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第11章
第3話 敬老会の皆さんと、訪れる人々
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作業開始から6日目の土曜日。空は快晴で、空気は冷たく、いい雪像日和だ。
霜矢が額の汗をぬぐって雪像を見上げる。
「大樹はだいたいできたな。あとは天蓋に穴を開けるだけか。時原は雲を頼む」
「わかった」
ただの雪山を、ふわふわの入道雲に仕立て上げる瞬間が、一番楽しい。
自分にしかできないこと。みんなの期待に応えること。
誰かのために彫ることが、こんなに楽しいことだなんて知らなかった。
作業していると、老人の集団が遠くから霜矢を手招きしていた。
霜矢の祖母の絹子と、知らない老人たちだ。
「ばあちゃん! それに敬老会の皆さん!」
霜矢が雪像から飛び降りる。
「えー、どうしたの?」
「ちょうど札幌で敬老会の集まりがあってね。差し入れを持ってきたよ」
「ありがとう、ばあちゃん!」
少し絹子たちと会話した後、3人で差し入れの団子を食べて、作業を再開する。
訪れるのは、知り合いばかりではない。
「あの!」
地元の中学の制服を着た女子2人が深冬に声をかけてくる。
「テレビで見ました。真城さん、ですよね! 一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
「もちろんいいよ!」
深冬がピースすると、女子2人がキャーっと喜んで自撮りの配置につく。
「でも、時原くんじゃなくてなんで私なの?」
深冬が尋ねる。
女子2人がもじもじしながら、「あのお兄さんはイケメンすぎてなんかこわいから……」「私たち、真城さんのファンなんです……」と答えた。
霜矢が笑って、夏樹の肩を引き寄せた。
「時原は怖い奴じゃないぞー。な、時原」
「怖い奴でもいいよ、別に」
「もー、照れちゃって」
結局、雪像班の3人と中学生2人の5人で写真を撮って、少女たちを見送った。
「若いねー」
深冬が眩しそうに2人の背中を眺める。
「俺たちも十分若いだろ」
夏樹が呆れたように言うと、「違うの! 相対的に見て言ってるの!」と返された。
大樹の制作も大詰めで、最後は三人で協力して天蓋に穴を開けた。
曇っていた空が少し晴れ始めて、夕日が顔を覗かせた。
茜色の光が天蓋を通して降り注ぐ。
「すごい、本物みたい……」
声が聞こえて振り返ると、小さな子供が母親に手を引かれて少し離れた位置から大樹を見上げていた。
夏樹も大樹を見上げた。
夏の色、匂い、暑さが、視界いっぱいに広がっている。
これが、俺たちの作った「夏」だ。
霜矢が額の汗をぬぐって雪像を見上げる。
「大樹はだいたいできたな。あとは天蓋に穴を開けるだけか。時原は雲を頼む」
「わかった」
ただの雪山を、ふわふわの入道雲に仕立て上げる瞬間が、一番楽しい。
自分にしかできないこと。みんなの期待に応えること。
誰かのために彫ることが、こんなに楽しいことだなんて知らなかった。
作業していると、老人の集団が遠くから霜矢を手招きしていた。
霜矢の祖母の絹子と、知らない老人たちだ。
「ばあちゃん! それに敬老会の皆さん!」
霜矢が雪像から飛び降りる。
「えー、どうしたの?」
「ちょうど札幌で敬老会の集まりがあってね。差し入れを持ってきたよ」
「ありがとう、ばあちゃん!」
少し絹子たちと会話した後、3人で差し入れの団子を食べて、作業を再開する。
訪れるのは、知り合いばかりではない。
「あの!」
地元の中学の制服を着た女子2人が深冬に声をかけてくる。
「テレビで見ました。真城さん、ですよね! 一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
「もちろんいいよ!」
深冬がピースすると、女子2人がキャーっと喜んで自撮りの配置につく。
「でも、時原くんじゃなくてなんで私なの?」
深冬が尋ねる。
女子2人がもじもじしながら、「あのお兄さんはイケメンすぎてなんかこわいから……」「私たち、真城さんのファンなんです……」と答えた。
霜矢が笑って、夏樹の肩を引き寄せた。
「時原は怖い奴じゃないぞー。な、時原」
「怖い奴でもいいよ、別に」
「もー、照れちゃって」
結局、雪像班の3人と中学生2人の5人で写真を撮って、少女たちを見送った。
「若いねー」
深冬が眩しそうに2人の背中を眺める。
「俺たちも十分若いだろ」
夏樹が呆れたように言うと、「違うの! 相対的に見て言ってるの!」と返された。
大樹の制作も大詰めで、最後は三人で協力して天蓋に穴を開けた。
曇っていた空が少し晴れ始めて、夕日が顔を覗かせた。
茜色の光が天蓋を通して降り注ぐ。
「すごい、本物みたい……」
声が聞こえて振り返ると、小さな子供が母親に手を引かれて少し離れた位置から大樹を見上げていた。
夏樹も大樹を見上げた。
夏の色、匂い、暑さが、視界いっぱいに広がっている。
これが、俺たちの作った「夏」だ。
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