焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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3章 想い抱かぬ二人

25話 昔と変わらぬまま

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菜羅は小学校4年で部活を始めた。
そしたら模子に会う時間も無くなった。

会えなくなったのは時間が無くなっただけでは無い。
その頃に智登という友人を持った菜羅はよく智登とも遊ぶようになった。

それは模子も似たようなことがあった。
そう、模子は流卵という友人とよく遊ぶようにもなった。

二人が出会う時間も無くなり、
いつしか忘れそうにもなっていた…

そんなこんなであっという間に時が過ぎ、中学、そしてもう高校の入学式。
模子というと…入学式で人一倍暗い顔を見せていた。
理由はもちろん、掬羅家の火事の件である。
友人がいなくなり、途方にくれながら学校に入学した模子の前に現れたのは…
「元気ないじゃん?どうしたんだいガール?そのソウルを押さえつけるストーンを俺に打ち付けてみな。」
変な口調で話す大柄な男性。
彼を見ようと上を見上げた模子はその姿に不意を突かれた。

「え…菜羅君?」
「あっ…!もっ…模子ちゃん!?」
背は高くなり、シュッとした顔つきになった菜羅だが、昔の面影は残っており、菜羅と気付いた模子。
上を見上げた模子の顔をみた菜羅も、すぐにその人物が模子だと気付いた。

菜羅の言うとおりにし、事情を説明した模子、でも気分は晴れなかった。
「そっか…ロッコちゃんにはきついよね…」
「何その呼び名。」
「今決めた。」
多少ツッコミが入りながらも会話を進めていった。

「いいかいロッコちゃん、他人の死は決して無駄じゃないのさ!」
「……」
「これで桃流地区の火事対策は一層と大きくなる!良いことじゃないか。」
「……」
菜羅は必死に模子を元気づけようとするが全く変わらなかった。
もちろん、模子の悲しみの原因と自分の言っていることが合ってないとも分かっていた。
菜羅は模子から聞いたあるキーワードを思い出した。

「その子、行方不明なんでしょ?じゃー生きてるんじゃない?」
「…っ!?」
予想外の事に模子は驚いた。

「でも!行方不明で生きてた人なんて聞かな…」
「行方不明だけで友達を死んだって決めちゃうのー?」
「あっ…えっと…」
菜羅に言い返されて何も言えない模子、効くと思った菜羅はさらに畳み掛ける。
「どっちにしろ生きてるって思った方が気が楽じゃんっ!実際まだ決まってないんだしさ!」
「…!そうだよね…!あの子は生きてるよね!」
全く笑顔を見せていなかった模子の顔に笑顔が戻った。

「やっと見せてくれたっ、俺の大好きな、え・が・おっ!」
「もう…なにそれっ。」
その二人様子はほぼ昔、あの日と変わらなかった。

「また菜羅君に元気づけられちゃったね。」
「明るさは俺のモットー!」
「昔、暗くて何が悪いって言ってた奴がー?」
「そんなこというなよー!」
再び再会した二人会話はその後も続いた…
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