ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
294 / 459

294 いってらっしゃい

しおりを挟む
 なんとか計画を立てたら次はメンバーへの説明が始まる。

 アルズライズたちが先行しているので、第二陣たるカインゼルさん、ロンダリオさんたち、マイセンズにいったことがあるエルフ五人に説明をした。

 準備はしていたが、ロンダリオさんたちが加わったので、一日置いて、朝早くに出発してもらった。

 見送ったらパイオニアを出してきて最初にきたとき築いた簡易砦へ向かった。

 家を建てる職人なだけに小屋(巨人サイズのね)が二軒も建てられていた。早っ!!

「ご苦労さん。相変わらず仕事が早いな」

「いや、これでも遅れているくらいだ。この辺はいい木がなくてな。探すのに手間取ったよ」

 職人なだけに拘りがあるようだ。

「食料は間に合っているかい?」

「おう。充分間に合っているよ。自分で作るのは面倒だけどな」

「あはは。そこはがんばってくれ。酒は町に用意しておくからよ」

 腕輪は町にいる巨人に使ってもらい、必要があればホームを通してラダリオンに渡している。今のところは順調に回せているよ。

「明日の朝、マイセンズにいってもらいたい。簡易砦を築いてくれ。そう本格的なものじゃなくていいから」

 マイセンズまでの指標は立ててある。ここからでも迷わずいけるはずだ。

「ああ、わかった。任せろ」

 頼もしい限りである。やはり、巨人を仲間にしたのは正解だったな。

 簡易砦から簡易的な村になりそうな場所を一回りしてから町に戻り、第三陣になるエルフ十人に説明をする。ちなみに巨人は番外ね。街の巨人は請負員としてないから。

 第三陣が出発したらちょっと一休み。さすがに休まないとぶっ倒れるわ! 過労で死ぬわ! こん畜生が!

「明日まで休むからあとを頼む」

 職員たちにそう告げてホームに。装備を外してスウェットに着替え、まずは生ビールを一杯。実は中央ルームにビールサーバーを取りつけたのです。生サイコー!

「ミサロ。なんかツマミある?」

「カマボコとちくわならたくさんあるわよ」

 と、皿に盛られたカマボコとちくわの……なに? なんか鮮やかなんですけど?

「カマボコとちくわの飾り切りよ」

 飾り切り? あ、そういうものなのね。醤油とワサビをくださいな。

「お節料理に挑もうと思って」

 お節料理? まだ時期的にクリスマス前だよ。いや、クリスマスなんてイベント、もう五年くらいしてないけどな!

 まあ、ミサロが挑みたいなら生温く見守るだけ。カマボコ、久しぶりに食ったけど美味いな。ちくわはマヨネーズかな?

 中央ルームと台所を遮るカーテンが外され、カマボコやちくわを飾り切りするミサロが見える。そんな姿を眺めながら生ビールを飲み、いつの間にか眠ってしまった。

 元の世界でもやっていたなんてことはない休みの過ごし方。無意味な休日の過ごし方、と思ってたが、誰かいてくれるだけで有意義な休みとなるもんなんだなぁ~って思うから不思議だよな。

 目覚めたら毛布がかけてあり、テーブルの上は片付けてあった。なんて新婚生活物語だろうな? 

「おはよう。シャワー浴びてきたら」

「……あ、ああ……」

 時計を見たら二時間も眠ってないが、溜まっていた疲労がなくなっていた。

 シャワーを浴びて、地下の泉から汲んだ水を飲むと、さらに体が軽くなったような気がする。

 テーブルから座椅子に座り、ぼんやりとする。

 ……こんなゆったりとした時間を過ごすの、いつぶりだろうな……?

 前は時間を無駄にしているような気がしてだが、今はこれほど有意義な時間はないと思っている。幸せと感じるのだ。

 聞こえるのはミサロの鼻歌と、優しい料理の匂いが満ちている。

 またいつの間にか眠りについて、起きたらラダリオンやミリエルが揃っていた。どうやら夕飯の時間のようだ。

「今日はモロの内臓煮込みよ」

 ドン! とテーブルに鍋が置かれ、中を覗いたら完全にもつ煮込みであった。

「職員の中にモロを捌いたことがある人がいたから教わって、ジョブたちと内臓の煮込みを考えたのよ」

 解体と言うと、ロットのことか? カインゼルさんも見たと言ってたからコラウスのほうにもいるのかな?

「これ、美味しい!」

 さっそく食べたラダリオンが歓喜の声を上げた。

 オレもいただき、あまりの美味さに「ほぉう」と声を出してしまった。確かにこれは美味い。味噌によく合っているぜ。

「ほんと、見た目はアレですが、とっても美味しいわ」

 ミリエルも喜んでいる。また遭遇したら狩るとしよう。

 なんてことはない夕飯。だが、心が落ち着く夕飯である。

 身も心も満たされ、早々に眠りにつき、朝、清々しく目覚めた。

「おはよう」

 まだ五時だと言うのにミサロは起きており、サンドイッチを大量に作っていた。ただ、カマボコを具にするのはどうかと思う。いや、マヨネーズに合うからイケるか?

「おはよう。美味そうだ」

 ミサロが台所に立ってからすっかり胃袋をつかまれたような気がする。魔王軍でゴブリンを操っているより台所に立ってるのが一番よく似合うよ。

 ラダリオンとミリエルは外で寝たようで姿はない。物音に気を使う必要はないので、マットレスの上で柔軟体操をする。

 体が目覚めたらシャワーを浴びて気持ちも目覚めさせた。

「今日はマイセンズに出発する。弁当を頼むな」

「ええ。任せておいて。唐揚げもたくさん揚げておくわ」

 運動会か遠足みたいな返しだが、ミサロの唐揚げは人気がある。エルフも肉は食べるので喜ばれるだろうよ。

「じゃあ、いってくるよ」

「ええ、いってらっしゃい」
  
 移動用の装備に着替え、ミサロに見送られてホームを出た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...