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第一幕
(一)聖地滅亡
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吸い込まれてしまうほどの青い空。
数多の生と幸を生み育てる青翠な山々。
眩しいくらいに透き通った碧き湖。
そんな折々の彩に恵まれた蒼の大地。
信州の諏方は、古より山の神々が悠久の時をかけて育ませてきた、美しき地である。この地をはじめて〝治めた〟記紀の神が建御名方命である。以来、命の純血を宿す男児のみが諏方大社の大祝となり、現人神として崇められる。そして、その神職を全うして降位されると、元服し、諏方惣領家の主となり、この聖なる地を守護する役目を担った。
そんな誉れ高い惣領家が、今日、滅ぼされてしまったのだ……。
「畜生っ。我らはこれから、どうしたら良いのじゃ……?」
伊那郡高遠の主、諏方頼継はショックを隠し切れず、気難しい顔つきで悩んでいた。頼継のみならず自ら率いた軍勢も、伊那の民衆もどころか、日本中の諏方信仰を敬う全ての者たちも動揺してるだろう。それを考えたら頼継は、無理でも冷静でいなければならない。でもやっぱり、落ち着けない。齢も数えで五十五。この時代、老人と呼ばれてもおかしくない。そのせいか、疲れもどっと出た。
諏方信仰の聖地、諏方郡は有史以来、初めて他所者の支配下にされてしまった。それでも周りを見渡せば、相も変わらぬ風景がある。なのに、同じには見えない。
頼継の一行は、惣領家の居館があった上原から、自らの伊那衆を陣させている干沢までの移動していた。
頼継が考えられることはひとつしかない。
ーーいや、それでもお救いしなければならない。せめて大祝だけでも。
諏方大社の大祝は、先月の半ばから八ヶ岳山麓にある上社御射山(富士見町)で神事を行っていた。その最中、隣国の敵に捕まってしまったのだ。敵はここで最初の勝鬨をあげた。人質ならぬ〝神質〟を得たからだ。そのせいで諏方郡では、誰もが天地がひっくり返るほどの動揺を走らせた。あの頼重でさえもだ。
大祝が諏方大社から出れば、数百とはいえ諏方満隣が護衛の軍勢をつれていたはずだ。同時に、大祝の側には必ず補佐役たる神長官、守屋頼真もいるはずだ。
ーー二人揃って一体何をしていたのだ?
ちゃんとお守りできてないではないか。ため息はでるし、嘆きたくもなる。惣領家があっけなく滅亡した理由は〝神質〟にある。
いや、満隣と頼真は、大祝の盾となるために敵と戦って戦死したのだろうか?
惣領家筆頭家老と諏方大社神官の最高位だから、誰よりも誇り高い男たちのはずだ。大祝を守るために戦って戦死したと信じたい。
自分ならそうする。たぶん……。
しかし、二人の消息も確認できない。頼継は惣領家滅亡ばかりで頭がいっぱいだったので、今更ながら二人の消息も気になった。
二人が戦死したのなら、諏方のために戦える男は頼継しかいないではないか!
捕らわれた惣領家は五名いる。まずは当主頼重。血気盛んな二十七歳。読みの鋭い合戦上手だった。頼継は惣領家三家老の一人として厚く信頼されていた。次に頼重の弟。これが今の大祝である。現人神である以上、元現人神たる頼重でさえ崇拝しなければならない。齢十五は大祝としては高齢だが、頼重がいうには、二年後あたりに降位されるそうだ。次は禰々御料人。頼重の後室で、年は大祝と同じだ。三年前の年末に東の隣国、甲斐国守護家から盟約の証として嫁いできたのが、この姫である。生真面目で責任感が強く、頼重に従順な淑女である。次は二人の間に産まれた男児、寅王。まだ生後三ヶ月。頼重が二年後に、次の大祝とすると決めた子だった。
最後は齢十一になる姫君だ。こちらは前妻、筑摩郡麻績家の姫から産まれた子である。しかし頼継のみならず、ほぼ全ての家臣は会ったことがない。頼重は〝箱入り娘〟と自慢して見せてくれないという。しかし頼継の亡き妻小彼岸が、頼重の叔母にあたるので、この立場を利用してよく会っていた。ともかく、天女のような美貌にはしゃいでいた。〝箱入り娘〟は本当のようだ。
惣領家を滅ぼした敵とは、皮肉にも、禰々御料人の実家である。
あちらが一方的に盟約を破ったのだ。
頼継が思いに更けていると、辺りは暗くなった。四日月が蓼科の山より現れ、満天の星空となる。宮川の対岸には、篝火豊かな諏方大社上社本宮と前宮と、干沢の山城がある。この城は諏方満隣の居城だが、今は頼継の伊那衆三千が陣を構えている。
頼継が干沢に着くと、重臣たちが出迎えてくれた。家臣団最年長六十代の家老、神林上野入道は心配している。
「殿、首尾はいかがでしたか?」
頼継は、不機嫌を堪えて教えた。
「甲斐の蛮族ども、ワシが論功行賞に現れたらびびりおった」
「やはりですか?」
「ああ。ワシが殿を裏切って惣領家を乗っ取るなどという嘘。この火元はやはり間違いなく、甲斐の蛮族共であろう」
諏方頼継率いる伊那衆三千は、惣領家の危機を救う為に後詰めとしてやって来た。
これが真実だ。
しかし三日前、杖突峠を越えて諏方郡に入るや、その噂が既に広がっていた。敵の〝神質〟のせいで大混乱した諏方だ。こんな見え透いた嘘でさえ間に受けてしまうほど錯乱し、目を回し、誰もが考える余裕を持てなかったのだろう。
上野入道はため息を吐く。
「恐らく、諏方の殿を早く降伏させたいがためでしょう。しかし裏切りは殿の先代と先々代がやったこと。未だ根に持つとは、苦労が耐えませんな」
それは十八年前と、六十余年も前の事だった。
頼継弟の蓮峰軒は、我慢せずに憤慨した。
「それよりも甲斐の蛮族ども、諏方大明神が宿りし聖地を全て奪ったのだろ? 神の地が穢れてしまうぞ? 何とかしなければ!」
頼継はここで打ち明ける。
「いや、半分だ。ワシが交渉して上社側は確保できた。だが、惣領家の皆様はお救いできなかった。大祝と殿が帰ってくれば、上社側の地はすぐにお返しする」
「さすがじゃ、兄上。じゃが、たとえ半分とはいえ諏方の半分も異物が混じってしまうのは、気味が悪い。早くなんとかしなければ……」
蓮峰軒は腕組みし、考える。
悔しがる頼継の本意は、別の所にある。
「知略とはいえ、結果的には裏切りとなったのかなぁ? しかし、敵の懐に入る以外にお助けする策がなかったのだ……」
仕方なしとはいえ、この作戦には家臣のみならず、伊那神党全ての同意もある。敵はおそらく、堅固な桑原城に籠っていた惣領家を降伏させるため、頼継寝返りの嘘を広めたのだろう。籠城する者が一番期待するものは、援軍である。それを絶たれたら絶望して降伏するしかない。だから敵は嘘を流した。
頼継は年の功からこれを見抜いた。ならば寝返りの芝居を打ってやろうと敵に近づいたら、敵は相当焦った。敵にとっては惣領家が降伏してくれれだ良かっただけの嘘だったのに、嘘の対象、諏方頼継が実際に現れたからだ。敵は諏方郡全土を奪いたかったのに、これでは嫌でも論功行賞に応じるしかない。だから、土地なら半分くれてやるから早く出て行け! という雰囲気がダダ漏れだった。
頼継は、が心配だ。
「大祝も殿も、あの嘘を信じたのだろうか?」
信じてほしくない。胃が痛くなりそうだ。
上野入道は、頼継の失敗を責めなかった。
「必ずや見抜けます。現人神と元現人神ですから。逆に蛮族の親玉は昨年、自分の父親を他国に放り出して御家を奪った親不孝者で、その上、義理の弟をこんな目に合わせるのです。一体どこまで性根が腐ってるのやら……」
「ああ、本当に胸糞悪い」
頼継はモヤモヤする。ここでもう一人の宿老、齢三十の保科正俊が、頼継の留守中に起きた案件報告のため、話題を変えた。
「殿、実は先ほど、惣領家の姫君を名乗るお方が現れました。確認して頂けますか?」
と、半信半疑に表情を曇らせた。
「まことか?」頼継は一瞬、希望の光を見た。
敵交渉役の家老、鎌田長門守は、全員捕縛を自慢していたから、正俊の報告と矛盾している。正俊も半信半疑だが、信じられる面があった。
「はい。攻め弾が連れてきました」
攻め弾こと〝攻め弾正〟とは、海野幸綱の異名である。小県郡神党の盟主だった海野棟綱の一門だ。因みに正俊の異名は〝槍弾正〟である。この二人はそれだけ武名が高く、仲も良い。
頼継は耳を疑った。
「何っ? 攻め弾、生きていたのか?」
「はい。某も問うてみたかったのですが、何も語らず、直ぐ闇夜に消えました」
「や、やはりワシを恨んでいるのか?」
「いや、それなら頼重様でしょう」
「神党の総主たる惣領家は、諏方信仰を敬う神党を守る。だが殿は昨年、小県佐久神党の盟主たる海野棟綱殿を滅ぼした。殿は義親孝行のためと申されたが、何か真相がありそうだった」
と残念がる間に到着した。頼継は緊張した。
「姫か。手掛かりはあるにはあるがが……」
家族全員捕らえたと言われれば、姫君も捕まってると思っていた。海野幸綱が連れてきた姫君とやらが、もし嘘なら、その姫君を手打ちにすればよい。だがともあれ、小彼岸の証言のみが頼りだった。
頼継は深呼吸ののち、「某は高遠諏方の頼継、入ります」と断ってから、襖をあけた。
数多の生と幸を生み育てる青翠な山々。
眩しいくらいに透き通った碧き湖。
そんな折々の彩に恵まれた蒼の大地。
信州の諏方は、古より山の神々が悠久の時をかけて育ませてきた、美しき地である。この地をはじめて〝治めた〟記紀の神が建御名方命である。以来、命の純血を宿す男児のみが諏方大社の大祝となり、現人神として崇められる。そして、その神職を全うして降位されると、元服し、諏方惣領家の主となり、この聖なる地を守護する役目を担った。
そんな誉れ高い惣領家が、今日、滅ぼされてしまったのだ……。
「畜生っ。我らはこれから、どうしたら良いのじゃ……?」
伊那郡高遠の主、諏方頼継はショックを隠し切れず、気難しい顔つきで悩んでいた。頼継のみならず自ら率いた軍勢も、伊那の民衆もどころか、日本中の諏方信仰を敬う全ての者たちも動揺してるだろう。それを考えたら頼継は、無理でも冷静でいなければならない。でもやっぱり、落ち着けない。齢も数えで五十五。この時代、老人と呼ばれてもおかしくない。そのせいか、疲れもどっと出た。
諏方信仰の聖地、諏方郡は有史以来、初めて他所者の支配下にされてしまった。それでも周りを見渡せば、相も変わらぬ風景がある。なのに、同じには見えない。
頼継の一行は、惣領家の居館があった上原から、自らの伊那衆を陣させている干沢までの移動していた。
頼継が考えられることはひとつしかない。
ーーいや、それでもお救いしなければならない。せめて大祝だけでも。
諏方大社の大祝は、先月の半ばから八ヶ岳山麓にある上社御射山(富士見町)で神事を行っていた。その最中、隣国の敵に捕まってしまったのだ。敵はここで最初の勝鬨をあげた。人質ならぬ〝神質〟を得たからだ。そのせいで諏方郡では、誰もが天地がひっくり返るほどの動揺を走らせた。あの頼重でさえもだ。
大祝が諏方大社から出れば、数百とはいえ諏方満隣が護衛の軍勢をつれていたはずだ。同時に、大祝の側には必ず補佐役たる神長官、守屋頼真もいるはずだ。
ーー二人揃って一体何をしていたのだ?
ちゃんとお守りできてないではないか。ため息はでるし、嘆きたくもなる。惣領家があっけなく滅亡した理由は〝神質〟にある。
いや、満隣と頼真は、大祝の盾となるために敵と戦って戦死したのだろうか?
惣領家筆頭家老と諏方大社神官の最高位だから、誰よりも誇り高い男たちのはずだ。大祝を守るために戦って戦死したと信じたい。
自分ならそうする。たぶん……。
しかし、二人の消息も確認できない。頼継は惣領家滅亡ばかりで頭がいっぱいだったので、今更ながら二人の消息も気になった。
二人が戦死したのなら、諏方のために戦える男は頼継しかいないではないか!
捕らわれた惣領家は五名いる。まずは当主頼重。血気盛んな二十七歳。読みの鋭い合戦上手だった。頼継は惣領家三家老の一人として厚く信頼されていた。次に頼重の弟。これが今の大祝である。現人神である以上、元現人神たる頼重でさえ崇拝しなければならない。齢十五は大祝としては高齢だが、頼重がいうには、二年後あたりに降位されるそうだ。次は禰々御料人。頼重の後室で、年は大祝と同じだ。三年前の年末に東の隣国、甲斐国守護家から盟約の証として嫁いできたのが、この姫である。生真面目で責任感が強く、頼重に従順な淑女である。次は二人の間に産まれた男児、寅王。まだ生後三ヶ月。頼重が二年後に、次の大祝とすると決めた子だった。
最後は齢十一になる姫君だ。こちらは前妻、筑摩郡麻績家の姫から産まれた子である。しかし頼継のみならず、ほぼ全ての家臣は会ったことがない。頼重は〝箱入り娘〟と自慢して見せてくれないという。しかし頼継の亡き妻小彼岸が、頼重の叔母にあたるので、この立場を利用してよく会っていた。ともかく、天女のような美貌にはしゃいでいた。〝箱入り娘〟は本当のようだ。
惣領家を滅ぼした敵とは、皮肉にも、禰々御料人の実家である。
あちらが一方的に盟約を破ったのだ。
頼継が思いに更けていると、辺りは暗くなった。四日月が蓼科の山より現れ、満天の星空となる。宮川の対岸には、篝火豊かな諏方大社上社本宮と前宮と、干沢の山城がある。この城は諏方満隣の居城だが、今は頼継の伊那衆三千が陣を構えている。
頼継が干沢に着くと、重臣たちが出迎えてくれた。家臣団最年長六十代の家老、神林上野入道は心配している。
「殿、首尾はいかがでしたか?」
頼継は、不機嫌を堪えて教えた。
「甲斐の蛮族ども、ワシが論功行賞に現れたらびびりおった」
「やはりですか?」
「ああ。ワシが殿を裏切って惣領家を乗っ取るなどという嘘。この火元はやはり間違いなく、甲斐の蛮族共であろう」
諏方頼継率いる伊那衆三千は、惣領家の危機を救う為に後詰めとしてやって来た。
これが真実だ。
しかし三日前、杖突峠を越えて諏方郡に入るや、その噂が既に広がっていた。敵の〝神質〟のせいで大混乱した諏方だ。こんな見え透いた嘘でさえ間に受けてしまうほど錯乱し、目を回し、誰もが考える余裕を持てなかったのだろう。
上野入道はため息を吐く。
「恐らく、諏方の殿を早く降伏させたいがためでしょう。しかし裏切りは殿の先代と先々代がやったこと。未だ根に持つとは、苦労が耐えませんな」
それは十八年前と、六十余年も前の事だった。
頼継弟の蓮峰軒は、我慢せずに憤慨した。
「それよりも甲斐の蛮族ども、諏方大明神が宿りし聖地を全て奪ったのだろ? 神の地が穢れてしまうぞ? 何とかしなければ!」
頼継はここで打ち明ける。
「いや、半分だ。ワシが交渉して上社側は確保できた。だが、惣領家の皆様はお救いできなかった。大祝と殿が帰ってくれば、上社側の地はすぐにお返しする」
「さすがじゃ、兄上。じゃが、たとえ半分とはいえ諏方の半分も異物が混じってしまうのは、気味が悪い。早くなんとかしなければ……」
蓮峰軒は腕組みし、考える。
悔しがる頼継の本意は、別の所にある。
「知略とはいえ、結果的には裏切りとなったのかなぁ? しかし、敵の懐に入る以外にお助けする策がなかったのだ……」
仕方なしとはいえ、この作戦には家臣のみならず、伊那神党全ての同意もある。敵はおそらく、堅固な桑原城に籠っていた惣領家を降伏させるため、頼継寝返りの嘘を広めたのだろう。籠城する者が一番期待するものは、援軍である。それを絶たれたら絶望して降伏するしかない。だから敵は嘘を流した。
頼継は年の功からこれを見抜いた。ならば寝返りの芝居を打ってやろうと敵に近づいたら、敵は相当焦った。敵にとっては惣領家が降伏してくれれだ良かっただけの嘘だったのに、嘘の対象、諏方頼継が実際に現れたからだ。敵は諏方郡全土を奪いたかったのに、これでは嫌でも論功行賞に応じるしかない。だから、土地なら半分くれてやるから早く出て行け! という雰囲気がダダ漏れだった。
頼継は、が心配だ。
「大祝も殿も、あの嘘を信じたのだろうか?」
信じてほしくない。胃が痛くなりそうだ。
上野入道は、頼継の失敗を責めなかった。
「必ずや見抜けます。現人神と元現人神ですから。逆に蛮族の親玉は昨年、自分の父親を他国に放り出して御家を奪った親不孝者で、その上、義理の弟をこんな目に合わせるのです。一体どこまで性根が腐ってるのやら……」
「ああ、本当に胸糞悪い」
頼継はモヤモヤする。ここでもう一人の宿老、齢三十の保科正俊が、頼継の留守中に起きた案件報告のため、話題を変えた。
「殿、実は先ほど、惣領家の姫君を名乗るお方が現れました。確認して頂けますか?」
と、半信半疑に表情を曇らせた。
「まことか?」頼継は一瞬、希望の光を見た。
敵交渉役の家老、鎌田長門守は、全員捕縛を自慢していたから、正俊の報告と矛盾している。正俊も半信半疑だが、信じられる面があった。
「はい。攻め弾が連れてきました」
攻め弾こと〝攻め弾正〟とは、海野幸綱の異名である。小県郡神党の盟主だった海野棟綱の一門だ。因みに正俊の異名は〝槍弾正〟である。この二人はそれだけ武名が高く、仲も良い。
頼継は耳を疑った。
「何っ? 攻め弾、生きていたのか?」
「はい。某も問うてみたかったのですが、何も語らず、直ぐ闇夜に消えました」
「や、やはりワシを恨んでいるのか?」
「いや、それなら頼重様でしょう」
「神党の総主たる惣領家は、諏方信仰を敬う神党を守る。だが殿は昨年、小県佐久神党の盟主たる海野棟綱殿を滅ぼした。殿は義親孝行のためと申されたが、何か真相がありそうだった」
と残念がる間に到着した。頼継は緊張した。
「姫か。手掛かりはあるにはあるがが……」
家族全員捕らえたと言われれば、姫君も捕まってると思っていた。海野幸綱が連れてきた姫君とやらが、もし嘘なら、その姫君を手打ちにすればよい。だがともあれ、小彼岸の証言のみが頼りだった。
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