僕、聖騎士もハーレムも目指します

ナルミン

文字の大きさ
2 / 11
第1章 騎士見習いの誕生

1.騎士見習いの誕生

しおりを挟む

1章    騎士見習いの誕生

オルタナ王国中心部オルタナ魔導学園前
黒色の艶のある短い髪が風になびいて中性的な顔立ちがより目立った。
「今日は風が強いな…」
白月 仁(しろつき じん)はオルタナ魔導学園前の桜道にいた。
「体育館は…あっちか…」
仁が体育館へ行こうとしたその時1人の男の卑しい声が耳に入った。
「なぁなぁ良いだろ?一緒にサボってデートしようぜ」
「困ります。私はこれから体育館へ行かないとダメなので…」
一緒にいるのは綺麗な銀色の髪を長いツインテールにまとめた翠色の瞳を持つ女の子でどうやら絡まれている様だ。相手も新入生に見えるが…
(とにかく止めないと)
仁はその男に近寄った。
「ねぇ君、この娘が嫌がっているじゃないか?もう辞めにしたらどうだい?」
すると男は殺気を隠さない視線を送ってきた。
「あぁ?なんだテメーは?ここに居るって事は俺がブレイザー(魔討者)だって分かってんだよな?」
「もちろん。でも校外校内問わず許可された場所以外での霊装の使用は違反だよ?」
「知るかんなもん!?これ以上俺の邪魔すんならその頭かちわるぞ!来い!北方丸!」
男はそう言うと大剣の霊装を右手に顕現させた。
「…。はぁ…」
仁は一言も発さず小さいため息をついた。
(やっぱりこうなっちゃうか…仕方ない。)
「何だァ?ビビったか!?オラぁ!!」
男の大剣が仁に向かい振り下ろされた。だが仁は霊装を出さなかった。
(今は色は要らない。)
仁は意図的に虹彩の機能を停止させ視界から色を消した。
(匂いも。音もいらない。)
仁は自らの世界から色と匂い、音を消しその分の神経を眼球の動体視力へと移した。
そうすると落ちる桜の花から相手の動きまで全てがスローモーションになった。
(重心を前に出している。それに大剣の重みもある。)
仁は相手の腕を引き、つま先を引っ掛けた。すると男は大剣の重さと自分の勢いで顔から地面に突っ込んでしまった。
仁はそれを見ないうちに女の子の方へ駆け寄った。
「大丈夫?何かされた?」
すると女の子は翠色の瞳を驚きで一杯に開き訊いた。
「あ、ありがとうございます。今…何をしたんですか?」
さっきの仁の動きは到底並の人間には目視する事は出来ないだろう。故に驚く事は不思議ではない。今までも何度かこの様な事はあった。
「別に、少し足を引っ掛けただけだよ。」
「テメェ、一体何しやがったぁ!」
男が痛みを堪えつつ起き上がってきた。
「別に何もしていないよ。それともまだやるかい?そうすればタネが分かるかもね」
「クッ…覚えてろよ!」
仁が言うと男は怯み去っていった。
(まるでドラマみたいな捨て台詞だなぁ)
「行っちゃったね。僕は白月 仁(しらつき じん)。君は?」
「私は三条 要(さんじょう かなめ)です。さっきはありがとうございました。」
そう言うと深くお辞儀をされた。
(三条って…どっかで聞いたことある気が…まぁ良いか。)
「じゃあそろそろ時間だし、体育館行こうか。」
「あ、はい。そうですね。行きましょうか。」
そう言うと2人は並び体育館に向かった。


腰まで伸びる黒い髪と茶色の瞳を持つ学園長 暮石 秋(くれいし あき)の透き通る声が体育館に響いた。
「え~君達も知っているだろうが、我が校は3000人に1人の確率で生まれる魔力を用いて異能力を使い、己の魂を霊装として具現化させる事の出来る魔討者を育成する学校だ。」
魔討者は強力な力を持つがそれ故に義務がある。その1つが魔導学園への強制入学だ。
「君達には国を魔物から護る為の力を付けてもらう。それを支援するのが目的だ。まぁ…こんなもんか、後は担任に任せた。とりあえず頑張れ~」
「「「はぁっ!!?」」」
(先生方が驚いているのは見間違いだろうか…)


「え~て事で、私が1-B 27人の担任の神道 綾音(しんどう あやね)です。よろしくね♪」
ふわふわとした茶色い髪と綺麗な黒い瞳を目立たせる仕草で微笑んだ。
「じゃあまずは自己紹介して貰いましょう!廊下側の人からお願いします♪」
(どう挨拶すれば目立たないか…)なんて考えていると今朝会った女の子三条さんがいた。
(同じクラスなんだ、後で声かけてみよう)
更に数人が挨拶し自分の番になった。
「では次の人お願いします。」
「白月 仁です。気軽に声をかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。」
ふと見ると三条さんと目が合ったのだがすぐ逸らされてしまった。よく見ると頬が紅く染まっていた。
(何か嫌われる事したっけ…?)
仁が悩んでいると全員の自己紹介が終わったらしい。ほとんど聞いていなかったが…
「えー、それでは皆さん終わりましたね。じゃあ次は…えっと…あ、生徒手帳を配りますね♪」


程なくして全員に生徒手帳が配られた。この生徒手帳が特殊で端末型の生徒手帳で普通に携帯端末としても使え、買い物の際には月に5万円までクレジットカードとして使える万能な物だ。
また、自分の魔力量も見ることが出来る。
白月 仁
魔力量:平均+386
(平均+386…)
入学生の平均は190だ。つまり僕の魔力量は576…?馬鹿げている。
(故障してるのか…?)
後で先生に相談しよう考えていると神道先生が口を開いた。
「これで皆さんは立派な生徒であり騎士見習いです!頑張って下さいね♪



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...