【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十四部・最後の清算 編

謝罪

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「どういう事か、ご説明いただけますか?」

 母、栄子に再度問われ、佑は覚悟を決めた面持ちで一連の出来事を語り始めた。

 話の発端は子供の頃の知り合い程度に思っていたエミリアから、所有物扱いを受け、〝お気に入り〟だった佑に婚約者ができた事が彼女の逆鱗に触れ、香澄が狙われるようになった事。

 香澄がイギリスに連れて行かれた一連の出来事は解決したものの、彼女にトラウマを負わせ、仕事復帰まで時間が掛かってしまった。

 エミリア一人を処罰すれば済む話かと思えば、彼女が破滅した事によってフェルナンドが起ち上げようとしていた会社が被害に遭い、その逆恨みを買ってしまった。

 フェルナンドはスペインで自分たちに接触し、香澄と友達になるふりをして彼女のスマホを乗っ取り、以降、日本にいながら護衛を害するふりをして脅し、札幌にいる赤松家にも危害を加えると脅し、香澄はフェルナンドの命令に従ってクルーズ船に乗ってしまった。

 死に物狂いになり、色んな人の協力を得て、ロサンゼルスで香澄を救い出したが、また彼女にトラウマを植え付けてしまった。

 やっと元の生活に戻れると思いきや、パリコレの最中でエミリアとフェルナンドに襲われ、佑は記憶を失ってしまった。

 記憶がない事で周囲から責められ、ストレスが溜まった状態で香澄を家から追い出してしまい、あとから記憶を取り戻してワシントンD.C.で謝罪し、ようやく今に至る。

 佑の話を、赤松家の家族は真剣な表情で聞いていた。

「……本当は、口頭でお伝えして済ませられるような事ではありません。伏してお詫びをして、許しを乞わなければならない出来事でした。こんな事後になってからノコノコと現れ、大変申し訳ございませんでした。どんなお叱りも受けます。香澄さんを危険な目に遭わせてしまった事を、心からお詫びいたします」

 そこまで言い、佑はバッと頭を下げた。

 しばらく居間に沈黙が落ち、家族たちはお互いの意見を探るように視線を交わす。

 家族が何か言う前に、香澄は挙手して口を開いた。

「……確かに危険な目に遭ったし、トラウマにもなった。でも〝世界の御劔〟と呼ばれている佑さんと結婚すると決めてから、どんな事があっても二人で乗り越えるって決めたの。……確かにここまでの事が起こるとは思っていなかったけれど、佑さんの周りにいる凄い方々からも、『君は佑のウイークポイントだから気をつけて』って言われ続けていた。注意して生活すべきだったと思う。……でも、どれだけ注意しても防げなかった事もある。……私はそういう事まで佑さんを責めてほしくない」

 香澄は家族たちの顔を見つめながら、自分の心と対話するように続けた。

「彼は私を守るためにいつも最善の策をとってくれたし、今だって外に護衛の方々がいる。……世の中に百パーセントはないの。色んなものを持っていると思える佑さんだってミスをするし、隙を突かれたら攻撃を受ける事もある。……でも、お母さんたちが死ぬほど心配する気持ちも分かるの。『今こうやってピンピンしているから、いいでしょ』なんて言えないのも分かってる。……私がボヤボヤしていたのも原因があると思うし、怒られるなら佑さんと一緒に怒られる。……でも、『別れろ』とは言わないでください」

 彼女はそこまで言い、まだ頭を下げている佑の隣で、自分も同様にした。

 また沈黙が落ち、少ししてから誰かが溜め息をついたのが聞こえた。

「二人とも顔を上げて」

 母に言われ、二人とも緊張した面持ちで頭を上げる。

 栄子の顔を見ると、様々な感情が入り交じった表情をしていたが、激怒しているという感じでもなかった。

「確かに驚きました。香澄から『多忙にしている。海外出張に行っている』と聞いて、元気でやっているんだなと思っていました。その裏側で、娘がそんな目に遭っていたとは想像もつかず……。ただただ、驚くばかりです」

「申し訳ございません」

 佑は再度頭を下げる。

「親として、香澄が死ぬかもしれない、もしくはそれ以上の、人としての尊厳を失うかもしれない事態に陥った事について、強い憤りを感じています。御劔さんに責任があると言いたいのではなく、邪悪な考えを持つ犯罪者たちへの怒りです。……御劔さんに関しましては、悪人が札幌まで来ていたところ、秘密裏に護衛を出してくださっていたとの事。それには深く感謝申し上げます」

「いいえ……。それぐらいの事しかできず、申し訳ございません」

 ここまで低姿勢になっている佑を見るのは、これが初めてだ。

「親として色んな想いを抱いていますが、まず、香澄は成人した大人です。香澄が自分の意志で御劔さんと結婚すると決め、その過程で予期せぬ出来事が起こったなら、警察や司法など、お任せできる所にお任せし、御劔さんと香澄は〝被害者〟でいいと思っています」

 母が冷静な決断を下し、香澄は安堵の息をつく。

「……ですが、こうやって本当の意味での〝事後〟になるまで、黙っていられたというのも、『親として信頼されていないのかな?』と思って寂しくなります。当時は事件を解決するのにバタバタしていたでしょうし、海外を飛び回っていたなら、私たちに連絡する暇もなかったと思います。『今こうして報告してくださったからいいです』……とは言いたいのですが、……なんと言うべきなのか……。香澄も大変だったのは分かるし。……難しいわね……」

 そこまで言い、栄子は黙り込んでしまった。
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