焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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3章 想い抱かぬ二人

24話 変わり始め

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ある日の事だった。
「模子ちゃん!」
いきなり大きな声で模子を呼んだ菜羅。

「何…?…ぇ…?」
模子の目に写ったのはお手玉で華麗なジャグリングを披露する菜羅の姿だった。

「ってあわわわ!お手玉がー!」
しかし菜羅はバランスを崩し、お手玉を手から離してしまった。
模子はちょっとあわあわとしてしまった。

でもそれはわざと。
「あらよっと!」
「わぁー…!」
菜羅の手から外れたお手玉は綺麗に段を作り、タワーになった。

「おや…お手玉の様子が…?」
そう言った菜羅、その瞬間お手玉は小さな煙に包まれた。
「……!?」

煙が引いたお手玉はその姿を変え、一輪の花になった。
「模子ちゃんが可愛いからお手玉が姿を変えちゃった!はいっどうぞっ!」
「あっ…ありがとう!…すごいね菜羅君!楽しかったー!」
少々戸惑った模子。でもそれを見て楽しかった事に代わりは無かった。

「最近暗いから心配したんだよー?」
「えっ…!?」
実は菜羅、模子の様子がいきなり変わってとても心配だった。
菜羅もどうしたら模子を元気づけられるか悩んだ。
その時目に入ったのはテレビに写ったショー。
なかなか笑いもしない菜羅の顔に光が入った。
それを見た菜羅はこれだ!と思って芸の練習をした。

「模子ちゃんは明るい方がいいよ!」
「ふふっ…誰のせいでこうなったと思ってるのっ…」
模子は目に涙を浮かべた。

「菜羅君、今とっても輝いてるよ。菜羅君も明るい方がいいって!」
「そう?模子ちゃんがいうならそうに違いないよね!」
前までは睨んでいた菜羅は何も反発しなかった。

「これからも模子ちゃんが元気でいられるように頑張る!」
「うんっ!頑張ってね!」
誓いを交わした二人だった。




「ほら、ペン貸してみろ。」
「あっ…!何すんだよ菜羅!」
教室で菜羅は肩を落としていた男子生徒のペンを手に取った。
「よっっと…!」
「えっ…?」
そのペンでジャグリングをし始めた菜羅。
「ほいさ。」
ジャグリングを終え、5本のペンを手に持った菜羅。
縦に被るように並べたペン。
煙がたち…
「今日は暑いねー、扇子が欲しい所だったねー…!」
ペンは一瞬にして綺麗な扇子へと姿を変えた。
「ってしまったー!?これじゃお前のペンが無くなってしかうじゃないかー!!」
「ちょっ!?何してんだよ!?」
焦る二人、しかしそれは菜羅の演技に過ぎない。
「ってかお前、ポケットに何つめてんだよ。」
「え…?ポケット…?」
言われるがままに男子生徒は自分のポケットを見た。
「あ、俺のペン。」
「扇子に変わったときは驚いたがそんな所に避難してたなんてな…!」
「え、やべぇ…すげぇ…!!」
菜羅は今日も芸を披露し、生徒達を魅了していた。

「あれ以来、菜羅君はあんな感じだよ?」
「そんな事あったんだ!」
「明るいのもいいけど暗いのも悪くないかも…」
女子は模子の話に満足したようだ。

「でもね、その後しばらく会えなくなるんだ。」
「へぇ~…」
その続きを模子は語り出した…
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