【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
845 / 1,589
第十四部・東京日常 編

第十四部・序章 寿司デート3

しおりを挟む
「えっ!? ……えっ?」

 何がおかしかったのか分からない香澄は、水を飲んでから目を瞬かせる。
 木場を見ると、彼も横を向いて笑いを噛み殺していた。

「いや、実に美味しそうに食べるなと思って。ご馳走のしがいがあるよ」

 どうやら食べっぷりが良すぎたらしく、香澄は赤面していく。

「ご、ごめんなさい。美味しくてつい……」

「いや、本当にいいものを見せてもらった」

 恥ずかしいけれど、美味しかったのは本当なので、その感情を変に隠すのは変だ。

(美味しかったんだから胸を張っておこう)

 自分に言い聞かせた香澄は、気持ちを落ち着かせるためにいちご煮の続きに取りかかる。

 今まで食べ物の話しかしていなかったので、食事もそろそろ終盤だし何か話題を……と思い、先ほど出てきた名前を口にする。

「さっき木場さんが仰った、針山さんって?」

 以前にチラッと聞いた気がするのだが、もう一度確認しておく。

「ああ、俺の友人だ。化粧品会社の『美人堂』って知っているだろう?」

「うん! 知ってるも何も……」

 世界進出している国内最大級の化粧品メーカーで、その中にある高級ラインは香澄も愛用している。
 加えて『美人堂』は澪の職場だ。

「そこの社長だ。先日、奥さんが無事に出産したみたいで、一安心してると思う。ほら」

 そう言って佑はスマホを取りだし、写真を見せてくれた。

「わあ、赤ちゃん」

 画像にはこれぞ美女! というくっきりした顔立ちの女性と、新生児が一緒に写っている。

「針山出雲って言うんだけど、腐れ縁でしょっちゅう飲みに行ったりしているから、そのうち香澄にも会わせる。奥さんは美鈴さんって言って、香澄より二つぐらい年上かな? 姉御肌な人で、サバサバしていて付き合いやすいし、澪も懐いてる。香澄の事もきっと可愛がってくれると思うから、落ち着いたらそのうち会いに行こう」

「うん、そのうち」

 香澄はなおもスマホ画面を覗き込み、「赤ちゃん可愛い……」と無意識に呟く。

 その様子を佑が何とも言えない表情で見ていたのを、彼女は知らない。
「なら今すぐ俺と子作りする?」と言いたいのを、外にいるのでグッと我慢している顔だ。

 食事を終えたあと、デザートが出された。

 キンキンに冷やされた銀色の器に、綺麗に搾られたソフトクリームとトッピングの栗の甘露煮がのっていた。
 ソフトクリームの底にはわらび餅が入っているそうだ。

「美味しそう! いただきます!」

 スプーンでソフトクリームと柿をすくって口にいれ、濃厚なミルク味と栗の相性に頬を緩める。

 しっかり味わったつもりでも、美味しい物はすぐなくなってしまう。

「はぁ……。おなかいっぱい……」

 香澄は満ち足りた表情でスプーンを置き、胸の前で両手を合わせる。

 最後に氷が溶けて、少し薄まった梅酒ソーダをコクコクと飲み、はぁ……っと息をついた。

「満足したか?」
「これ以上なく!」

 頷いた香澄の頭を、佑がよしよしと撫でてくる。

「香澄が美味しく食べてくれたなら、俺は最高に嬉しい」

 それから木場に料理の感想などを話し、落ち着いてから店を出る事にした。

 佑が黒いカードで支払いをし、木場に「ごちそうさまでした」を言って、店の者が開けてくれた戸をくぐる。

「幸せ……」

 エレベーターで地上に着く頃には、ビルの前に車が横付けされていた。

 周囲の人が佑に注目したが、何か言われる前にサッと車の後部座席に乗る。

 ほんのりアルコールの入った香澄は、車窓から銀座の街並みを何とはなしに見る。

 シートの上に何気なく置いていた手に、佑の手が重なった。
 佑の親指がスリ、スリと香澄の手の甲を撫で、他の指が指の輪郭や内側を器用にたどる。

「ん……」

 くすぐったいとも何ともつかない感覚に、香澄は指を動かし少しだけ抵抗した。

 けれど佑は手を離してくれず、ずっと触れるか触れないかのタッチで香澄の指の内側を刺激してくる。

 手の甲側や掌側ならいつも何かしらの感覚があるので、多少は我慢できる。

 だが指の間や指の股を弄られると、くすぐったさと気持ちよさの中間の、なんとも言えないムズムズが沸き起こった。

 結果的にその掻痒感は体の深部にまで到達し、何とも言えないフラストレーションが溜まっていく。
しおりを挟む
感想 575

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...