ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

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 仮拠点に近い場所にカインゼルさんやロズたちが集まっていたので、そこにブラックリンを降ろした。

「なにがあった?」

「ロスキートの親、ローダーが出ました」

「ロ、ローダーだと!? それは本当なのか?!」

 いつになく興奮するカインゼルさん。相当ヤバいものとして認識されているっぽいな。

「ラダリオンの話ではローダーっぽいです。二十メートルはある巨体でしたから」

「に、二十メートル? 最大でも十五メートルが精々だぞ……」

 どうやら特別中の特別な個体だったみたいだ。いや、特異体か? 

「メスのようで卵を湖の中に産んでました。チャンスだと思ってガソリンをかけてRPG-7で撃ってやりました。卵はヒートアックスで茹でてやってから手榴弾を五つ、放り込みました」

「……普段は呆れるくらい慎重のクセに、好機と見れば大胆に動く男だよ……」

 言われてみれば確かにそうかも。普通、あんなのを見たらさっさと逃げるわな。

「ローダーはこの辺では有名なんですか?」

「山黒以上に最悪な存在だ。ローダーは図体がデカい割りに俊敏だ。あいつに滅ぼされた町は多い。ここ十年は見たと言う報告はなかったのに、ここで生きていたのか……」

 この世界、災害級が大杉くん! よくそれで五千年も繁栄できたな! つーか、ダメ女神は本当に人類を一万年繁栄させる気あるのか? 滅ぼそうとしか思えないよ!

「そんなに有名ならサイルスさんも情報を持っているってことですよね?」

「ああ。サイルス様は若い頃、ローダーと戦ったことがある」

「……あの人、完全に英雄じゃないですか……」

 いや、勇者と呼んでもいいくらいじゃないですか。なんで辺境でギルドマスターやってたんですか!?

「ああ、英雄だ。だが、本人はそう言われるのが嫌でコラウスにきたそうだ。ちなみに、ミシャード様もローダーと戦った」

 ミシャードって領主代理だよな? なんか迫力があり、剣捌きが上手いと思ったらあの人も英雄級だったんかい!

「……オレ、とんでもない人を誘っちゃったんですね……」

 なんか凄く怖くなってきたよ。なんつーおこがましいことしちゃったんだよ、オレは!

「いや、お前も大概とんでもないからな。しかも、神の使徒でもある。サイルス様たちからしたら気が気ではないだろうさ」

 オレ、ただの凡人ですよ。気が気ではないことなんかできませんよ。サイルスさんたちを敵にしないよう下手に出てるしさ。

「まあ、それはいい。ローダーだ。サイルス様は呼べるか?」

「大丈夫です。こちらに向かっている反応があります。おそらく二、三時間で戻ってくるでしょう」

 今、第三回階層辺りにいて、集団で動いている。チートタイムで送った声が届いたってことだ。

「カインゼルさんはローダーは見たことありますか?」

「いや、わしはない。暖かいところに生息するようで、コラウスには滅多に現れたりしないからな」

 その滅多に現れたりしないのと会ってしまったオレ。絶対、ダメ女神の呪いだと思う。

「旦那。おれ、見たことあります」

 と、ライゴが口を開いた。

「十年くらい前にマガルスク王国が日照りになったときに、ローダーが現れて町がいくつも滅ぼされました。おれもその町の一つにいて危うく食われるところでした」

 暑いとやってくるんだ。今年の夏は注意しようっと。

「よし。ライゴ、後ろに乗れ。ローダーか確認してもらう」

「いや、わしがいく。タカトはカメラでローダーを撮ってくれ。そのほうがサイルス様にも説明しやすいだろう。皆にも教えられるしな」

 そう思ってカメラを買ったのに、急転に次ぐ急転ですっかり忘れていたよ。災害級ならちゃんと記録しておいたほうがいいな。

「わかりました。ロズたちは仮拠点を片付けておいてくれ。もっと安全な場所に拠点を移すから」

 ローダーの巨体なら建物の中に入ることはできないが、ロスキートなら余裕で入ってこれる。気づいたら囲まれてましたは洒落にならない。安全で逃げやすい場所に移ったほうがいいだろうよ。

 カインゼルさんを後ろに乗せてローダーがいるところに戻った。

「凄い凄い! 空を飛んでいるぞ!」

 後ろで子供のようにはしゃぐカインゼルさん。もしかして、乗りたいから連れていけって言ったの?

 乗り物大好きなカインゼルさんならあり得るが、まあ、間違ったことは言ってない。真実は流しておこう。

 二人乗りなのでスピードは抑えて飛び、二十分くらいで到着した。

「カインゼルさん。ホームにいってきますんで気をつけてくださいね」

「ああ、了解。なにかあればすぐに逃げるさ」

 カインゼルさんならそうすると信じてホームに入り、どこに仕舞ったか忘れたカメラを探し出し、イチゴが入っていたので護衛として連れ出した。

「カインゼルさん。警戒をお願いします」

「了解。わしは湖のほうを警戒する」

「お願いします。イチゴは空から警戒だ。特にトンネルのほうを注意してくれ」

 まだ風が吹いているってことは通れるってこと。巣がいくつもある以上、他のローダーがやってこないとも限らない。きたらマッハで逃げるぞ。

「ラー」

 ブラックリンに跨がり、空に上がったらローダーの写真を撮り出した。
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