アルケミア・オンライン

第7章 広がる世界、集う仲間

第1話 まずは情報の確認を①

～～side プレアデス～～

「遂に………………来たぁぁぁぁ！！！」

メンテナンス明け、リアルタイムで1日ぶりのログイン！でも、随分と久しぶりに戻ってきたような感覚。

そりゃそうか。だって、直近のログインはイベントサーバー。いつものこの部屋に戻ってきたのは、実に4日ぶりなのだから。

「ハルもそろそろログインしてくるかな……？んじゃ、その間に…………」

大型アップデート後の恒例。それは、アップデート内容の確認！当たり前かもしれないが、これがとにかく大事なのだ。もし仕様変更とかあったら、事前に知っておかないと命取りにもなりかねないからね。

「ええと、まず仕様変更からね。僕達に関係しそうなのは…………お！？回数制限付きのスキルの上限アップ！？」

てことは、僕の【統合強化】も…………？

「…………よっしゃー！1日3回から5回になってる！！激アツ！！」

この上方修正はかなり大きい。単純に制作回数を増やせるのもあるし、これでパーツごとにも惜しみなくスキルを使えるようになった。

「回数制限のためにスキルを節約して失敗すると、精密なパーツとかだとやり直しがとにかく面倒だったんだよなぁ。レシピ登録するには、どのみち一旦アイテムとして保存しないといけないから、何回も使うような重要パーツに、【統合強化】の『必ず錬成に成功する』保険をかけられるのはシンプルに便利だな」

などと、独り言を言いつつお知らせをスクロールしていく。さて、次は………………。

「錬金術スキルの強化…………確かに、大会でもあんまり使ってる人いなかったもんなぁ」

先日のアルケミオスで表彰された上位5名のうち、まともに錬金術を使っていたのはユノンさんただ1人。というか、そもそも錬金術主体の戦闘スタイル自体が現状弱い。

僕達やレオンのように、物理攻撃を主軸とした戦闘のサポートスキルとして使う程度の人が多く、雪ダルマさんやテラナイトさんに至っては、そもそも使っていない。煌のは…………あれは、一応錬金術なんだろうが、っぽさはない。どちらかというと特殊攻撃の部類だろう、あれは。

ナンバーワン錬金術師のユノンさんですら、それなりに物理攻撃を多用している。彼女がランク入りを果たすほど健闘できたのも、そもそも論、真影による物理攻撃手段の後ろ盾があるのが大きい。実際、フリーディア攻略前の、直接攻撃の手段に乏しいユノンさんでは、あそこまで勝ち上がることはできなかっただろう。

「錬金術が題材のゲームなのに、錬金術を使わない方が強いとかいう、ヤバい矛盾を抱えてたからな…………これが改善されるのは皆結構嬉しいんじゃないか？」

具体的には、威力上昇、属性補正上昇、追加効果発生確率微上昇…………ってとこか？いや、よく見たら、防御貫通効果も付くのか！？あれ、これ【暴食グラトニー】大丈夫か…………？

「………………なるほど、元々物理防御で防げていたものが、防げなくなるってことか」

詳細を見て少し安堵する。元々、錬金術の攻撃は、地属性や水属性のような実体を伴うものに関しては、物理的な防御手段で防ぐことができていた。今回のアップデートで、物理的な現象は防ぐことができても、ダメージ自体はほぼ減衰せずに通るようになってしまった。ということだ。

要するに、これからは回避する以外には、錬金術対策の防御手段…………簡単に言えば、錬金術同士をぶつけて相殺するか、対錬金術に特化した防御スキルが必要になるというわけだ。勿論、今の僕の装備のように、RESのステータスを上げて数値で受けても良いが。

「これは、環境が大きく変わりそうな予感だな…………【暴食グラトニー】の機構を簡略化・量産できれば、ビジネスチャンスにもなりそうだ」

とはいえ、今のところは僕にとってはかなりの追い風。何だ？アルケミオス優勝者をナーフするんじゃなくて、むしろ強化するつもりか？？と、内心ウキウキになって続きを読んでいると…………。