいました。彼女は自分が亮くんに嫌われている事をあまり自覚していないようです。現実的な事を指摘したのですが、あまり言い過ぎると逆ギレして事態が悪化してしまいそうだったので、強く言ってやり込める事は避けました】
【結局〝話し合い〟は成功したとは言えませんが、次の手段がありますので、亮くんは彼女に連絡をとらず静観していてください。大切なお姉さんのために動きたい気持ちは察しますが、あなたと高瀬さんは相性が悪すぎます。私の言う事を聞くのが癪なのは分かりますが、亮くんを心配する夕貴さんのためにも、衝動的な行動はとらないようにお願いいたします】
【後日、ご挨拶に伺います。そのあとにでも、改めて亮くんとお話できたらと思っています。長文大変失礼いたしました】
意外にも秀弥さんは、とても丁寧な文面で亮にメッセージを送っていた。
「もっとバチバチな感じかと思った」
素直な感想を述べると、彼は首を竦める。
「怒りのままに高瀬に会いに行くなってお願いしてるのに、喧嘩腰になったらいかんだろ」
「確かに……」
その時、秀弥さんのウーロン茶と志保が頼んだ追加メニューが運ばれてきて、とりあえず三人で乾杯した。
「まー、私は二人を応援するよ。弟くんは以前にチラッと会った事があるけど、凄いイケメンだったよね。あの彼ならモテるのは頷けるから、変な女にも絡まれるんだろうけど、正義は勝つ! 頑張れ!」
いい感じにできあがっている志保はビールのジョッキを掲げ、ゴッゴッ……と飲んでいく。
「ありがと」
幸せになれる未来が確定した訳じゃない。
私も亮も秀弥さんも、それぞれ抱えているものがあり、問題がある。
(どんな形かはまだ分からない。……みんな幸せになれますように)
心の中で祈った私は、グラスに残っていたカシスオレンジを飲み干した。
**
「当然! 事情を教えてもらったから、これからは気をつける!」
しっかり頷いた志保を見て、私は微笑む。
「もし変な事になったら、いつでも言ってね」
「うん、ありがとう」
志保に全部は言えていないけれど、親友が味方でいてくれるのは心強い。
彼女とたわいのない話をして飲み続けていると、やがて店に秀弥さんが入ってきた。
「あ、秀弥さん」
酔っぱらった私は、志保の前だというのに彼を名前で呼んでしまう。
そんな私を見て、志保は目をまん丸に見開き、無言で「きゃーっ!」と歓声を上げていた。
「お疲れさん」
秀弥さんはテーブルまで来ると、私の隣に腰かける。
「西崎さん、やっぱり夕貴と……」
志保がワクワクした顔で尋ねると、彼は頷いてから人差し指を唇の前で立てた。
「結婚する予定だけど、まだ内緒にしておいてくれ」
「勿論です! わ~! おめでとうございます!」
「口止め料としてここ驕るから、頼むな」
「やったー! もうちょっと食べよーっと」
嬉々としてメニューを捲る志保を見て、秀弥さんは「容赦ねーな」と笑う。
「西崎さん、何か飲みます?」
「車で来てるからノンアルにしとく」
志保の問いに答えた秀弥さんは、メニューを一通り見てから「ウーロン茶にするか」と呟く。
「夕貴、ちょっとスマホ貸してもらえる? 彼にメッセージしたいんだけど」
「あ、うん」
秀弥さんの言いたい事をすぐ理解した私は、スマホを立ち上げると彼に手渡した。
「サンキュ」
彼はお礼を言うと、少し考えてから亮にメッセージを打っていく。
少ししてからスマホを返され、気になった私は「見てもいい?」と尋ねる。
「夕貴のスマホだし、どうぞご自由に」
言われて、私は亮とのトークルームを開いた。
【はじめまして。西崎秀弥です。夕貴さんのスマホを借りてメッセージさせていただきました。突然の事で驚いたかと思いますが、お許しください】
【夕貴さんに高瀬奈々さんの話を聞き、彼女の身の危険を感じたので、当面我が家で一緒に生活する事にしました。また、彼女から高瀬さんに関する話を軽く聞き、第三者が介入したほうがいいと判断し、本日高瀬さんと会ってきました】
【長谷川姉弟に関わらないと約束してもらいたかったのですが、どれだけ話しても分かり合う事ができず、平行線のままに終わってしまいました。彼女は自分が亮くんに嫌われている事をあまり自覚していないようです。現実的な事を指摘したのですが、あまり言い過ぎると逆ギレして事態が悪化してしまいそうだったので、強く言ってやり込める事は避けました】
【結局〝話し合い〟は成功したとは言えませんが、次の手段がありますので、亮くんは彼女に連絡をとらず静観していてください。大切なお姉さんのために動きたい気持ちは察しますが、あなたと高瀬さんは相性が悪すぎます。私の言う事を聞くのが癪なのは分かりますが、亮くんを心配する夕貴さんのためにも、衝動的な行動はとらないようにお願いいたします】
【後日、ご挨拶に伺います。そのあとにでも、改めて亮くんとお話できたらと思っています。長文大変失礼いたしました】
意外にも秀弥さんは、とても丁寧な文面で亮にメッセージを送っていた。
「もっとバチバチな感じかと思った」
素直な感想を述べると、彼は首を竦める。
「怒りのままに高瀬に会いに行くなってお願いしてるのに、喧嘩腰になったらいかんだろ」
「確かに……」
その時、秀弥さんのウーロン茶と志保が頼んだ追加メニューが運ばれてきて、とりあえず三人で乾杯した。
「まー、私は二人を応援するよ。弟くんは以前にチラッと会った事があるけど、凄いイケメンだったよね。あの彼ならモテるのは頷けるから、変な女にも絡まれるんだろうけど、正義は勝つ! 頑張れ!」
いい感じにできあがっている志保はビールのジョッキを掲げ、ゴッゴッ……と飲んでいく。
「ありがと」
幸せになれる未来が確定した訳じゃない。
私も亮も秀弥さんも、それぞれ抱えているものがあり、問題がある。
(どんな形かはまだ分からない。……みんな幸せになれますように)
心の中で祈った私は、グラスに残っていたカシスオレンジを飲み干した。
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