【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十部・ニセコ 編

姉がお世話になりました

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 用を済ましたあと、佑は店の入り口近くでスマホを弄り、〝香澄フォルダ〟を延々と見ていた。

 ほとんどが隠し撮りしたもので、彼女が裸になっているあやういものもある。

(ああ……。抱きたい。声を聞きたい)

 今ならジョン・アルクールのあの香りを嗅いだだけで、きっと自分はおかしくなってしまいそうだ。

 ――と思っていた時、本当にジョン・アルクールのネクタリンが香った気がして、佑はハッと顔を上げた。

 今まさに店に入ろうとしている女性が、佑の姿を見て立ち止まっている。
 彼女からほんのりと香澄と同じ香りがする。

 途端に佑は内心盛大に舌打ちした。
 いくら香りが同じとはいえ、一瞬でも期待して胸をときめかせてしまった自分はバカだ。

 何気なく視線を女性から戻し、個室に戻ろうとした時、その女性に声を掛けられた。

「あの……御劔社長ですよね?」

 声を掛けられ、佑は動きを止める。
 そして内心呟いた。

(面倒だな)

 しかしChief Everyの社長として、プライベートであっても声を掛けてくれた人におざなりな態度は取れない。

「そうですが」

 心の中で溜め息をつき、佑はビジネススマイルを浮かべて女性を振り返った。

 女性は二十四、五歳で、顔立ちも美しく背が高くスタイルもいい。
 おそらく業界人だろう。

 どこかで見た顔だが……と思っていると、相手が思わずギクッとする事を言ってきた。

「あの、姉がお世話になりました」
「姉?」

 意味が分からず目を眇めると、彼女はごまかすような笑みを浮かべ「御劔社長ぐらいの人なら、覚えていないですよね」と髪を耳にかける。

「姉はモデルのNOZOMIと言います。私は妹で叶恵(かなえ)という名前でモデルをしています」
「……そう、ですか」

 佑は心の中で大きなため息をついた。

 昔フラフラしていた時期に付き合って、こじれてしまった女性の妹だ。

 佑の胸中を知らず、叶恵は話を続ける。

「御劔社長は、ご婚約されたと聞きました。……今日は婚約者さんと一緒なんですか?」
「いえ、友人とです」
「私、姉と待ち合わせをしているんですが、もし良かったら少しだけでも姉に会って頂けませんか?」

 ――絶対に嫌だ。

 佑は心の中できっぱりと言い、表面上では事を荒立てないように問いかける。

「どうしてですか?」

 叶恵の様子を見ていると、どこか必死さを感じる。
 その態度に不穏なものを感じた。

「御劔社長は遊びでも、姉は本気だったんです。あれから姉はずっと失恋を引きずっています」

 ズキ……と胸の奥が痛んだ。

 適当な事をしていたしっぺ返しが、今になってきているのだ。

 それでも、当時は弄んだつもりではなかった。
 NOZOMIと一応は交際をしたが、彼女の束縛や嫉妬、執着が激しくて佑が耐えられなくなったのだ。
 当時の事を知る出雲も「それはきついな」と言っていたほどだ。

「すみませんが、今は本当に婚約者を愛しているので応えられません」

 そう言った時、エレベーターのゴンドラが到着するポン……という電子音がして、ドアが開いた。
 姿を現したのは、〝美女〟と形容できるプロポーションのいい女性だ。

 妹と同じロングヘアで、パンツスタイルにニットというカジュアルな格好だが、それだけでも十分さまになっている。

 彼女は叶恵の姿を見て笑顔になりかけ――、佑を見て驚愕した。

 ――まずったな。

 どう処理すべきか考えるよりも前に、彼女が反応した。

「佑さん……っ」

 美女――NOZOMIが香澄と同じ呼び方で彼を呼び、駆け寄ってくる。

 その呼び方に、佑の胸の奥がギシリと嫌な音を立てた。

 ――これは香澄への裏切りだ。
 ――駄目だ。すぐ離れるべきだ。

 そう思って個室へ戻ろうとしたが、腕にしがみつかれる。
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