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第7章 広がる世界、集う仲間
第2話 ゲーマー流・アンガーマネジメント②
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『絆の秘石』☆7
売却・譲渡不可。クランの設立に必要なアイテム。メンバーの情報を記録し、管理することができる。また、ホームに設置することで、クランベースとして使用できる。ただし、このアイテムを保有するプレイヤーは、他プレイヤーのクランに所属できない。
「これを使うだけで、設立できるんだよね?」
「試しに使ってみようか…………」
そう言い、僕は机に置かれたその石に手を触れる。じきに、僕の脳内に機械音声が流れた。
───認証を開始します。MPを消費し、マナを流し込んで下さい。
マナを流し込む…………それで、本人確認ができるのか?生体認証的な…………どういう原理なんだろう。不思議に思いつつ、言われた通りにマナを放出する。
───認証中…………
───正規所有者によるアクセスを確認。これより、クランの設立を開始します。
って、いきなり!?
「プレ君、どーしたの?」
「もうクランの設立、始まるみたい!」
言い切るより先に、僕の目の前に画面が出力される。何が書かれているのか?2人で、その中をじっと覗き見る。
「えーっと、まずはクラン名…………どうしよ、何も考えてなかったわ」
「え、まさかのノープラン!?」
「だ、だって、こんないきなり始まると思ってなかったんだもん…………一旦、キャンセルで!!」
───設立処理が中断されました。最初からやり直して下さい。
「…………ふぅ」
「ちょっとー!何で辞めちゃうのさ!もったいないなぁ」
「しょうがないでしょー、改名できる保証もないんだし!それに、どういう方針のクランにするか、ちゃんと事前に共有しとかないと」
「それはまぁ、確かに…………それにしても、まさかアイテムの制約で同じクランになれなくなるなんてねぇ」
『絆の秘石』の、自分が設立した以外のクランに入れないという制約。それは、同じアイテムを持つプレイヤー同士での結託の禁止を意味していた。ランカーにだけ渡されているという点から考えるに、まぁバランス調整というやつだろう。
「こればっかりはしょうがないよねぇ……前向きに捉えよう。別に、ハルと同じクランに入れないってだけで、協力関係を封じられるわけではないんだし」
「……それもそっか。なるほど、それで方針を共有したいってことね」
「そーゆーこと。僕はせっかくなら、原点回帰して、前みたいにアイテム製作に集中したいかも」
ここのところ、フリーディア防衛戦、旧王立研究所への潜入、そしてアルケミオスと、戦い続きの日々だった。勿論、それはそれで充実していて楽しかった。いかにも、ゲームをしているという感じで。
でも、その結果、本来やりたかったことをできずにいた気がする。戦いに勝つための錬成…………僕は、それをやりたくてこのゲームを、鍛治職人で始めたわけじゃない。もっと自由に、実験的に、色々な技術や機能を盛り込んだ、唯一無二のアイテム。僕が本当に作りたかったのはそういうものだ。
「新エリアが一気に解放されて、攻略の勢力は必然的に分散される。なら、ボス攻略までも、フリーディアの時よりは時間に余裕があるはずだ。その時間を使って、僕はまた、革新的なアイテムを作りたい!宝石の研究を進めて、もっと皆を助けられるような…………」
「製作クランか、いいね…………ボクは、どうしようかな。プレ君を支えるなら、やっぱり戦闘を中心にしたクランがいいのかな?」
「ハルの好きなことをしたら良いさ!別に、クランを作ったからといって、ずっとそこの人達に時間を使う必要なんてない。ボス攻略も何もない今くらいは、ゆっくり羽根を伸ばせるはずだよ」
「そうだね…………やりたいこと、かぁ」
ハルは、ベッドにボフっと横たわり、天井を仰ぎ見る。やりたいこと…………まぁ、そんな簡単には決まらないよね。現実ですら、特にそういうのが分かっていない人なんてたくさんいるのに。
考えてみれば、僕はこれまで色々好き放題やってきたけど、ハルはその間、ずっと僕の支援をしてくれていた。隣で、戦ってくれた。
ハルはここに来てから、ちゃんと自分のしたいことをできているんだろうか?それとも、目的が特にないから、そこまでしてくれるのか?どちらにしろ、それを僕の目線から考えるのはおこがましいことだが。
ピロンッ!!
「…………ん、チャットの通知?」
「あ、ボクにも来た。なになに…………?」
2人で示し合わせて、その内容を確認する。それはどちらも、幻のチャンピオン、雪ダルマさんからの連絡だった。
売却・譲渡不可。クランの設立に必要なアイテム。メンバーの情報を記録し、管理することができる。また、ホームに設置することで、クランベースとして使用できる。ただし、このアイテムを保有するプレイヤーは、他プレイヤーのクランに所属できない。
「これを使うだけで、設立できるんだよね?」
「試しに使ってみようか…………」
そう言い、僕は机に置かれたその石に手を触れる。じきに、僕の脳内に機械音声が流れた。
───認証を開始します。MPを消費し、マナを流し込んで下さい。
マナを流し込む…………それで、本人確認ができるのか?生体認証的な…………どういう原理なんだろう。不思議に思いつつ、言われた通りにマナを放出する。
───認証中…………
───正規所有者によるアクセスを確認。これより、クランの設立を開始します。
って、いきなり!?
「プレ君、どーしたの?」
「もうクランの設立、始まるみたい!」
言い切るより先に、僕の目の前に画面が出力される。何が書かれているのか?2人で、その中をじっと覗き見る。
「えーっと、まずはクラン名…………どうしよ、何も考えてなかったわ」
「え、まさかのノープラン!?」
「だ、だって、こんないきなり始まると思ってなかったんだもん…………一旦、キャンセルで!!」
───設立処理が中断されました。最初からやり直して下さい。
「…………ふぅ」
「ちょっとー!何で辞めちゃうのさ!もったいないなぁ」
「しょうがないでしょー、改名できる保証もないんだし!それに、どういう方針のクランにするか、ちゃんと事前に共有しとかないと」
「それはまぁ、確かに…………それにしても、まさかアイテムの制約で同じクランになれなくなるなんてねぇ」
『絆の秘石』の、自分が設立した以外のクランに入れないという制約。それは、同じアイテムを持つプレイヤー同士での結託の禁止を意味していた。ランカーにだけ渡されているという点から考えるに、まぁバランス調整というやつだろう。
「こればっかりはしょうがないよねぇ……前向きに捉えよう。別に、ハルと同じクランに入れないってだけで、協力関係を封じられるわけではないんだし」
「……それもそっか。なるほど、それで方針を共有したいってことね」
「そーゆーこと。僕はせっかくなら、原点回帰して、前みたいにアイテム製作に集中したいかも」
ここのところ、フリーディア防衛戦、旧王立研究所への潜入、そしてアルケミオスと、戦い続きの日々だった。勿論、それはそれで充実していて楽しかった。いかにも、ゲームをしているという感じで。
でも、その結果、本来やりたかったことをできずにいた気がする。戦いに勝つための錬成…………僕は、それをやりたくてこのゲームを、鍛治職人で始めたわけじゃない。もっと自由に、実験的に、色々な技術や機能を盛り込んだ、唯一無二のアイテム。僕が本当に作りたかったのはそういうものだ。
「新エリアが一気に解放されて、攻略の勢力は必然的に分散される。なら、ボス攻略までも、フリーディアの時よりは時間に余裕があるはずだ。その時間を使って、僕はまた、革新的なアイテムを作りたい!宝石の研究を進めて、もっと皆を助けられるような…………」
「製作クランか、いいね…………ボクは、どうしようかな。プレ君を支えるなら、やっぱり戦闘を中心にしたクランがいいのかな?」
「ハルの好きなことをしたら良いさ!別に、クランを作ったからといって、ずっとそこの人達に時間を使う必要なんてない。ボス攻略も何もない今くらいは、ゆっくり羽根を伸ばせるはずだよ」
「そうだね…………やりたいこと、かぁ」
ハルは、ベッドにボフっと横たわり、天井を仰ぎ見る。やりたいこと…………まぁ、そんな簡単には決まらないよね。現実ですら、特にそういうのが分かっていない人なんてたくさんいるのに。
考えてみれば、僕はこれまで色々好き放題やってきたけど、ハルはその間、ずっと僕の支援をしてくれていた。隣で、戦ってくれた。
ハルはここに来てから、ちゃんと自分のしたいことをできているんだろうか?それとも、目的が特にないから、そこまでしてくれるのか?どちらにしろ、それを僕の目線から考えるのはおこがましいことだが。
ピロンッ!!
「…………ん、チャットの通知?」
「あ、ボクにも来た。なになに…………?」
2人で示し合わせて、その内容を確認する。それはどちらも、幻のチャンピオン、雪ダルマさんからの連絡だった。
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