ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

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73 簡易砦

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 町を出てから改めてロンダリオさんのチームメンバーを紹介してもらった。

 まずリーダーはロンダリオ・サークリーさん。三十二歳。生まれは男爵家。継ぐこともできない三男だからと十五歳になったら家を飛び出して冒険者になったそうだ。

 ロンダリオさんは魔法剣が得意で、指揮兼遊撃担当とのこと。

 サブリーダーはロンダリオさんの幼馴染みで親友のミゼング・リットさん。同じく男爵家の三男なんだと。この人は槍が得意な人でアタッカー的な立場らしい。

 弓矢を装備したラインサーさん。この中では一番若くて二十五歳。援護射撃を任されているそうだ。

 ローブを着て水晶がついた杖を持つのは魔法使いのゾラさん。王都の魔法学園を卒業して旅をしてるところをロンダリオさんとミゼングさんに助けられて仲間になったとのこと。この中で一番歳上で三十八歳とか。

 最後は索敵兼情報収集担当のマリットさん。投げナイフが得意な三十歳。影が薄くてたまに視界からいなくなる人だ。

「請負カードに名前を告げてもらえたらそのカードは皆さんのものになります」

 それぞれが名を告げると、五人の気配がわかるようになった。

 ゴブリン一匹駆除すれは三千五百円が入り、管理費として千五百円がオレに入ることも伝えるが、そこに文句を言われることはなかった。そうかとのことだった。

「請負員が買えるものは限定されたもので、手元を離れて十日過ぎれば消えてしまいますから注意してください」

「十五日ではなかったのか?」

「それは大元のオレが買ったものはです。請負員のは十日になってます。理由はわかりません。最近、請負員制度ができたもので」

 ダメ女神がオレの思いつきを適当に採用したっぽいからな。明確な理由はそれほどないと思う。あのダメ女神、そう言うところが多々あるからよ。

 オレのことも少し話した。二十歳くらいにゴブリン駆除員になって各地を回っているってな。五人はそうかと言うだけで深くは追及はしてこなかった。人に歴史あり。突っ込むもんじゃないってことなんだろうよ。

「ロン。狼だ」

 ラインサーさんの声に目を向けたらいつの間にか弓を構えていた。矢はつがえるって言うんだっけ?

「他のヤツらに任せろ」

 まあ、これからゴブリン駆除にいくんだから狩っていては邪魔になるだけか。

「この辺はよく狼が出るんですか? ここにきて初めて見ました」

「ああ、若い冒険者たちが毎日のように追い払ってるが、懲りもせず現れては羊を襲う厄介者さ。おれらもたまに駆り出されるよ」

「あの狼はゴブリンは襲わないので?」

「ゴブリンを食う生き物なんてそうはいないさ。まあ、飢えてたら食うかもしれんがな」

 そんなに不味いのか、ゴブリンって。ある意味、天敵になる存在がいないってことじゃないか。そりゃ増えるわ。

「あの山だ。情報ではゴブリンの巣がたくさんできてるそうだ」

「わかっているのに誰も狩りにいかないので?」

「町からも遠いし、麓にも下りてこない。わざわざ手間暇かけて狩りにいくヤツなんていないよ。大した稼ぎにもならんしな」

 まあ、半日歩いてから手間暇のかかるゴブリンを狩るのは手間でしかない。確か一匹銅貨一枚の報酬だっけか? そりゃ誰もやらんわな。

 まだ遠くてゴブリンの気配は曖昧だが、多くいるのはわかる。これは百や二百ではない。軽く五百匹はいるんじゃないか? いつもながらなに食って生きてんだろうな?

 途中で休憩し、昼前には野営地に向いたところへと到着できた。

「アホみたいにいるな」

 気配が多すぎて逆に特定するのが難しいよ。石を投げたら当たるくらいにいるぞ。

「……臭い……」

 ラダリオンも鼻をつまむほどだ。ミサイル撃ち込んで大量虐殺したいくらいだぜ。

「まずは腹拵えしますか。ラダリオン。頼む」

「わかった」

 荷物を下ろし、斧とスコップを持って腕輪をなぞって元に戻った。

「きょ、巨人だと!?」

 あ、ラダリオンが巨人だと教えておくの忘れてたわ。

「ラダリオンは巨人で、魔法で小さくなってました」

「早く言え!」

 まったくもってごもっとも。誠心誠意謝罪します。

「ラダリオンに溝を掘ってもらって簡易砦を作りますね」

「必要か?」

「念には念を、です。ゴブリンには何度も苦しめられてますんで」

 ロンダリオさんたちがいれば大丈夫だとは思うが、オレは大丈夫と言えるほど強くはない。安全地帯を作っておかないと安心できないんだよ。

「食事の用意は少年たちにやらせるなら整うまで軽くゴブリンを狩ってきてはどうです? 一人五匹も狩れば昼にワイン一本つけられますよ」

 ワイン一本で仕事ができなくなるほど柔ではないはず。逆にいい燃料となるんじゃないか?

「そうだな。まずはおれ、ラインサー、マリットでいくか。ミゼとゾラは残ってくれ」

 ロンダリオさんの指示に誰も反論することなく頷いた。チームワークがよろしいことで。

「いつも昼はどうしてたんです? 火を焚いてました?」

 残ったミゼングさんとゾラさんに尋ねた。

「昼はパンと干し肉がほとんどだ。火は焚かんな。狩りだと獲物が逃げるからな」

 そうなんだ。よくそんなもので戦えること。ラダリオンなら死んでるぞ。

「今日は人数もいますし、ラダリオンがいればゴブリンも寄ってこないでしょう。午後をがんばれるよう温かいものを作りましょう」

 一応、人数分の食材は買ってある。持ってきた鍋を使えば充分な量になるはずだ。

「タカトの判断に任せる。あいつらを自由に使ってくれ。おれらは周囲を警戒するよ」

「わかりました。少年たち。石を集めて竈を作ってくれ。あと野菜を細かく切ってくれ」

 少年たちに指示を出し、昼飯作りに取りかかった。
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