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9. 衝撃の新真実
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「こんなの、趣味じゃないのにな……」
今日の加奈子はご機嫌斜めだった。新しく入手したゲームのパッケージを興味なさげに何度もひっくり返し、明らかに持て余している。
「お前はもっと、男心というものを理解するべきだ。それ故、俺の秘蔵の神ゲームを貸してやろう。これは女の子といちゃいちゃするための指南書だが、かえって加奈子には丁度いい。普段、知り得ない男目線で行動することで、相互理解が深まる。ふはは、これを見事に攻略して、男受けする女子になりたまえ!」
類は友を呼ぶーー
言っていることは支離滅裂だし、何の根拠もないが、とにかく今自分がハマっているゲームを誰かと共有したいらしい。
彼女のゲーム仲間は少し変わっていた……
絶対に感想を聞かれるから、加奈子の中に『やらない』という選択肢は無い。やがて渋々、ディスクをドライブに押し込んだ。
チャラチャラチャラーンと、軽快な音楽と共に、画面に飛び出てくるタイトル。
『きらきら☆プリンス』
「マジださっ! 勘弁してよ~」
早速、加奈子のツッコミが入る。確かに驚きのネーミングセンスだ。だが始めたからには覚悟がついたのか、加奈子は文句を言いながらも画面を進めていった。
「王子の名前? そんなのどうでもいいよ。オリジナルのままで次へっと……でも秋葉氏が絶賛するだけあって、CGは綺麗ね。声優もいい人使ってる」
加奈子は淡々とゲームの感想を述べているが、隣にいる私はそれどころではなかった。
「……レ、レオナルド殿下?!」
突然、モニターの向こうに現れた美丈夫に、私は目を見開いた。少し全体に『きらきら』が追加されているが、確かに彼に違いない。
なぜ殿下がここに……?
恐れ多くも自国の王太子が、爽やかに自己紹介と、これからのゲームの進行方法を説明している。
「私の名前はレオナルド・ラッセル。ラッセル王国の第一王子だ。先日、父である国王から将来の譲位に向けて、妃を娶るよう仰せつかった。確かに国の継続と繁栄のために、結婚は避けて通れない。よって、これから幾人かの令嬢と会って、親交を深めていこうと思う。誰か、未来の王妃にふさわしい、そして私とも真実の愛を育める女性が見つかればいいのだが……」
殿下の長~い前置きを要約するとこうだ。
現在、婚約者候補に三人の令嬢が上がっている。それぞれ公爵、侯爵、伯爵家から一人ずつ。その令嬢達をお茶に誘ったり、城下町のデートに誘ったりして、好感度を上げて結婚に至るのがこのゲームの趣旨だ。いわゆる恋愛シミュレーションゲームというものらしい。
しかも侍女や町娘、その他もろもろ見目麗しい女性たちが多数登場するらしい。誰を選ぶかはプレーヤー次第、一人と恋仲になるも良し、ハーレムを築くのも男のロマンだそうだ。
「どうして私達の世界が、こんな『げーむ』になっているの……? ってか、婚約者候補の一人ってカトレアなの?!」
確かに我が公爵家は、王家に次ぐラッセル王国の上位貴族の一つだ。未婚の女子がいる以上、「ぜひ婚約者に」と求められることは妥当といえる。年齢的に殿下に合うのは長女の私だが、私は家を継ぐことが決まっているので対象外だろう。
「ご機嫌麗しく、おにいさーー あ、レオナルド殿下。本日はお招き頂き、ありがとうございます」
「はは、お兄様でいいよ。カトレアも元気そうで何よりだ。すっかり綺麗になって、見違えたよ」
王宮でのお茶会に招かれた妹のカトレアが、きらきら麗しい殿下に頬を赤らめている。ゲームの中ではどうやら14歳らしい。道理で、実際の彼女より少し大人びて見えた。
他にも見知った令嬢の姿がチラホラ。
何と私も登場したが、挨拶もそこそこに何処かに行ってしまった。自分で言うのもなんだが、愛想のかけらも無い。
明らかに自分たちの世界が、こちらの世界ではゲームになっていた。
今日の加奈子はご機嫌斜めだった。新しく入手したゲームのパッケージを興味なさげに何度もひっくり返し、明らかに持て余している。
「お前はもっと、男心というものを理解するべきだ。それ故、俺の秘蔵の神ゲームを貸してやろう。これは女の子といちゃいちゃするための指南書だが、かえって加奈子には丁度いい。普段、知り得ない男目線で行動することで、相互理解が深まる。ふはは、これを見事に攻略して、男受けする女子になりたまえ!」
類は友を呼ぶーー
言っていることは支離滅裂だし、何の根拠もないが、とにかく今自分がハマっているゲームを誰かと共有したいらしい。
彼女のゲーム仲間は少し変わっていた……
絶対に感想を聞かれるから、加奈子の中に『やらない』という選択肢は無い。やがて渋々、ディスクをドライブに押し込んだ。
チャラチャラチャラーンと、軽快な音楽と共に、画面に飛び出てくるタイトル。
『きらきら☆プリンス』
「マジださっ! 勘弁してよ~」
早速、加奈子のツッコミが入る。確かに驚きのネーミングセンスだ。だが始めたからには覚悟がついたのか、加奈子は文句を言いながらも画面を進めていった。
「王子の名前? そんなのどうでもいいよ。オリジナルのままで次へっと……でも秋葉氏が絶賛するだけあって、CGは綺麗ね。声優もいい人使ってる」
加奈子は淡々とゲームの感想を述べているが、隣にいる私はそれどころではなかった。
「……レ、レオナルド殿下?!」
突然、モニターの向こうに現れた美丈夫に、私は目を見開いた。少し全体に『きらきら』が追加されているが、確かに彼に違いない。
なぜ殿下がここに……?
恐れ多くも自国の王太子が、爽やかに自己紹介と、これからのゲームの進行方法を説明している。
「私の名前はレオナルド・ラッセル。ラッセル王国の第一王子だ。先日、父である国王から将来の譲位に向けて、妃を娶るよう仰せつかった。確かに国の継続と繁栄のために、結婚は避けて通れない。よって、これから幾人かの令嬢と会って、親交を深めていこうと思う。誰か、未来の王妃にふさわしい、そして私とも真実の愛を育める女性が見つかればいいのだが……」
殿下の長~い前置きを要約するとこうだ。
現在、婚約者候補に三人の令嬢が上がっている。それぞれ公爵、侯爵、伯爵家から一人ずつ。その令嬢達をお茶に誘ったり、城下町のデートに誘ったりして、好感度を上げて結婚に至るのがこのゲームの趣旨だ。いわゆる恋愛シミュレーションゲームというものらしい。
しかも侍女や町娘、その他もろもろ見目麗しい女性たちが多数登場するらしい。誰を選ぶかはプレーヤー次第、一人と恋仲になるも良し、ハーレムを築くのも男のロマンだそうだ。
「どうして私達の世界が、こんな『げーむ』になっているの……? ってか、婚約者候補の一人ってカトレアなの?!」
確かに我が公爵家は、王家に次ぐラッセル王国の上位貴族の一つだ。未婚の女子がいる以上、「ぜひ婚約者に」と求められることは妥当といえる。年齢的に殿下に合うのは長女の私だが、私は家を継ぐことが決まっているので対象外だろう。
「ご機嫌麗しく、おにいさーー あ、レオナルド殿下。本日はお招き頂き、ありがとうございます」
「はは、お兄様でいいよ。カトレアも元気そうで何よりだ。すっかり綺麗になって、見違えたよ」
王宮でのお茶会に招かれた妹のカトレアが、きらきら麗しい殿下に頬を赤らめている。ゲームの中ではどうやら14歳らしい。道理で、実際の彼女より少し大人びて見えた。
他にも見知った令嬢の姿がチラホラ。
何と私も登場したが、挨拶もそこそこに何処かに行ってしまった。自分で言うのもなんだが、愛想のかけらも無い。
明らかに自分たちの世界が、こちらの世界ではゲームになっていた。
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