焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

文字の大きさ
12 / 46
プロローグ

11話 話せば分かるかも

しおりを挟む
「…うっ…うぅ…えぅっ……!」
「よーしよし…気を落とさないで。」
流卵は多々の手の中に居た。
ボロボロに泣く流卵。

「私…もうっ…」
「大丈夫!分かってくれるはずよ。」
優しく流卵をなだめる多々。

「流卵ー」
すると、叫びのようで叫びじゃない声が聞こえてきた。

「ほら、来たよ。」
「えっ…?」

智登はすぐに流卵の元へと来た。
そして来るやいなや深く頭を下げた。
「ごめん、無視しちゃって。」
多々は珍しいものを見る目で見ている。
「あっ…あああ頭をあげてくださいっ!」
いきなりのことに戸惑う流卵。

「私もっ…ご主人様に…失礼な事って言っちゃって…」
「いいよ。実際そうだったんだし。」
「…反応しにくいですっ!」
二人のやり取りを見る多々は親の気持ちになったようだった。

「にしてもこんな早く仲直りできるなんてねー、しかも智登君から謝るのは無いケースよ?」
「まぁ…いいじゃんか。」
表情が見えずとも、照れているのが分かった。

「ありがとうございますっ。」
「こちらこそ。」
二人は完全に仲直りした。

「やればできるじゃん~」
教室に戻った二人にすぐ声をかけたのは秋花だった。
「秋花様…!ありがとうございます…!」
発言からして、流卵にも察しがついた。
「まだ安心する時じゃなくって?」
「あ、そっか…模子…」
誤解を招いてしまった模子をどうかしない限り、また二人の仲が悪くなるかもしれない。
どうするべきか…

一方…
「よっロッコちゃん!」
「…何?菜羅君?」
菜羅と模子が話していた。
ちなみに、模子の名字は六呼ろくこ、菜羅からは略してロッコと呼ばれる。
「いやぁ~いつもキラキラ輝くフェイスが眩しい輝きどころか闇を背負っているように見えてね。」
「暗いって言いたいの?」
よくわからない菜羅の言葉をまとめた模子はため息をついた。
「暗い顔してるのは無いぜ!何があったか言ってみな!」
「菜羅君には関係無いし…」
必死に拒もうとする模子だが…
「俺の話聞いてたか!?暗い顔してるのは無し!つぅまぁりぃ…!俺に大関係あり!」
「そうっ…じゃ、聞いて貰おっかな。」
強い菜羅の押しに負けて結局話すことにした。

「ふーん…マイハニーとフレンドなのか…」
「いつ流卵が菜羅君のハニーになったの。」
ちょっとツッコミを入れつつ話を進めていった。

「事情は分かった、何が悩みだ?」
「どうやったら流卵を守れるかって事。」
菜羅の質問に即答する模子。

しかし、先程の話を聞く上で菜羅に疑問が芽生えていた。
「いやそれよりもロッコちゃん、流卵ちゃんの話はしっかり聞いてあげたか?」
「あっ…!」
模子は不意をつかれたかのように驚いた。
模子の話の内容に、流卵がこう言ってた。というような言葉がなかったため疑問に感じた菜羅。
「一緒に居た男は俺の親友だが…お前が聞いた事を本気で言うような奴じゃねぇ。きっと訳がある。」
「でも…」
あえて二人の過去を話さない菜羅。
すると菜羅はこういった。
「流卵ちゃんの友達だっつてるけど、友達ならちゃんと友達のこと理解しろよー」
「…!」
模子は何かに気付かされた。
菜羅がこういうのは、例の話である。
智登が2週間も口を聞かなかったあの時。
菜羅は智登がどう思っているか深く考えた。
意味を理解し、和解するために。
「意味を理解する事は重要だ!お前は心配性で、ガンガン話進めるから、これを見失うなよ!」
「…そっか。菜羅君の言う通りだね…!」
模子は決意した。

「ありがと菜羅君、もう一度流卵と向き合ってくる!」
「おう!頑張れよ!」
模子の顔がさっきに比べてキラキラと輝いていた…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

処理中です...