ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
5 / 459

05 祝杯

しおりを挟む
 標高があるのか、三十分もしないで息切れしてきた。

「少し休むか」

 無理してもいいことはない。逃げる体力を回復させておかないとな。

 ペットボトルを出して半分くらい飲んで一息ついた。

「ゴブリンの気配は近いな」

 周囲を警戒しながらゴブリンの気配を探る。なかなかどうして精神を使うぜ。

 ただ、探っていたお陰か、ゴブリンの気配が鮮明になってきている。サポート能力の中で一番優れてるんじゃないか?

「あっちに四。あっちに六。あっちに八。あっちに一か。かなり遠いところに複数固まっているのが感じるな」

 気配との距離がわかってくれば気配感知範囲がわかるかもしれんぞ。

 残りを飲み干し、一旦セフティーホームへ。水を補充してから一匹のところへ向かった。

 進むこと五分。ゴブリンの形がわかるくらいの気配を感じた。

「……これ、ゴブリン相手にはチートじゃね……?」

 相手の位置がわかるとか、ゴブリンが知ったら激おこプンプン丸になるぞ。

「いや、落ち着け。わかるってだけで倒せるなら苦労しない。殺す手段がなければ宝チートの持ち腐れだ」

 今は体力と気配察知の強化だ。

「気配はしゃがんでいるな? また死肉漁りか?」

 慎重に、周囲を警戒しながらゴブリンの背後から近づいていく。

 ……穴を掘っているのか……?

 木の枝を地面に何度も突き刺し、周りの警戒などしていない。

 深呼吸してバクバクする心臓を静め、マチェットを握る力を強くする。

 距離は十メートルくらい。間に躓きそうなものはなし。ゴブリンはこちらに気づいてない。

 ──やるぞ、オレ!

 木の陰から飛び出し、あとちょっとと言うところでゴブリンが振り返った。

「遅い!」

 速度を緩めることなく通りすぎ様にフルスイング。肉を抉る感触がした。

 そのまま走り抜け、三メートルくらいして振り返った。

 マチェットはゴブリンの後頭部に当たったようで、うつ伏せになってピクピクと痙攣していた。

「止めを──」

 罪悪感とグロ耐性がすぐに次の行動を教えてくれた。

 マチェットを背中に刺す。さらに刺す。刺して刺して刺してやる。

 やがてゴブリンの息の根が止まった。

「クソったれが! ゴブリンがなんぼのもんじゃい!」

 乱れた息で叫んでやる。

 なんてやっている場合じゃない。逃げなきゃ!

 ここではセフティーホームには入れない。ゴブリンの気配から遠く離れたところじゃないとダメだ。

 脇腹が痛くなりながら一キロくらい離れ、大きな岩の上でセフティーホームに入った。

 玄関に現れると、そのまま倒れてゼーゼーと息をついた。

「……へへ。一匹倒して五千円ゲットだぜ……」

 命を賭けて五千円とは割りに合わない気もするが、倒せたことが嬉しかった。オレ、やるじゃん!

 異世界に転移してゴブリンを倒した。アラサーなオレがだぜ? フフ。なんか狩猟魂に火がついた感じだぜ。

 狩猟じゃなく駆除だろうって突っ込みは止めてくれ。今は勝利に酔わせてくれよな。アハハ!

 ──ぐぅ~。

 緊張が解けたのか、腹の虫が鳴り出した。

「勝利を祝してダンダンの焼き肉弁当にビールをつけてもいいよな?」

 しばらくカップラーメンとか言ってごめんなさい。昨日のオレよ、今日は焼き肉弁当とビールをいただくオレをお許しください。

 ってことで、タブレットをつかんでダンダンの焼き肉弁当(買えるかい!)と三五缶のビールを買った。

「あ~いい匂いだ」

 なぜかできたてなのはご愛敬。まずはビールをいただき、焼き肉弁当を一気に食い尽くした。

 残りのビールを飲み干し、一息つく。

「腹一杯食ってビールを飲むと、また明日がんばれると思うんだからやっすいよな、オレって」

 しばし幸せな余韻に浸り、服を脱いで風呂に入った。

 今日は十分くらいで上がり、三五缶をもう一缶買ってタブレットをつかんだ。

「やっば銃は必要だよな~」

 今日は一匹で油断してたから勝てたようなもの。二匹以上ではまだ勝てる気にならないぜ。

「まだ五万円以上あるが、これは万が一のために使えないな。十万円貯めてから拳銃を買うか。今度は新品のをな」

 拳銃の整備もよくわからない。まあ、火薬の煤を拭くくらいはできるが、他はどうしたらいいかちんぷんかんぷん。半年で交換したほうがいいのかもな。

「十万円か~」

 二十匹殺せばいい計算だが、食費を考えたら三十匹は倒しておかないとダメだろうな。毎日ビール飲みたいし。

「いやいや、先走るな、オレ。しばらくは体力と気配察知の強化だろう」

 堅実に、油断せず、命大事に、だ。

「しっかし、こうして探すと拳銃っていっぱいあるな~」

 一つの拳銃でもいろんなバリエーションがあり、年代があり、新旧があり、安いのや高いのがある。

 こっちとら素人なんだからゴブリンに適したものか書いておけよな。

「最新ので使いやすいのがいいよな。それがわかれば悩んでねーよ」

 イカンな。一人暮らししてから一人言が多くなった。孤独でひねくれる前に現地の人と会わないとな。言葉はしゃべれてもコミュ症になったら寂しさで死ぬわ。

「ふわ~。眠っ」

 拳銃の選択はまた明日だ。しっかり眠って明日もがんばろう。

 歯ブラシと歯磨き粉、そしてコップを買ってユニットバスへ向かった。

 この世界に歯医者などないんだろうから歯は大事にしないとな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...