74 / 459
74 買い物
しおりを挟む
ハイ。オレ特製でもないシチューが完成しました~。
「……いい匂いだ……」
オレには慣れた匂いも少年たちには極上な匂いらしく、生唾を何度も飲んでいた。
「お腹空いた」
匂いに釣られてラダリオンが小さくなって戻ってきたので、先に盛ってやった。
「堅パンを切っておけ。このシチューにつけて食べると美味いからな」
少年たちに堅パンを切らせ、集めてきた葉っぱの上に並べさせていると、ロンダリオさんたちが戻ってきた。
「ご苦労様。随分と狩りましまね」
三、四十分で八十匹近く狩るとか高位冒険者はおっかない存在だよ。
「いい匂いだな。なにを作ったんだ?」
「シチューって煮込み料理だな」
「これがシチュー? 匂いが全然違うぞ?」
あ、シチューあるんだ。別物として。
「まあ、昼にしましょう。ゴブリンをたくさん狩ってもらいたいですからね」
少年たちに皿に盛らせ、ロンダリオさんたちに配り昼飯をいただいた。
「美味いな!」
まったく、ルーを作り出した人たちに感謝だよな。ルーと牛乳を入れたら異世界の野菜も干し肉も美味くするんだからな。
業務用の寸胴鍋で作ったにも関わらずシチューは一滴残らず皆の胃に収まり、買った堅パンも食い尽くしてしまった。
「こんな美味いの、生まれて初めて食ったよ」
「ああ。ワインと言いシチューと言い、もういつもの料理が食えなくなるじゃねーか」
「できることならもっと食いたかったぜ」
仲間たちも大満足。夜は寸胴三つはないと不平不満で爆発しそうだな。
「稼いだ分で夜は肉もいれましょうか。パンも柔らかいものも買えますよ」
目を輝かすロンダリオさんたち。やる気に満ちてたくさんゴブリンを駆除しておくれよ。
ガスコンロでお湯を沸かし、人数分のコーヒーを淹れてやった。
「砂糖はお好みで入れてください。あと、この牛の乳を入れるのも美味いですよ」
「砂糖まで買えるのか。売ったら大儲けできるな」
とはゾラさん。
「それで商人たちにまとわりつかれてもこちらに文句を言ってこないでくださいね」
「言わないさ。いや、言えないだろうな。どれもが商人の目の色を変えさせるものだ。それに、十日したら消えるものなど売れたものじゃない。詐欺だと言われて兵士に捕まる。うむ。タカトの言いたいことがわかったよ」
学園で学んだだけにゾラさんは賢い。
「まあ、すぐ消費するもので稼いでも問題はありませんが、出していいものと出してダメなものは仲間うちで決めておいたほうがいいですね。ゴブリンを狩って稼いでも宿代は稼げませんから」
「ゴブリンばかりじゃなく通常の依頼もしなくちゃならないか」
「だが、これだけのものを隠し切れるか? 目ざとい者はいいものだと見抜くぞ。実際、タカトの持ち物が特別なものと見抜いているヤツは多いからな」
「そのときはゴブリン請負員になればいいと勧めてください。オレはたくさんの人に請負ってもらえたら儲けられるんで」
上前はねて生きていけるとか最高かよ。
「そうなるとオレらの取り分が減る。シチューのような美味いもんが食えなくなるぞ」
ふふ。痛し痒しってところだな。
「請負員には誘わない方向で誤魔化すしかないな」
ロンダリオさんの決断に仲間たちは異議なしとばかりに頷いた。
「その辺は皆さんにお任せしますよ。オレはゴブリンが少なくなってくれたらそれでいいですからね」
コーヒーを飲んで腹が落ち着いたらカードの使い方を教えることにした。
まずはロンダリオさんのカードを見せてもらうと十一万九千円が入っていた。わかっていてもこうして数字を見せられると自分のがんばりはなんだったと思わされるよ……。
「まずカードを持って買い物と念じてください。ロンダリオさんだけが見える画面──透明な板が見えるはずです」
なんのプライバシーかは知らないが、大元たるオレにも見えないのだ。説明すること考えろや、ダメ女神!
「あ、ああ。見える。どうなってるんだ?」
それはオレも聞きたい。まあ、知ったからどうなるわけでもないから便利~と流してるよ。
「じゃあ、次にワインを思い浮かべてください。それでたくさんの種類と値段が出ます。名前は読めますか?」
「いや、読めない。どこの文字だ?」
やはりか。ミシニーのもそうだったからオレ用のを流用したんだろう。雑なところはとことん雑だぜ。
「オレの国の文字です。ここの文字に変えられないので絵で判断してください。あと、文字の下に出てるのが数字がその品の値段です」
メモ帳を取り出し元の世界の数字を教え、銅貨が百円。銀貨一万円。金貨はよーわからんと教えておいた。
「とりえず、千円くらいのを触れて買うと念じればその品が地面に現れます。やってみてください」
「わ、わかった」
恐る恐るやると、ワインが地面に現れた。
「おおっ! 出た!」
子供のようにワインを持ってはしゃぐロンダリオさん。こう言う男が女にモテるんだろうな~。
「他になにか欲しいものはありますか?」
「靴が欲しい。タカトが履いている靴、会ったときからいいなと思っていたんだ。買えるか?」
「八千円のなら十足は余裕で買えますよ」
ロンダリオさんの足のサイズを計り、オレと同じ二十八センチのタクティカルブーツと三足一組の靴下を選ばせた。
「やっぱりだ!」
靴下とタクティカルブーツを履き、その具合を確かめたら大声で叫んだ。
「いい! これだよこれ! この踏ん張りが欲しかったんだよ!」
異種格闘技大会に出たら優勝しそうな動きを見せた。ロンダリオさん、本当に人か? それともレベルアップする世界なのか?
「クソ! オレもゴブリンを狩ってくる!」
「わたしもいってくる!」
ロンダリオさんに触発されたのか、ミゼングさんとゾラさんが山へと駆けていってしまった。
あーまあ、続けるかと、ラインサーとマリットさんにカードの使い方を教えた。
「……いい匂いだ……」
オレには慣れた匂いも少年たちには極上な匂いらしく、生唾を何度も飲んでいた。
「お腹空いた」
匂いに釣られてラダリオンが小さくなって戻ってきたので、先に盛ってやった。
「堅パンを切っておけ。このシチューにつけて食べると美味いからな」
少年たちに堅パンを切らせ、集めてきた葉っぱの上に並べさせていると、ロンダリオさんたちが戻ってきた。
「ご苦労様。随分と狩りましまね」
三、四十分で八十匹近く狩るとか高位冒険者はおっかない存在だよ。
「いい匂いだな。なにを作ったんだ?」
「シチューって煮込み料理だな」
「これがシチュー? 匂いが全然違うぞ?」
あ、シチューあるんだ。別物として。
「まあ、昼にしましょう。ゴブリンをたくさん狩ってもらいたいですからね」
少年たちに皿に盛らせ、ロンダリオさんたちに配り昼飯をいただいた。
「美味いな!」
まったく、ルーを作り出した人たちに感謝だよな。ルーと牛乳を入れたら異世界の野菜も干し肉も美味くするんだからな。
業務用の寸胴鍋で作ったにも関わらずシチューは一滴残らず皆の胃に収まり、買った堅パンも食い尽くしてしまった。
「こんな美味いの、生まれて初めて食ったよ」
「ああ。ワインと言いシチューと言い、もういつもの料理が食えなくなるじゃねーか」
「できることならもっと食いたかったぜ」
仲間たちも大満足。夜は寸胴三つはないと不平不満で爆発しそうだな。
「稼いだ分で夜は肉もいれましょうか。パンも柔らかいものも買えますよ」
目を輝かすロンダリオさんたち。やる気に満ちてたくさんゴブリンを駆除しておくれよ。
ガスコンロでお湯を沸かし、人数分のコーヒーを淹れてやった。
「砂糖はお好みで入れてください。あと、この牛の乳を入れるのも美味いですよ」
「砂糖まで買えるのか。売ったら大儲けできるな」
とはゾラさん。
「それで商人たちにまとわりつかれてもこちらに文句を言ってこないでくださいね」
「言わないさ。いや、言えないだろうな。どれもが商人の目の色を変えさせるものだ。それに、十日したら消えるものなど売れたものじゃない。詐欺だと言われて兵士に捕まる。うむ。タカトの言いたいことがわかったよ」
学園で学んだだけにゾラさんは賢い。
「まあ、すぐ消費するもので稼いでも問題はありませんが、出していいものと出してダメなものは仲間うちで決めておいたほうがいいですね。ゴブリンを狩って稼いでも宿代は稼げませんから」
「ゴブリンばかりじゃなく通常の依頼もしなくちゃならないか」
「だが、これだけのものを隠し切れるか? 目ざとい者はいいものだと見抜くぞ。実際、タカトの持ち物が特別なものと見抜いているヤツは多いからな」
「そのときはゴブリン請負員になればいいと勧めてください。オレはたくさんの人に請負ってもらえたら儲けられるんで」
上前はねて生きていけるとか最高かよ。
「そうなるとオレらの取り分が減る。シチューのような美味いもんが食えなくなるぞ」
ふふ。痛し痒しってところだな。
「請負員には誘わない方向で誤魔化すしかないな」
ロンダリオさんの決断に仲間たちは異議なしとばかりに頷いた。
「その辺は皆さんにお任せしますよ。オレはゴブリンが少なくなってくれたらそれでいいですからね」
コーヒーを飲んで腹が落ち着いたらカードの使い方を教えることにした。
まずはロンダリオさんのカードを見せてもらうと十一万九千円が入っていた。わかっていてもこうして数字を見せられると自分のがんばりはなんだったと思わされるよ……。
「まずカードを持って買い物と念じてください。ロンダリオさんだけが見える画面──透明な板が見えるはずです」
なんのプライバシーかは知らないが、大元たるオレにも見えないのだ。説明すること考えろや、ダメ女神!
「あ、ああ。見える。どうなってるんだ?」
それはオレも聞きたい。まあ、知ったからどうなるわけでもないから便利~と流してるよ。
「じゃあ、次にワインを思い浮かべてください。それでたくさんの種類と値段が出ます。名前は読めますか?」
「いや、読めない。どこの文字だ?」
やはりか。ミシニーのもそうだったからオレ用のを流用したんだろう。雑なところはとことん雑だぜ。
「オレの国の文字です。ここの文字に変えられないので絵で判断してください。あと、文字の下に出てるのが数字がその品の値段です」
メモ帳を取り出し元の世界の数字を教え、銅貨が百円。銀貨一万円。金貨はよーわからんと教えておいた。
「とりえず、千円くらいのを触れて買うと念じればその品が地面に現れます。やってみてください」
「わ、わかった」
恐る恐るやると、ワインが地面に現れた。
「おおっ! 出た!」
子供のようにワインを持ってはしゃぐロンダリオさん。こう言う男が女にモテるんだろうな~。
「他になにか欲しいものはありますか?」
「靴が欲しい。タカトが履いている靴、会ったときからいいなと思っていたんだ。買えるか?」
「八千円のなら十足は余裕で買えますよ」
ロンダリオさんの足のサイズを計り、オレと同じ二十八センチのタクティカルブーツと三足一組の靴下を選ばせた。
「やっぱりだ!」
靴下とタクティカルブーツを履き、その具合を確かめたら大声で叫んだ。
「いい! これだよこれ! この踏ん張りが欲しかったんだよ!」
異種格闘技大会に出たら優勝しそうな動きを見せた。ロンダリオさん、本当に人か? それともレベルアップする世界なのか?
「クソ! オレもゴブリンを狩ってくる!」
「わたしもいってくる!」
ロンダリオさんに触発されたのか、ミゼングさんとゾラさんが山へと駆けていってしまった。
あーまあ、続けるかと、ラインサーとマリットさんにカードの使い方を教えた。
0
あなたにおすすめの小説
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~
RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。
試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。
「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」
枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる