【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十一部・スペイン 編

護衛の仕事

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 出張中のプライベート時間とはいえ、護衛たちは帰国して非番になるまで常時仕事中だ。

 全員ビシッとスーツで決め、サングラスこそ掛けていないものの、周囲を見る目は真剣そのものだ。

 香澄は警備体制の彼らに慣れず、コソッと佑に尋ねた。

「ねぇ、こんなしっかりしなくてもいいんじゃないの?」

「海外では日本以上に何があるかわからない。少し物々しいぐらいが丁度いいんだよ」

「スーツはどうして?」

「単に周りに溶け込むためのスタイルだと思うけど。場所がもしビーチならカジュアルな服を着るよ」

「ふぅん……。じゃあ、SP? とかがしてるサングラスは?」

「あれは相手に視線を読ませないためとか、光るもの対策。セレブの来日とかで、空港でカメラのフラッシュが焚かれるだろ。ああいうのとか」

「今はしてないね?」

「サングラスをすると視界が狭くなる。彼らは視力もいいし、裸眼であちこち気を配れるようにするのが一番いいんだと思う」

 普段何気なく会話をしている護衛たちだが、香澄は彼らの仕事をあまり知らなかった。

 元警官や自衛隊が多いという話は聞いていたが、彼らが普段どんな事に気を配っているかまでは知らず、仕事中は邪魔をしたらいけないので話しかけられずにいた。

 会話しながら歩いていると、通りには名だたるハイブランドショップが並んでいる。
 何とはなしにショーウィンドウを覗き込むと、リュカ・ヴィドンヌのバッグが置かれてあった。

 その時、通りを歩いていた女性が「タスク・ミツルギ」と口にしたのが聞こえた。

 彼の隣にいるぼんやりとした日本人女性を、見る人が見れば〝御劔佑が連れている恋人で、重要人物〟と思うだろう。

 そして良からぬ事を考える可能性もある。

(ここは日本じゃないんだ。ボーッとしてたらスリにだって遭うし、危険な事にも巻き込まれるかもしれない。そういう〝もしかして〟はあんまり考えたくないけど、備えあれば憂いなしって言うし……)

 気合いを入れ直し、香澄はキュッと唇を引き結ぶ。

 ――と、佑に声を掛けられた。

「そのバッグ、気になる?」

 欲しくてバッグを見ていると思ったらしく、ハッとした香澄は「違うのっ」とショーウィンドウから離れた。

 飛びすさる動きを見て、佑がぶふっと噴きだした。

 呉代の口元もほんの少し緩む。
 彼が「背後にキュウリを置かれた猫みたい」と思ったのは、佑にも香澄にも秘密だ。

 内心「すみません、すみません」と思いながら、香澄は当てもなく歩きだす。

「香澄、見るならきちんと見ないと」

「え? ええああうう」

 だが横断歩道を渡ったところで、佑に手首を引っ張られた。

「こんな高級な所で、服なんて買えないよ」

 弱り切った声で言う香澄に、佑は腕を組んで「ふむ」と考える。

「じゃあ、いつものように俺が見繕うから、マネキンやって」

「えっ、ええっ!?」

「大丈夫、大丈夫」

 佑は軽い口調で言うと、また横断歩道を渡ってリュカ・ヴィドンヌへ入ってしまった。

「Hola.」

 佑が女性店員に挨拶をし、香澄は「オラ?」と目を瞬かせる。
 キョトンとしている香澄の手を握ったまま、佑はスペイン語で女性に何か言う。

(佑さん凄いなぁ)

 彼が多国語を操れるのも、双子が発端だったらしい。

 一時ドイツに身を寄せていた時、事あるごとに双子が多言語でからかってきて、それに腹が立って手当たり次第学んだらしい。

 負けん気だけで何か国語も話せるようになったのは、ただ「凄い」に尽きる。

 常々思うのだが、佑は地頭がいい。
 普通の人が長年努力して身につける事を、感覚で掴んでしまう。

 いわば天賦のセンスだ。

 色彩を感じ取る能力、音や図形、空間を把握する能力に運動センス。そして圧倒的な記憶力。
 その他多くの能力が合わさり、加えて遺伝による美貌と鍛え上げられた肉体が、〝御劔佑〟という有名人を作り上げる。

「香澄、こっちに」

 どうやらVIPルームへ通されるらしく、エレベーターに乗る事になった。

 洗練された部屋には応接セットがあり、広々としたフィッティングルームもあった。

『少々お待ちください』

 英語で女性が告げて立ち去り、やがて責任者と思われる中年の男性が現れた。
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