【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十九部・マティアスと麻衣 編

もっと幸せにしてあげるから! ☆

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 高校、大学時代の女友達は、身軽に処女を捨てていった。

 比べて自分は、合コンをしても誰にも〝お持ち帰り〟されない。

 なのに変なプライドがあり、自分から男性を誘う事もできなかった。

 そんなこじらせ処女が、今、自分の事を好きで堪らないと言ってくれる男性に、初めてを捧げられている。

「……っ、良かった、……なぁ……」

 気が付けば涙を零し、そう呟いていた。

「マイ?」

 優しく頭を撫でられたが、麻衣は「ううん」と首を振ってマティアスを抱き締めた。

「幸せだな……って思って。……マティアスさんとこうなれて、嬉しい……」

「俺もだ」

 マティアスは幸せそうに微笑み、コツンと額をつけてくる。
 そしてすりすりと鼻を擦り合わせてきた。

(優しい人だな……。この人を幸せにしたい……)

 自然と涙が零れ、麻衣は泣き笑いの表情でマティアスを抱き締める。

 お腹はまだ痛重いけれど、彼を受け入れられているのならどうって事はない。

 やがてマティアスは背中を丸め、麻衣の耳元で溜め息をついた。

「……この辺にしておこう」

「……全部、入ったの?」

「多分、どれだけ解してもすべては入らないと思う」

 マティアスはそう言って微笑み、麻衣の手を取って甲に口づけた。

「つらくないか?」

「……少し痛い。けど、つらくはない。幸せだよ」

「そうか」

 微笑みかけると、マティアスも優しく笑ってくれた。

 彼は愛おしむ目で見つめ、あちこちを優しく愛撫してくる。
 まるでそこに麻衣がいるのだと、確認しているような手つきだ。

 あまりに大切に扱われるので、多幸感で気持ちがフワフワしてきた。

 目を閉じて彼の愛撫に身を任せていた時――。

(ん……?)

 肌に何かがポツッと滴ったのを感じ、麻衣は目を開けた。

 すると――、マティアスが涙を零している。

「どっ……、どうしたの!? い、痛い!?」

 起き上がろうとすると、「いや、違う」と言ってマティアスが覆い被さってきた。

 そのまま抱き締められ、彼のぬくもりに包まれる。
 加えて彼の震え――嗚咽も感じた。

 マティアスは、耳元で熱く震えた声で告げる。

「嬉しい……んだ。勃起不全になってエミリアに『能なし』『役立たず』と言われていた俺が、愛する女性を見つけて、興奮して勃起できた。そして、麻衣を抱けている」

「――――……っ」

 マティアスの言葉を聞き、麻衣は彼の過酷な過去を思いだす。

 大体の一般男性が〝普通〟にできる事を、マティアスは三十歳にしてやっと叶えられた。

 彼の友人たちは、今頃恋人や妻と幸せに暮らしているのだろう。

〝普通〟の生活を送れていなかった彼は、〝普通〟に生きている友人を見て、どれだけ羨んだだろう。

 肉体的な強さや大金を得ても、両親をメイヤー家に人質に取られ、自由がなかった。

 すべてを捨てれば、両親の命の保証はない。

 彼は普通に笑う事もできず、心を凍らせたまま、愛する女性を作れない人生を送っていた。

(こんな事で……っ)

 マティアスが喜ぶ事があまりにささやかで、麻衣は思わず涙を零した。

「もっと……!」

 麻衣の声も、震える。

「もっと幸せにしてあげるから! こんな、私を抱いた程度じゃない、とびっきりの幸せをあげるから!」

 麻衣はマティアスの背中に手を回し、嗚咽しながら体を震わせる。

 そして手に力を込め、きつくきつく、傷を負った獣を抱いた。

「……マイ……」

 マティアスは顔を上げ、涙で濡れた目で見つめてくる。

(……綺麗な瞳……)

 美しい青い目が、縋るように自分を見ている。

 その、求める目にゾクゾクとした愉悦を得た麻衣は、無意識に蜜壷で彼の分身を締め付けていた。

「大丈夫だよ……っ。マティアスさんには、私がついてるから……っ」

 麻衣は彼の髪を撫で、頬に両手を添えてキスをした。

「大丈夫……っ。絶対に幸せにするから」

『自分に何ができるのだろう』という疑問はある。

 けれど〝何か〟ができるなら、全力で取り組みたい。
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