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第十七部・クリスマスパーティー 編
早く香澄と愛し合いたい
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「それでは出ましょうか。そうだ、お気づきだと思いますが、今日、私が着ているニットベスト、Chief Everyの商品なんですよ。軽くて温かくて重宝しています」
「勿論気づいていましたとも。ありがとうございます。光栄です」
最後に二人は、個室を出る前に握手をした。
香澄も丁寧に頭を下げ、小金井が車を寄せている場所に向かう。
車に乗り込むと、佑は瀬尾に「ザ・エリュエシオンまで」と行き先を告げた。
一気に緊張した香澄は必死に話題を探し、「ご飯美味しかったね」と話し掛ける。
口に出してから、うっかりプライベートモードに戻っていた事に気付き、「まずった」と目を閉じる。
だが佑はちっとも気にしていない様子で、「豆腐が美味かったな」と微笑んだ。
「え、えっと……」
「あとは何を食べたっけ?」と思いだそうとするが、緊張して思考まで硬直し、なかなか出てこない。
佑と三井の会話を聞きつつ美味しく頂いたはずなのに、数十分後にはケロッと忘れているだなんて、秘書として失格だ。
香澄が慌てている間にも、車は進む。
食事をしていた和食料理店は銀座にあり、そこからザ・エリュシオンまでは目と鼻の先だ。
結局ろくに世間話もできないまま、香澄は誕生日プレゼントにスイートルームを与えられたホテルに着いてしまった。
「じゃあ、帰る時はまた呼ぶ。車は駐車場に置いて、待機中は好きな場所を使ってくれ」
佑は小金井と呉代に言い、香澄を伴って車を降りた。
ドアマンには顔を見るなり「お帰りなさいませ、御劔様、赤松様」と言われてしまう。
何度も来ている訳ではないのに顔を覚えられ、二重に恥ずかしい。
コンシェルジュは呼ばずともスッと現れ、「お部屋にご案内致します」と先導する。
(うううう……)
昼間からホテルに入り、周りにどう思われているのか考えると、恥ずかしくて堪らない。
だが佑はホテルに入ってから香澄の手を握り、離してくれない。
専用エレベーターの中でコンシェルジュと世間話をしている間も、佑は香澄の手を離さなかった。
「ルームサービス等、お入り用の物はございますか?」
「いえ、結構です。必要になりましたら、あとで連絡します」
「かしこまりました」
コンシェルジュが退室し、香澄はリビングに立ったまま不安げに佑を見る。
「そんな顔をするんじゃない。俺がむりやりホテルに連れ込んだようじゃないか」
佑はクスッと笑ってコートを脱ぎ、ウォークインクローゼットへ向かう。
「香澄もおいで。コートをハンガーに掛けないと、皺がついてしまうから」
「……う、うん……」
香澄もウォークインクローゼットに向かい、コートを脱いで靴もスリッパに履き替える。
「事前に、お風呂のお湯を溜めてもらっているから入ろうか」
佑がスーツも脱ぎ始めたので、香澄は思わず目を逸らす。
「すっ……すぐお風呂入るの?」
すると佑は香澄を見て、ハンガーに掛けたシャツを整えながら返事をする。
「ムードがないと言われるのは承知の上だが、時間がない。あまり遅いと双子に勘ぐられるし、香澄も嫌だろ?」
「ん……」
「それに俺は、早く香澄と愛し合いたい」
まっすぐ見つめられて求められては、応えない訳にいかなかった。
「…………ん……」
香澄は小さく頷くと、スカートのファスナーを下ろし、ゆっくり脱ぎ始める。
恥ずかしがっている香澄を気遣ってくれたのか、佑は「先に風呂に入っているから、準備ができたらおいで」と言ってバスルームに向かった。
(白い下着、つけてきたけど……。あとでお風呂から上がったら見てもらおう)
今日のためにおろしたての下着をつけている。
沢山眠っている物の一つだが、実際つけてみると美しいデザインなのに胸の形が綺麗に出て、お尻もレースのカットが綺麗だ。
(佑さん、前に『下着はプレゼントのラッピングみたいなものだ』って言っていたし、プレゼントを剥き出しであげるのも味気ないしね……)
ひとまず下着姿のまま洗面所に向かい、バスルームを覗く。
佑はシャワーボックスで体を洗っているようだった。
香澄はこそっと下着を脱いでバスタオルの間に挟み、髪の毛は解かずに纏めたまま、こそこそとバスルームに入る。
シャワーボックスのドアをトントンとノックすると、中に入っている佑が微笑んで「いらっしゃい」とドアを開けた。
「勿論気づいていましたとも。ありがとうございます。光栄です」
最後に二人は、個室を出る前に握手をした。
香澄も丁寧に頭を下げ、小金井が車を寄せている場所に向かう。
車に乗り込むと、佑は瀬尾に「ザ・エリュエシオンまで」と行き先を告げた。
一気に緊張した香澄は必死に話題を探し、「ご飯美味しかったね」と話し掛ける。
口に出してから、うっかりプライベートモードに戻っていた事に気付き、「まずった」と目を閉じる。
だが佑はちっとも気にしていない様子で、「豆腐が美味かったな」と微笑んだ。
「え、えっと……」
「あとは何を食べたっけ?」と思いだそうとするが、緊張して思考まで硬直し、なかなか出てこない。
佑と三井の会話を聞きつつ美味しく頂いたはずなのに、数十分後にはケロッと忘れているだなんて、秘書として失格だ。
香澄が慌てている間にも、車は進む。
食事をしていた和食料理店は銀座にあり、そこからザ・エリュシオンまでは目と鼻の先だ。
結局ろくに世間話もできないまま、香澄は誕生日プレゼントにスイートルームを与えられたホテルに着いてしまった。
「じゃあ、帰る時はまた呼ぶ。車は駐車場に置いて、待機中は好きな場所を使ってくれ」
佑は小金井と呉代に言い、香澄を伴って車を降りた。
ドアマンには顔を見るなり「お帰りなさいませ、御劔様、赤松様」と言われてしまう。
何度も来ている訳ではないのに顔を覚えられ、二重に恥ずかしい。
コンシェルジュは呼ばずともスッと現れ、「お部屋にご案内致します」と先導する。
(うううう……)
昼間からホテルに入り、周りにどう思われているのか考えると、恥ずかしくて堪らない。
だが佑はホテルに入ってから香澄の手を握り、離してくれない。
専用エレベーターの中でコンシェルジュと世間話をしている間も、佑は香澄の手を離さなかった。
「ルームサービス等、お入り用の物はございますか?」
「いえ、結構です。必要になりましたら、あとで連絡します」
「かしこまりました」
コンシェルジュが退室し、香澄はリビングに立ったまま不安げに佑を見る。
「そんな顔をするんじゃない。俺がむりやりホテルに連れ込んだようじゃないか」
佑はクスッと笑ってコートを脱ぎ、ウォークインクローゼットへ向かう。
「香澄もおいで。コートをハンガーに掛けないと、皺がついてしまうから」
「……う、うん……」
香澄もウォークインクローゼットに向かい、コートを脱いで靴もスリッパに履き替える。
「事前に、お風呂のお湯を溜めてもらっているから入ろうか」
佑がスーツも脱ぎ始めたので、香澄は思わず目を逸らす。
「すっ……すぐお風呂入るの?」
すると佑は香澄を見て、ハンガーに掛けたシャツを整えながら返事をする。
「ムードがないと言われるのは承知の上だが、時間がない。あまり遅いと双子に勘ぐられるし、香澄も嫌だろ?」
「ん……」
「それに俺は、早く香澄と愛し合いたい」
まっすぐ見つめられて求められては、応えない訳にいかなかった。
「…………ん……」
香澄は小さく頷くと、スカートのファスナーを下ろし、ゆっくり脱ぎ始める。
恥ずかしがっている香澄を気遣ってくれたのか、佑は「先に風呂に入っているから、準備ができたらおいで」と言ってバスルームに向かった。
(白い下着、つけてきたけど……。あとでお風呂から上がったら見てもらおう)
今日のためにおろしたての下着をつけている。
沢山眠っている物の一つだが、実際つけてみると美しいデザインなのに胸の形が綺麗に出て、お尻もレースのカットが綺麗だ。
(佑さん、前に『下着はプレゼントのラッピングみたいなものだ』って言っていたし、プレゼントを剥き出しであげるのも味気ないしね……)
ひとまず下着姿のまま洗面所に向かい、バスルームを覗く。
佑はシャワーボックスで体を洗っているようだった。
香澄はこそっと下着を脱いでバスタオルの間に挟み、髪の毛は解かずに纏めたまま、こそこそとバスルームに入る。
シャワーボックスのドアをトントンとノックすると、中に入っている佑が微笑んで「いらっしゃい」とドアを開けた。
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