【R-18】上司と継弟に求められて~私と彼と彼の爛れた生活~

臣桜

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実家への挨拶

 そして予定していた九月末の週末、私は秀弥さんと一緒に実家へ挨拶に行った。

 十四時半に行く約束をしていて、ピンクベージュのワンピースに着替えた私は、ソワソワして助手席に座っていた。

 やがて十四時二十五分には実家の前に車が停まり、私はあらかじめ両親に言われていた通り、一度車から降りてガレージを開けた。

 無事車を停めた彼は、「ふう」と溜め息をついて降車する。

 秀弥さんはいつも格好いいけど、スーツ姿の今日は一際格好良く見える。

「緊張するね」

「そろそろ……だな」

 秀弥さんは腕時計を見て軽く深呼吸し、微笑みかけてくる。

「きっと大丈夫」

 コクンと頷いてから数分タイミングを見たあと、私は「行こうか」と言って先に歩き始めた。




「いらっしゃいませ」

 チャイムを押して玄関に入ると、奥からパタパタと母が出てきて、いつもよりトーンの高い声を出した。

「先日は大変失礼いたしました。改めまして、夕貴さんと同じ会社に勤めています、西崎秀弥と申します」

 両親は爽やかに微笑んだ秀弥さんを、とても好意的に見ている。

 亮は……と思って彼を見ると、奥のほうからジッと私たちを凝視していた。

「どうぞ上がってください」

 母はスリッパを手で示し、私たちは靴を揃えて家に上がる。

 三階まで上がって席に着いたあと、私は一通り家族を紹介し、秀弥さんが手土産を渡した。

 母がコーヒーとお茶請けを出したあと、彼は〝外〟向けの爽やかな笑顔で切り出した。

「本日はご多忙な中、お時間を作っていただきありがとうございます」

 秀弥さんが頭を下げ、隣に座った私も同様にする。

 向かいに座った両親も、一人掛けのソファに腰かけた亮も同じく頭を下げた。

「夕貴さんとは、結婚を前提にお付き合いさせていただきました。本日は結婚の許しを得たく、ご挨拶に参りました」

 秀弥さんに好感を抱いた母は、微笑んで言った。

「娘からはお付き合いの話を聞いていなかったので、聞いた時はびっくりしました。でもあなたの事を話す時、とても幸せそうな顔をしているので、大切にされているんだろうなと思っていました」

 う……、そう言われるとつらい。

 ずっとセフレって思っていたから、『付き合ってる人がいる』なんて言えなかったもんな。

 でもそれを正直に言う訳にいかないので、「恥ずかしかったから言いづらかったの」と言っておいた。

「結婚式や、今後の住まいとか、色々決めているのか?」

 父に尋ねられ、私たちは今後のプランを話していった。

 当面は秀弥さんのマンションで同棲し、仕事は私情を挟まず今後も続け、式と新婚旅行は来年の秋頃にするなど。

「ちゃんと考えてるな。西崎さんは仕事のできる人のようだし、今後も安心かな?」

 父の言葉を聞き、秀弥さんは「ありがとうございます」と微笑む。

 そのあともお茶を飲みつつ、秀弥さんの趣味などについて話し、和やかに会話が進んでいく。

 皆が笑顔で話をしている間、亮は真顔で秀弥さんを見つめていた。

 私はいつ亮が変な事を言うか気が気でなく、ずっと冷や汗を掻いたまま異様なまで明るく振る舞っていた。





「では、お邪魔しました。食事会の日程が決まりましたら、ご連絡させていただきます」

 二時間ほど話したあと、秀弥さんは玄関で爽やかに笑ってお辞儀をする。

 彼の両親を呼ぶ事はできないけど、日を改めて婚約お祝いの食事会をする事が決まった。

「これで夕貴がまだうちに住んでいたなら、『送って差し上げなさい』って言うところだけどね」

「同棲、うまくいってるよ」

 秀弥さんの好感度が爆上がりしているらしい母に言われ、私は微笑む。

「残念。交通機関で来たなら、俺が駅まで送っていったのに」

 その時、ずっと黙っていた亮が口を開き、私はドキッとして彼を見た。

 秀弥さんもずっとくだんの〝弟〟を気に掛けていたので、初めて会話に参加した亮を見て意味深に微笑んだ。

「もし良かったら、歳の近い者同士、これから話をしがてら食事に行きませんか?」
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