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第六部・社内旅行 編
たかがブラホック外し、されどブラホック外し
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佑はチラリと室内にある乱れ箱を見て、そこに浴衣が用意されてあるのを確認する。
「おいで。脱がせてあげる」
「大丈夫だよ、一人で……あん、もう」
抵抗しようにもデニムワンピースを脱がされ、香澄は黒いTシャツ一枚になってしまう。
「はい、バンザイ」
「え……ちょ。せめて浴衣羽織らせて」
目の前に立った佑がTシャツまでも奪い取ろうとするので、香澄は四つ這いで移動し浴衣を目指した。
「あ……。香澄のお尻がプリプリ動いてるの可愛い……。やばい、無理」
手と膝で赤ちゃんのようにハイハイした香澄の後ろ姿に、もれなく佑が欲情した。
「やだっ! お尻見ないでよ! 佑さんが脱がせたくせに……っ」
佑がどこを見ているのか察した香澄は、座り込んで浴衣を広げる。
バサッと広げて羽織ってしまうと、その陰でTシャツを脱ぎ始めた。
「なんだよ。隠れて着替えるなんて無粋だな」
「残念ながら、まだ恥じらいというものがあるんですー」
べ、と振り向きざまに舌を出した瞬間、パシャッと音がして写真を撮られた。
「な……っ」
「記念。一緒に温泉っていうのもなかなかレアだし、温泉での香澄のあれこれを収めておこうと思って」
「もー。あとで佑さんが浴衣姿になったら、私だって写真撮るんだから」
無事Tシャツを脱いで浴衣の前を合わせようとした時、背後に迫った佑が手を潜り込ませてきた。
「きゃ……っ、ちょ、なに、まっ……」
「やっぱりブラつけてる。浴衣の下はブラなしが鉄則だろ」
言いながら、佑は香澄の背中で浴衣越しにブラジャーのホックを外してしまった。
「なに!? 浴衣の上から!? どんな技使ったの!?」
「技って言われても……」
佑としては別に手慣れている訳ではない。
ブラジャーのホックの形状はアパレルブランドの社長として分かっているし、その間に布が一枚挟まっただけだ。
それだけの問題なのだが、香澄は何かを疑う眼差しで佑を見る。
「……なに、その目」
「……別に」
きゅう、と唇を尖らせた香澄は、仕方なくブラジャーを外す。
浴衣の前を掻き合わせ、ブラジャーを畳んだTシャツの下に隠した。
「香澄。何か不満か? 今の、がっついているみたいで嫌だった?」
背後から佑が香澄を抱きすくめ、耳元で機嫌を窺う。
「……別に、がっついてるとかじゃなくて……」
どうやらブラホック外し一つにしても、自分と佑との間には認識の差があるようだ。
佑が今の行動で自覚しているのは「がっついている」のみだ。
香澄は彼がブラジャーのホックを外し慣れている=沢山の女性と関係を結んだ過去がある、と疑ってしまっていて、そんな自分に嫌気が差す。
佑の過去の女性関係は、深く聞かないと決めたはずだった。
けれど指先で行われる行動一つで、こんなにも心が乱される。
(……私、心が狭いな)
もう一度溜め息をつき、香澄はなんとか自力で立ち上がろうとする。
松葉杖はテーブルの反対側にあり、できれば畳のある場所で杖を使いたくない。
「香澄?」
「温泉、一緒に入るんでしょう?」
振り向くと、どこか心配そうな顔をしている佑がいる。
香澄の機嫌が少し悪くなっただけで、この完璧な社長は忠犬のように心配して纏わり付こうとする。
(私はもう少し、佑さんを信頼しないと駄目だなぁ。……ううん、自分に自信を持たないと)
たかがブラホック外し。
それだけで機嫌が悪くなるだなんて、あまりに狭量すぎる。
「……じゃあ、ギプスカバーつけないとな。ギプスはもう少しで取れるんだっけ?」
佑が香澄の鞄を持って来てくれたので、その中からギプスカバーを取り出す。
「うん。来週の通院で、半分外す感じになるって。レントゲンを撮って状態を確認してから、昼間は固定するけどお風呂と寝る時は外してもいいようになるでしょう、って。その次の週には完全に取れて、サポーターで過ごせるんだって」
「ふぅん。じゃあ、ギプスが取れた初夜に脚にキスさせて」
佑は香澄の脚にカバーをつけつつ、そんな事を言う。
「ギプス初夜! ……新しい概念」
思わずツッコミを入れたあと、香澄は首を左右に振ってキスを遠慮する。
「ずっと脚を洗えてなくて臭いから、キスはいや」
ギプスカバーをつけてくれたあと、佑は服を脱いだ。
残っていた香澄のレースのパンティも脱がし、浴衣も取り払った。
「おいで。脱がせてあげる」
「大丈夫だよ、一人で……あん、もう」
抵抗しようにもデニムワンピースを脱がされ、香澄は黒いTシャツ一枚になってしまう。
「はい、バンザイ」
「え……ちょ。せめて浴衣羽織らせて」
目の前に立った佑がTシャツまでも奪い取ろうとするので、香澄は四つ這いで移動し浴衣を目指した。
「あ……。香澄のお尻がプリプリ動いてるの可愛い……。やばい、無理」
手と膝で赤ちゃんのようにハイハイした香澄の後ろ姿に、もれなく佑が欲情した。
「やだっ! お尻見ないでよ! 佑さんが脱がせたくせに……っ」
佑がどこを見ているのか察した香澄は、座り込んで浴衣を広げる。
バサッと広げて羽織ってしまうと、その陰でTシャツを脱ぎ始めた。
「なんだよ。隠れて着替えるなんて無粋だな」
「残念ながら、まだ恥じらいというものがあるんですー」
べ、と振り向きざまに舌を出した瞬間、パシャッと音がして写真を撮られた。
「な……っ」
「記念。一緒に温泉っていうのもなかなかレアだし、温泉での香澄のあれこれを収めておこうと思って」
「もー。あとで佑さんが浴衣姿になったら、私だって写真撮るんだから」
無事Tシャツを脱いで浴衣の前を合わせようとした時、背後に迫った佑が手を潜り込ませてきた。
「きゃ……っ、ちょ、なに、まっ……」
「やっぱりブラつけてる。浴衣の下はブラなしが鉄則だろ」
言いながら、佑は香澄の背中で浴衣越しにブラジャーのホックを外してしまった。
「なに!? 浴衣の上から!? どんな技使ったの!?」
「技って言われても……」
佑としては別に手慣れている訳ではない。
ブラジャーのホックの形状はアパレルブランドの社長として分かっているし、その間に布が一枚挟まっただけだ。
それだけの問題なのだが、香澄は何かを疑う眼差しで佑を見る。
「……なに、その目」
「……別に」
きゅう、と唇を尖らせた香澄は、仕方なくブラジャーを外す。
浴衣の前を掻き合わせ、ブラジャーを畳んだTシャツの下に隠した。
「香澄。何か不満か? 今の、がっついているみたいで嫌だった?」
背後から佑が香澄を抱きすくめ、耳元で機嫌を窺う。
「……別に、がっついてるとかじゃなくて……」
どうやらブラホック外し一つにしても、自分と佑との間には認識の差があるようだ。
佑が今の行動で自覚しているのは「がっついている」のみだ。
香澄は彼がブラジャーのホックを外し慣れている=沢山の女性と関係を結んだ過去がある、と疑ってしまっていて、そんな自分に嫌気が差す。
佑の過去の女性関係は、深く聞かないと決めたはずだった。
けれど指先で行われる行動一つで、こんなにも心が乱される。
(……私、心が狭いな)
もう一度溜め息をつき、香澄はなんとか自力で立ち上がろうとする。
松葉杖はテーブルの反対側にあり、できれば畳のある場所で杖を使いたくない。
「香澄?」
「温泉、一緒に入るんでしょう?」
振り向くと、どこか心配そうな顔をしている佑がいる。
香澄の機嫌が少し悪くなっただけで、この完璧な社長は忠犬のように心配して纏わり付こうとする。
(私はもう少し、佑さんを信頼しないと駄目だなぁ。……ううん、自分に自信を持たないと)
たかがブラホック外し。
それだけで機嫌が悪くなるだなんて、あまりに狭量すぎる。
「……じゃあ、ギプスカバーつけないとな。ギプスはもう少しで取れるんだっけ?」
佑が香澄の鞄を持って来てくれたので、その中からギプスカバーを取り出す。
「うん。来週の通院で、半分外す感じになるって。レントゲンを撮って状態を確認してから、昼間は固定するけどお風呂と寝る時は外してもいいようになるでしょう、って。その次の週には完全に取れて、サポーターで過ごせるんだって」
「ふぅん。じゃあ、ギプスが取れた初夜に脚にキスさせて」
佑は香澄の脚にカバーをつけつつ、そんな事を言う。
「ギプス初夜! ……新しい概念」
思わずツッコミを入れたあと、香澄は首を左右に振ってキスを遠慮する。
「ずっと脚を洗えてなくて臭いから、キスはいや」
ギプスカバーをつけてくれたあと、佑は服を脱いだ。
残っていた香澄のレースのパンティも脱がし、浴衣も取り払った。
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