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第二章
大切な思い
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『訪れた世界が3年後の未来』
この荒唐無稽な仮説が事実だとすると2日後の7月6日に土砂災害が起きて彩香の母と家族は命を落としてしまう。原因と思われる御神木は彩香曰く6月の時点で伐採されてしまっているだろう。
何としても彩香の大切な人を助けないといけない。
俺が思案を続けていると佐々木が神妙な面持ちで問いかけてきた。
「この仮説が正しいとするとだ、彩香さんという女性はこの時代にいるということじゃないのか?」
佐々木に言われるまで気づかなかった。
彩香の最後の姿が目に浮かんだ。
しかし疑問はある。
3年後の世界で共に行動した彩香は神社で光の粒となり消えてしまった。
更に俺と同じ螺旋状の駅から降りている。
どういうことなのかまったく理解できない。
俺は頭の中を整理できずに目を閉じながら思案していた。
何分経過しただろうか。
俺が思案している間、佐々木は黙ってコーヒーを啜っていた。
「佐々木、正直に言うよ」
俺は目を開けて佐々木を真っ直ぐに見つめた。
「今の俺には彩香という女性が現代にいるかどうかわからない。あの世界で消えてしまったところも見ている。」
佐々木は何も言わずに頷いている。
「ただ、必ず存在はしていた。俺は探したい。例え彩香が俺のことをわからなくても会いたいんだ」
佐々木は驚いた顔をした後に口元を緩ませ微笑んだ。
「お前の恋バナ聞くのは初めてだよな。本当つい2時間前とは別人のようだぜ」
俺は何とも言えない恥ずかしい気持ちになり頭を掻いた。
「とにかく!彩香さんのことも気になるが今は二日後のことだ。お前の大切な人の大切な人を助けなきゃな」
「ああ、その通りだ!佐々木、力を貸してくれ」
俺と佐々木は拳を合わせて笑い合った。
時刻は19時半。喫茶店を出た俺たちは本来それぞれ帰らなくてはならない。
俺は静岡へ、佐々木は東京だ。
俺と佐々木はお互い大学生2年生。
明日からお互い授業がある。
俺は明日からサボることに抵抗はない。
大切な人と学校どちらを取るかと言われれば悩むことなく彩香だ。
佐々木は俺に巻き込まれた形だが学校をサボることに抵抗は一切ないらしい。
「人助けするんだ。それに勝ることを学校でできるとは思えないね」
佐々木は爽やかに言った。
俺と佐々木は昨日泊まった佐々木の祖父の家にもう一度向かっていた。
町から少し距離がある山間部に近いところに佐々木の祖父の家はある。
俺たちは本数が少ないバスの終電に何とか乗り込んだ。
バスの中で佐々木は彩香の書いた七夕のチラシを見ていた。
「なあ、総司。ずっと気になっていたんだがこの七夕まつりはどこでやるんだ?」
そういえばこのチラシを見た時に佐々木は祖父の家の近くで七夕祭りを開催していると言っていた。
「あー、確か胡桃町だったはずだ。土砂災害もこの胡桃町で起きた。」
佐々木は目を丸くして驚愕していた。
「…」
「佐々木、胡桃町知ってるのか?」
「ああ。すまない。正直驚いて言葉を失っていた。よく聞け。胡桃町はじいちゃんの住んでる町の隣町だよ」
俺も佐々木同様に言葉を失った。
異質な世界に行き異質な体験をしたせいかとても遠くで起きることかと思っていた。
「じゃあ佐々木、山代町は知っているか?」
佐々木は頷いた。
「俺のじいちゃんが住んでる神山町も胡桃町とは隣だ。胡桃町は神山町と山代町に挟まれていると言えばわかりやすいかな」
俺は衝撃を受けたと同時に少し安堵した。
行動を起こすにしても近い方がいいに決まっている。
しかし佐々木の祖父も巻き込まれてしまうかもしれない。
俺は複雑な思いで佐々木と共に佐々木祖父の家へ向かった。
この荒唐無稽な仮説が事実だとすると2日後の7月6日に土砂災害が起きて彩香の母と家族は命を落としてしまう。原因と思われる御神木は彩香曰く6月の時点で伐採されてしまっているだろう。
何としても彩香の大切な人を助けないといけない。
俺が思案を続けていると佐々木が神妙な面持ちで問いかけてきた。
「この仮説が正しいとするとだ、彩香さんという女性はこの時代にいるということじゃないのか?」
佐々木に言われるまで気づかなかった。
彩香の最後の姿が目に浮かんだ。
しかし疑問はある。
3年後の世界で共に行動した彩香は神社で光の粒となり消えてしまった。
更に俺と同じ螺旋状の駅から降りている。
どういうことなのかまったく理解できない。
俺は頭の中を整理できずに目を閉じながら思案していた。
何分経過しただろうか。
俺が思案している間、佐々木は黙ってコーヒーを啜っていた。
「佐々木、正直に言うよ」
俺は目を開けて佐々木を真っ直ぐに見つめた。
「今の俺には彩香という女性が現代にいるかどうかわからない。あの世界で消えてしまったところも見ている。」
佐々木は何も言わずに頷いている。
「ただ、必ず存在はしていた。俺は探したい。例え彩香が俺のことをわからなくても会いたいんだ」
佐々木は驚いた顔をした後に口元を緩ませ微笑んだ。
「お前の恋バナ聞くのは初めてだよな。本当つい2時間前とは別人のようだぜ」
俺は何とも言えない恥ずかしい気持ちになり頭を掻いた。
「とにかく!彩香さんのことも気になるが今は二日後のことだ。お前の大切な人の大切な人を助けなきゃな」
「ああ、その通りだ!佐々木、力を貸してくれ」
俺と佐々木は拳を合わせて笑い合った。
時刻は19時半。喫茶店を出た俺たちは本来それぞれ帰らなくてはならない。
俺は静岡へ、佐々木は東京だ。
俺と佐々木はお互い大学生2年生。
明日からお互い授業がある。
俺は明日からサボることに抵抗はない。
大切な人と学校どちらを取るかと言われれば悩むことなく彩香だ。
佐々木は俺に巻き込まれた形だが学校をサボることに抵抗は一切ないらしい。
「人助けするんだ。それに勝ることを学校でできるとは思えないね」
佐々木は爽やかに言った。
俺と佐々木は昨日泊まった佐々木の祖父の家にもう一度向かっていた。
町から少し距離がある山間部に近いところに佐々木の祖父の家はある。
俺たちは本数が少ないバスの終電に何とか乗り込んだ。
バスの中で佐々木は彩香の書いた七夕のチラシを見ていた。
「なあ、総司。ずっと気になっていたんだがこの七夕まつりはどこでやるんだ?」
そういえばこのチラシを見た時に佐々木は祖父の家の近くで七夕祭りを開催していると言っていた。
「あー、確か胡桃町だったはずだ。土砂災害もこの胡桃町で起きた。」
佐々木は目を丸くして驚愕していた。
「…」
「佐々木、胡桃町知ってるのか?」
「ああ。すまない。正直驚いて言葉を失っていた。よく聞け。胡桃町はじいちゃんの住んでる町の隣町だよ」
俺も佐々木同様に言葉を失った。
異質な世界に行き異質な体験をしたせいかとても遠くで起きることかと思っていた。
「じゃあ佐々木、山代町は知っているか?」
佐々木は頷いた。
「俺のじいちゃんが住んでる神山町も胡桃町とは隣だ。胡桃町は神山町と山代町に挟まれていると言えばわかりやすいかな」
俺は衝撃を受けたと同時に少し安堵した。
行動を起こすにしても近い方がいいに決まっている。
しかし佐々木の祖父も巻き込まれてしまうかもしれない。
俺は複雑な思いで佐々木と共に佐々木祖父の家へ向かった。
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