ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

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 ハイ。オレ特製でもないシチューが完成しました~。

「……いい匂いだ……」

 オレには慣れた匂いも少年たちには極上な匂いらしく、生唾を何度も飲んでいた。

「お腹空いた」

 匂いに釣られてラダリオンが小さくなって戻ってきたので、先に盛ってやった。

「堅パンを切っておけ。このシチューにつけて食べると美味いからな」

 少年たちに堅パンを切らせ、集めてきた葉っぱの上に並べさせていると、ロンダリオさんたちが戻ってきた。

「ご苦労様。随分と狩りましまね」

 三、四十分で八十匹近く狩るとか高位冒険者はおっかない存在だよ。

「いい匂いだな。なにを作ったんだ?」

「シチューって煮込み料理だな」

「これがシチュー? 匂いが全然違うぞ?」

 あ、シチューあるんだ。別物として。

「まあ、昼にしましょう。ゴブリンをたくさん狩ってもらいたいですからね」

 少年たちに皿に盛らせ、ロンダリオさんたちに配り昼飯をいただいた。

「美味いな!」

 まったく、ルーを作り出した人たちに感謝だよな。ルーと牛乳を入れたら異世界の野菜も干し肉も美味くするんだからな。

 業務用の寸胴鍋で作ったにも関わらずシチューは一滴残らず皆の胃に収まり、買った堅パンも食い尽くしてしまった。

「こんな美味いの、生まれて初めて食ったよ」

「ああ。ワインと言いシチューと言い、もういつもの料理が食えなくなるじゃねーか」

「できることならもっと食いたかったぜ」

 仲間たちも大満足。夜は寸胴三つはないと不平不満で爆発しそうだな。

「稼いだ分で夜は肉もいれましょうか。パンも柔らかいものも買えますよ」

 目を輝かすロンダリオさんたち。やる気に満ちてたくさんゴブリンを駆除しておくれよ。

 ガスコンロでお湯を沸かし、人数分のコーヒーを淹れてやった。

「砂糖はお好みで入れてください。あと、この牛の乳を入れるのも美味いですよ」

「砂糖まで買えるのか。売ったら大儲けできるな」

 とはゾラさん。

「それで商人たちにまとわりつかれてもこちらに文句を言ってこないでくださいね」

「言わないさ。いや、言えないだろうな。どれもが商人の目の色を変えさせるものだ。それに、十日したら消えるものなど売れたものじゃない。詐欺だと言われて兵士に捕まる。うむ。タカトの言いたいことがわかったよ」

 学園で学んだだけにゾラさんは賢い。

「まあ、すぐ消費するもので稼いでも問題はありませんが、出していいものと出してダメなものは仲間うちで決めておいたほうがいいですね。ゴブリンを狩って稼いでも宿代は稼げませんから」

「ゴブリンばかりじゃなく通常の依頼もしなくちゃならないか」

「だが、これだけのものを隠し切れるか? 目ざとい者はいいものだと見抜くぞ。実際、タカトの持ち物が特別なものと見抜いているヤツは多いからな」

「そのときはゴブリン請負員になればいいと勧めてください。オレはたくさんの人に請負ってもらえたら儲けられるんで」

 上前はねて生きていけるとか最高かよ。

「そうなるとオレらの取り分が減る。シチューのような美味いもんが食えなくなるぞ」

 ふふ。痛し痒しってところだな。

「請負員には誘わない方向で誤魔化すしかないな」

 ロンダリオさんの決断に仲間たちは異議なしとばかりに頷いた。

「その辺は皆さんにお任せしますよ。オレはゴブリンが少なくなってくれたらそれでいいですからね」

 コーヒーを飲んで腹が落ち着いたらカードの使い方を教えることにした。

 まずはロンダリオさんのカードを見せてもらうと十一万九千円が入っていた。わかっていてもこうして数字を見せられると自分のがんばりはなんだったと思わされるよ……。

「まずカードを持って買い物と念じてください。ロンダリオさんだけが見える画面──透明な板が見えるはずです」

 なんのプライバシーかは知らないが、大元たるオレにも見えないのだ。説明すること考えろや、ダメ女神!

「あ、ああ。見える。どうなってるんだ?」

 それはオレも聞きたい。まあ、知ったからどうなるわけでもないから便利~と流してるよ。

「じゃあ、次にワインを思い浮かべてください。それでたくさんの種類と値段が出ます。名前は読めますか?」

「いや、読めない。どこの文字だ?」

 やはりか。ミシニーのもそうだったからオレ用のを流用したんだろう。雑なところはとことん雑だぜ。

「オレの国の文字です。ここの文字に変えられないので絵で判断してください。あと、文字の下に出てるのが数字がその品の値段です」

 メモ帳を取り出し元の世界の数字を教え、銅貨が百円。銀貨一万円。金貨はよーわからんと教えておいた。

「とりえず、千円くらいのを触れて買うと念じればその品が地面に現れます。やってみてください」

「わ、わかった」

 恐る恐るやると、ワインが地面に現れた。

「おおっ! 出た!」

 子供のようにワインを持ってはしゃぐロンダリオさん。こう言う男が女にモテるんだろうな~。

「他になにか欲しいものはありますか?」

「靴が欲しい。タカトが履いている靴、会ったときからいいなと思っていたんだ。買えるか?」

「八千円のなら十足は余裕で買えますよ」

 ロンダリオさんの足のサイズを計り、オレと同じ二十八センチのタクティカルブーツと三足一組の靴下を選ばせた。

「やっぱりだ!」

 靴下とタクティカルブーツを履き、その具合を確かめたら大声で叫んだ。

「いい! これだよこれ! この踏ん張りが欲しかったんだよ!」

 異種格闘技大会に出たら優勝しそうな動きを見せた。ロンダリオさん、本当に人か? それともレベルアップする世界なのか?

「クソ! オレもゴブリンを狩ってくる!」

「わたしもいってくる!」

 ロンダリオさんに触発されたのか、ミゼングさんとゾラさんが山へと駆けていってしまった。

 あーまあ、続けるかと、ラインサーとマリットさんにカードの使い方を教えた。
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