焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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3章 想い抱かぬ二人

23話 実は、の二人

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「おはよう、今日も綺麗な子猫ちゃん達…!」
「きゃーー!!」
梨山高校の校門では黄色い声が響き渡っていた。

「…どうしたんだボーイ、暗黒のように暗いね…いつも見せる眩しい格好いい顔を見せてくれよ。」
「菜羅ー!聞いてくれよーまたアイツがさー!…」
1日が訪れる、最初は暗い雰囲気が少しある教室もすぐに明るくなった。

「菜羅君、今日も格好いいねー…!」
「ホンっと!はぁー…イケメン…!」
まわりの女子は菜羅に魅了されている。
「菜羅、やっぱイケメンだよなー…!」
「最初見たとき惚れた俺もいたぜ…!」
その魅力は男子にも伝わるほどだ。

「はぁ…またこれか…」
しかし…
「ロッコってさ、菜羅君見ても何も思わない?」
「あれのどこに何を思えばいいの…?」
唯一模子だけは何も思わなかった。
「皆変わってるよね…だって、あの性格だよ?」
「最初はえっ?って思ったけど…なんだかそれも格好良く見えて…」
「しかもそれに加えて超イケメンだしっ!」
「あれイケメンなの…?」
皆は菜羅についていろいろと誉め惚れているが…
それが理解出来ない模子。

「変わってるのはロッコの方なんじゃね?」
「え…なんかいやだなそれ。」
変わってると言われてしまった模子、
何で彼女が菜羅に魅了されないか…
答えは簡単だった。
「なんか不思議だねー…。模子って菜羅君のなんなん?」
「なにって…幼なじみだけど?」
「えっ…!?」
そう、模子は菜羅の幼なじみだった。
今まで何も聞かれなかったので、初めて模子はクラスメイトにこのことを言った。
「菜羅君、昔はもうちょっと暗かったんだよー」
「まじで?いがーい!」
「ちょちょちょ!詳しく聞かせて!」
「そだねー…次の授業まで時間あるし、話しよっか!」
少し菜羅の話をしたら食いついてきたクラスメイト。
ちょっと面倒だったが、折角聞いてきてくれたのを断れないので話すことにした。

数年前の話になる。
西瓜斬地区と桃流地区は遠いのだが、親が友達同士で、二人はよく会っていた。
「菜羅君遊ぼー!」
「模子ちゃん…いいよ。」
昔の菜羅は外で遊ばないし、ゲームもしない。
本だけ読むような典型的な寝倉少年だった。

「菜羅君暗い!」
「悪い…?」
「うっ…」
ちょっと注意した模子だが睨み返された。
「暗い人間がいて悪い?ねぇ?」
「そっ…そこまで言ってないじゃん!」
しかも暗い事について言うと根にもつのかしつこく問いただしてくる。

模子はどうしようか悩んだ。
なんとかして菜羅と仲良くなる方法を。

そして行き着いた案は…

「…模子ちゃん。」
「何…?」
「いや、別に。」
「…そう。」
自分を暗い性格にすることだ。

楽しくもなく、仲良くもなく悪い案だったのかもしれないが、菜羅と一緒にいるので模子はこれでいいと思った。
しかし、まわりから見てみれば、仲の悪い二人にしか見えない。
そんな日が何日も続いた…
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